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碧い航海日誌   作者: 松本朱海|徒然なるままに
続きの話

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50/59

50、 雨

雨…よく降るなぁ。

なんだか気が滅入る。

けど、今日は仲の良い友達とうちでお泊り会。

お菓子買って、朝まで女子会するんだ。


初めて家に来るので、駅まで迎えに行く。

週末だし、学校から直でくれば早いんだけど、女子は荷物が多いので。


「ちえちゃん、こっちこっち!」

「たかちゃん、お待たせ!」


いつも学校で会っているけど、

私服だとテンションあがる!


「ちえちゃん、かわいい!」

「たかちゃんも!」


お互いを褒めながら、途中のコンビニによる。

あ、朱海さんだ。

気付かないふりしようかな、隠れようかな。

視線を感じたのか、あっけなく気づかれてしまった。


「たかこちゃん、買い物?」

「はい、学校の友達と女子会なんです」

「初めまして、ちえです。たかこがお世話になってます」

「いえ、こちらこそ」


真面目なんだか、ふざけてるんだか。

そんなやりとりをして、食パンを買った朱海さんが先に帰った。


うちに着いてママにも礼儀正しく挨拶。

そして私の部屋に入った途端、


「あれがっ!あの人が噂の?ちょっと、かっこよすぎなんだけど!

お花見の後、どうなったのよ!教えさい!!」


「え~、いやぁ、あのねぇ…」


お菓子も開ける間もなく、映画を見に行った話をした。

『彼女?』『はい』の部分も。


それから、気になった事も全部話した。

バレンタインのやり取りと、映画館で会った、綺麗な女性。


「たかちゃん、わかってると思うけど。一応、言っとくね。」

「え、なに」


「朱海さんは、モテるよ。かなり」

「うん、わかってる」


「そして、3つも年上。過去に何があっても、おかしくない。」

「あぁ‥」


そこまでは考えていなかった。

見ないようにしていた、かもしれない。

自分に都合のよいところだけを見て‥。


「じゃあ、映画館の人はさ」

「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。気になるの?」


「そりゃ、気になるよぉ」

「じゃあ、たかちゃんは?朱海さんに全部話すの?

山本さんと付き合ってた事とか、他にも、何にもない?」


「‥なくもないかかも。話せないかも」

「まぁ、やきもち?あと、心配だよねー。それはわかる」


「わかっちゃうかぁ、隠せないね」


ちえちゃんの目はごまかせなかった。


「だから、ね!たかちゃん、正直に話しなさい。今ならまだ間に合うわよ」

「えっ、何をかな?…」


「それって、もう付き合ってるじゃん」


…やっぱりそうかな。


「でもね、付き合って下さいとか、好きとか愛してるとか、そんな話は一度も…」

「それと同じこと、してるじゃん」


んー、反論の余地なし。


「確かに、ちえちゃんが同じ事してたら、付き合ってるじゃんって、思うかも」

「だよね。

でさ、まだ『大好き』なの?『愛してる』じゃないの?」


それね、正直よくわかんない。


「どう違うのかな。大好きなんだけどさ、愛してない訳じゃないと思うんだけどさ」

「あんた達、もしかして、キスもまだ?」


「そんなストレートに言われると、言いずらいんだけど」

「そっかー、まだかー。じゃぁわかんないかもねー。まぁ、急ぐもんでもないけどさ。

で、どこに惚れたの?」


「惚れたって、ちえちゃん、時代が…」

「やっぱ顔よねー、アイドル並みのイケメンだったし。いい目の保養させていただいたわ」


「顔だけじゃないんだよ、優しいし、手も大きくてあったかいし、悩んでるの、相談乗ってくれたり。

バイクに乗ってるの、すっごいかっこいいんだよ」


「あ、もういいや、なんかムカついてきた」

「なんか、言い足りない」


「すごーく好きになっちゃったのね」

「うん、大好き」


私が認めた事で、ちえちゃんも落ち着いたらしく、

女子会らしくお菓子の時間にすることにした。


朱海さんが好き。

誰かに話したの、初めてかもしれない。

雨はまだ降りやまないけど、私の心はちゃんと晴れていた。



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