50、 雨
雨…よく降るなぁ。
なんだか気が滅入る。
けど、今日は仲の良い友達とうちでお泊り会。
お菓子買って、朝まで女子会するんだ。
初めて家に来るので、駅まで迎えに行く。
週末だし、学校から直でくれば早いんだけど、女子は荷物が多いので。
「ちえちゃん、こっちこっち!」
「たかちゃん、お待たせ!」
いつも学校で会っているけど、
私服だとテンションあがる!
「ちえちゃん、かわいい!」
「たかちゃんも!」
お互いを褒めながら、途中のコンビニによる。
あ、朱海さんだ。
気付かないふりしようかな、隠れようかな。
視線を感じたのか、あっけなく気づかれてしまった。
「たかこちゃん、買い物?」
「はい、学校の友達と女子会なんです」
「初めまして、ちえです。たかこがお世話になってます」
「いえ、こちらこそ」
真面目なんだか、ふざけてるんだか。
そんなやりとりをして、食パンを買った朱海さんが先に帰った。
うちに着いてママにも礼儀正しく挨拶。
そして私の部屋に入った途端、
「あれがっ!あの人が噂の?ちょっと、かっこよすぎなんだけど!
お花見の後、どうなったのよ!教えさい!!」
「え~、いやぁ、あのねぇ…」
お菓子も開ける間もなく、映画を見に行った話をした。
『彼女?』『はい』の部分も。
それから、気になった事も全部話した。
バレンタインのやり取りと、映画館で会った、綺麗な女性。
「たかちゃん、わかってると思うけど。一応、言っとくね。」
「え、なに」
「朱海さんは、モテるよ。かなり」
「うん、わかってる」
「そして、3つも年上。過去に何があっても、おかしくない。」
「あぁ‥」
そこまでは考えていなかった。
見ないようにしていた、かもしれない。
自分に都合のよいところだけを見て‥。
「じゃあ、映画館の人はさ」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。気になるの?」
「そりゃ、気になるよぉ」
「じゃあ、たかちゃんは?朱海さんに全部話すの?
山本さんと付き合ってた事とか、他にも、何にもない?」
「‥なくもないかかも。話せないかも」
「まぁ、やきもち?あと、心配だよねー。それはわかる」
「わかっちゃうかぁ、隠せないね」
ちえちゃんの目はごまかせなかった。
「だから、ね!たかちゃん、正直に話しなさい。今ならまだ間に合うわよ」
「えっ、何をかな?…」
「それって、もう付き合ってるじゃん」
…やっぱりそうかな。
「でもね、付き合って下さいとか、好きとか愛してるとか、そんな話は一度も…」
「それと同じこと、してるじゃん」
んー、反論の余地なし。
「確かに、ちえちゃんが同じ事してたら、付き合ってるじゃんって、思うかも」
「だよね。
でさ、まだ『大好き』なの?『愛してる』じゃないの?」
それね、正直よくわかんない。
「どう違うのかな。大好きなんだけどさ、愛してない訳じゃないと思うんだけどさ」
「あんた達、もしかして、キスもまだ?」
「そんなストレートに言われると、言いずらいんだけど」
「そっかー、まだかー。じゃぁわかんないかもねー。まぁ、急ぐもんでもないけどさ。
で、どこに惚れたの?」
「惚れたって、ちえちゃん、時代が…」
「やっぱ顔よねー、アイドル並みのイケメンだったし。いい目の保養させていただいたわ」
「顔だけじゃないんだよ、優しいし、手も大きくてあったかいし、悩んでるの、相談乗ってくれたり。
バイクに乗ってるの、すっごいかっこいいんだよ」
「あ、もういいや、なんかムカついてきた」
「なんか、言い足りない」
「すごーく好きになっちゃったのね」
「うん、大好き」
私が認めた事で、ちえちゃんも落ち着いたらしく、
女子会らしくお菓子の時間にすることにした。
朱海さんが好き。
誰かに話したの、初めてかもしれない。
雨はまだ降りやまないけど、私の心はちゃんと晴れていた。




