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碧い航海日誌   作者: 松本朱海|徒然なるままに
続きの話

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56/62

56、 愛してるを教えて

好き、は分かる。

でも、愛してる、はまだよく分からない。

だから今日は、少しだけ聞いてみることにした。

クリスマス。

付き合って最初の、ちゃんとしたクリスマス。


お互いに彼氏・彼女宣言をしたので、前よりもっと…

という事は特になく、私たちは、いつも通りだった。


でも、会う度に心の中はドキドキしてる。

そんな感じなのに、また新たな悩みというか、不安というか、宿題が増えたような気がする。


「愛してる」とは、なにか?

クリスマスって、なんとなく“その言葉”を言う日みたいで。

アニメも小説も、それなりに読んでいるし、恋愛の話も友達と普通にするし、色々な事も知ってる。


でも、ちゃんと「朱海さんを愛している」のかどうか。

自信がない。

大好きだし、一緒にいたいし、朱海さんの為に何かしてあげたい。

朱海さんにも好きでいて欲しいし。


友達のちえちゃんが、言うには

「やっぱ大人の関係になるとじゃないの?」

なんだけど、じゃあそれまでは、愛してない、になる。


恋人だから、愛してる…って訳でもないのかなぁ。

付き合ってる=恋人、これはそうだよね。

で、私と朱海さんは…


「おまたせ、待った?」


大好きな彼、登場。

今日も、かっこいい。

見るたびに思う私は…。


「ううん、全然」


今日は駅で待ち合わせ。

バイクも好きだけど、こうして一緒に電車の乗るの、好き。

何も言わないのに、一番前の車両に乗って、二人で景色を独り占めにする。

クリスマスがこんなに楽しみなのは、幸せ。


「クリスマスですね」

「クリスマスだね」


今日は、ちょっと照れて会話が続かない。

周りがラブラブカップルばかりだからね。


私たちも例によらず手をつないだりは、してる。

他の人たちは、腕をくんだり、肩を抱いたり、普段よりイチャイチャ度が高めかなぁ。


クリスマスに染まった街をしばらく散策して、ちょっと大人っぽい夜景を見に行く。

ベンチに座って、夕焼けの時間から、ゆっくり。


「ねえ、朱海さん。大好きと、愛してるは全然違う?」

「え?いつも突然だよね、たかこちゃんは」

「ん~、まぁ、そうだよね」

「僕のことを?好きか愛してるか、かな?」


朱海さん、絶対からかってるでしょぉ…。

ここで「そうです」とは、言いずらいなぁ。


「ん~友達がね、」

「友達?前にコンビニで会った?」


「そうそう、その子がね、彼氏のことを大好きで、とっても大切に思ってるんだけどね。

 他の子が、彼氏を愛してるって言うのを聞いて、自分はどうなのかなって。

 愛してるって、よくわからないみたいで」


「…愛してる、の方が、重たいかな」


朱海さんは少しだけ遠くを見る。


「自分のことより、相手を先に考える感じ?」

「その人の為なら、我慢とか、犠牲とか。

 ただ、相手の事を想う。

 好き…は幸せだけど、愛…は時に痛みを伴うような気がする」


「例えば?」

「大好きなキャラクター、これは好き。

 ママがたかこちゃんの事を、好きだけど、愛してる、でしょ?」


「男女間の恋愛以外でも成り立つと」

「そう、だね。難しいな。

 俺もあんまり考えた事がないかもね。

 たかこちゃんは、どう思う?」


「う~ん、関係があったら…かな?」

「どんな関係?」

「肉体関係」

「…即答かよ……」


朱海さんは、その後しばらく何も言わなかった。

ツッコんでくれるかと思ったのに。

思い切って聞いてみたのに、何にも解決しなかったな。

また、リベンジしよう。


私はおとなしく朱海さんの隣に座ったまま、そっと手を握った。

1センチだけ、近づいて。

その距離が、今の私たち。



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