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碧い航海日誌   作者: 松本朱海|徒然なるままに
続きの話

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54/62

54、 彼氏です

学園祭ステージ、二日目。

昨日とは少し違う高揚感を胸に、私はスポットライトの下に立っていた。

まさか、その先に彼がいるなんて知らずに。

昨日のざわめきが、まだ胸の奥でなっているまま、二日目のステージに立った。


二回目だけど、やっぱり楽しい。

今日は、観客席を見渡す余裕もあった。

その中に見覚えのある顔が…。


ばっちり目が合った。

そのまま見つめ合って、一瞬だけ振りを加える。

指で射貫くポーズ。

ステージの上でなら、そんな余裕が、あった。


2曲踊って、今日もみんなでハイタッチ。

昨日よりも更にハイテンションで。


「お疲れ様、でした。委員会です。写真いいですか?」


胸をときめかせる、この声。

振り向くと、


「朱海くんじゃない!記念写真?いいわよ、綺麗に撮ってね!」


みんなでポーズを決めて、一枚、二枚。


「ありがとうございます、でも、何でここに…」


私に近寄ってくる朱海さんを、RIKA先生がガード。


「はい、そこまでね、委員会とはいえ、おさわりはダメよぉ」


「じゃなくて、なんでたかこちゃんがここに」

「…何で名前知ってるの? まさか、朱海くん、ストーカー?」


ボルテージMaxの先生に近寄って、報告。


「あの、実はですねぇ」

「あー名字同じじゃん!兄妹だったのぉ?早く言ってよ!びっくりするじゃん」


「いえ、あの」

「俺は、写真を…」


収集が付かない。

でも、今なら言える気がした。

私は朱海さんの腕を組んで、宣言する。


「彼氏です」


言った瞬間、朱海さんが耳まで赤くなった。

…気のせい、じゃないと思う。


あぁ、やってしまった。

勢いとはいえ、これは良くない。


でも…気持ちいい。


次の瞬間、お姉さま方に囲まれてしまった。


「そうだったの!」

「やだぁ、早く言ってよぉ」

「偶然?」


「あの、会場を聞くまで知らなくて、私もびっくりして、そのまま…」

「俺も、さっき写真撮ってて、初めて」


困惑している私たちをよそに、歓迎ムード。

とりあえす、着替えたら打ち上げに行く約束をして、

いったん解散。


朱海さんが私の手をとって、聞く。

さっきはピストルだった指。


「…いいの?」

「大丈夫です。後で合流しますから」

「じゃなくてさ…」


そうね、今度はわたしの番。

ちゃんと、言わないと。


「だって、本当のことだから」

「…うん、そうだね」


朱海さん、すごく照れてる。

けど、嬉しそう。

とっても。

私も、ちょっと得意げ。


「じゃ、また連絡する」


見送って、振り向くと、お姉さま達がにやにやしながら、待っていた。


「この~、見せつけてくれちゃって」

「ご飯食べながら、ぜーんぶ聞かせてね」

「たかこ~、いつの間に大人になって…」

「やっぱり、清純派がウケるのかしらね」


みんなに頭やほっぺをなでなでされながら、控室に向かった。


この後のことは…

朱海さんには、絶対に言えない。

打ち上げで、どれだけ彼氏自慢をしたかなんて。


「彼氏です」なんて一言じゃ足りないくらい、

いっぱい、いっぱい、のろけちゃったんだから。



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