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碧い航海日誌   作者: 松本朱海|徒然なるままに
続きの話

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35/39

35、 君に似合うもの

内緒にしておきたかったのに、うまくいかない。

それでも、ちゃんと渡したい気持ちは変わらない。

そんな、少し不器用な準備の時間。

あなたに似合うのは、どれかな

そわそわ、わくわく。

今日の私に、ぴったりの言葉がでた。

朱海さんのお誘いも、特別に嬉しい。


とはいえ、用事は用事。

約束は約束。

実用的にヘルメットの購入ね。


ママの半キャップは寒いし、

なにより、ちょっと恥ずかしい。

それに、ダンスに送ってくれる朱海さんに、何かお礼がしたかった。


クリスマスプレゼント。

いい響き!


色々考えて、第一候補はバイクの手袋にした。

革の、カッコいいやつ。


そのために、バイト代もしっかり貯めた。

準備オッケー。


…どんなのがいいかな。


約束の5分前。

バイクの止まる音が聞こえた。

それを合図に、玄関のカギをしめる。

気をつけないと、顔がニヤニヤしてしまう。


いつも通り、ちょっとドキドキしながら後ろに乗せてもらい、知らない道を走って、お店に着いた。

都会だぁ。


朱海さんの後ろをおそるおそるついて入る。

飾り気のない店内。

男の人ばっかり。

…なんか、緊張するなぁ。


すぐにでも手袋を見に行きたいのに、行けない。


「どんなのがいい?黒っぽいのが多いけど、この柄なんか、けっこう人気でさ」


朱海さん、楽しそう。

男の子ってこういうの好きなんだなぁ。

私は手袋を見たいのに!


…わざとらしいけど、いくか。


「朱海さん、手袋もありますよ。革の、かっこいいですよね!」


売り場に誘ってみる。

近づいて分かった。

似たようなのがたくさんあって、どれがいいのか、全然わかんない。


「手袋?興味あるの?やっぱ本革がいいけど、高いんだよね。

でも、手にすごくなじむし、暖かいし。もしかして、免許取りたくなっちゃった?」


「免許、考えた事ありませんでした」

「…んー、残念。」


あー、失敗。

次のチャンスをうかがうしかない。


「ヘルメットね、サイズも微妙に違うから、とりあえず気に入ったの、被ってみようか」


炎とか、ラインとかの柄物はちょっと違う。

朱海さんがおすすめしてくれたのを、

試着…してみる。


「いいんじゃない?ちょっと、頭を左右にふってみて」


言われた通りにすると、メットがずれて、顔半分が隠れた。


「たかこちゃん…顔、小っちゃいんだね」


笑いをこらえている朱海さんを、片目でにらんであげる。


「これは危ないからダメね」


そう言われて、脱がされた。

他のもいくつも被ったけど、みーんな大きい。

男子用だから、かな。


一つだけ「小さめサイズ」って書いてあるのを発見。

被ってみたら、ぴったり。


「これにします!」


もう、否応なしで決定。

…早く、手袋を見に行きたい。


朱海さんがヘルメットを持って行こうとするから、思わずひきとめた。

やっぱり、内緒でプレゼントって、難しい。

もう、全部話しちゃおうかな。


「あの、朱海さん、ちょっと、お話があるんですけど…」


困った顔の朱海さん。

そりゃ、そうよね、このタイミング。


「…わかった、どこか、座って話そうか」


あぁ、先にぱっと選んで、買っておけばよかったかな。


でも、手袋もヘルメットと同じ。

サイズが合わなきゃ、使えない。

気に入ってもらえなきゃ、意味がない。


サプライズはあきらめて、全部うちあける事にした。

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