53、 彼の学校
憧れの先生からの突然のお願い。
急きょ参加することになった大学の学園祭。
まさか、その場所が――
彼の学校だとは思わなかった。
ダンスのレッスンの後、RIKA先生に声をかけられた。
「折り入って、お願いがあるんだけど」
先生は大学生、バイトでダンスを教えている。
「学園祭、助っ人して欲しいの、お願い!」
大学の学園祭の為に発足したメンバーで、メインのステージで踊るんだけど、
1人ケガをしてしまい、代わりを探しているんだって。
「土日の2公演、急だけどたかこならいけるでしょ!」
何人か声をかけたけど、振り入れが間に合わないからと、断られたそうで。
そりゃそうでしょ。
「大丈夫、今日のレッスンの振り、まんま入ってるから」
…策士ですなぁ。
ぶっちゃけ、大好きなRIKA先生に頼まれたら嫌とは言えない。
1時間で振りと構成を教えてもらい、
動画ももらって、家で復習。
マジかよ、移動多いじゃん。
当日、開場前の30分だけ、リハーサルできるから来てね!
って送られたMAPを見て、目が点になった。
…朱海さんの学校じゃないの…!
心臓が、一拍遅れた。
「たかこ!待ってたよ~、良かったぁ」
先生にこんなに喜んでもらえて、光栄です。
「じゃ、30分しかないから、集中していこう」
衣装、さすが大学生、かっこいい。
助っ人、だからこそ手は抜けない。
「オッケー、本番もこの調子で!」
及第点をもらえて、一安心。
メンバーのお姉さん達もやさしくて、いかにも高校生ー中学生でもいけるかもーな私が珍しく、
女子会タイムになった。
「中学?いや、高校生よね?」
「みて、この肌!さわっていい?」
「高校生相手になんてことを」
遊ばれてる感はあったけど、
みんな優しくて、楽しかった。
「ステージ見て、声をかけてくる男子も。たまーにいるからね、気を付けるのよ」
「何かあったら、すぐ言いなさいね」
お姉さま、頼もしい♡
メイクとおしゃべりで、あっという間に、本番。
ステージには眩しい照明。
ちゃんと舞台だ…感激。
何度も発表会に出ているから、緊張はしないけど、今日はお姉さま方と一緒。
肩を借りる安心感と、妙な興奮。
…ラスト、ポーズ!
いつの間にか増えていた観客席から、
拍手喝采をもらった。
気持ちいい!
下手にさがったあとも、みんなでハイタッチ!
すごい高揚感。
「たかこ!めっちゃ良かったよ!ありがとう!」
先生と抱き合って、ハイタッチ。
ダンス最高!
私は、ハイテンションのまま、次の日の公演を迎える。
探してみたけど、朱海さんはいなかった。




