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碧い航海日誌   作者: 松本朱海|徒然なるままに
続きの話

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31/38

31、 手をつなぐ理由

ただの学園祭

でも、少しのすれ違いと、ほんの一瞬の迷いが関係を変えるきっかけになる

気づいたときにはもう、手を離す理由なんて、どこにもなかった

「みーくん」


花の香り?

正面に、先輩がいた。


「昼休み?お昼一緒に行くでしょ?」


約束した覚えはない。

言葉をさがしていると、突然母さんが前に出た。


「あら、お友達?

初めまして、朱海の母です。いつも息子がお世話になってます。」


「お母様でしたか、3年の藤原と申します。

みーくんとは委員会で仲良くさせてもらってます。あ、妹さんも一緒でしたか。」


仲良く…は間違っていないけど、正しくない。

これじゃあまるで…

周りの風景がグレーになったように見えた。

色のない世界。


その時たかこちゃんが俺のうしろに移動した。

いや、違う、隠れた?


頭の中に去年の学園祭が鮮やかによみがえった。

迷子にならないように、つないだ手。

定期入れに隠すようにいれてある写真。


そうだ、何をやってるんだ、俺は。

いつもグズグズしているから、ややこしくなるんじゃないか。


「すみません先輩、この子と約束があるんで」


後ろにいたたかこちゃんの手をとった。

強くなく、でもどこにもいかないように、やさしく、しっかりと。


「そうなの、残念。じゃあまたね。」


先輩は髪をかきあげると行ってしまった。


「あの、朱海さん?彼女さん?ほっといていいの?

わたし、大丈夫だよ。」


そういうたかこちゃんは、心なしか寂しそうに見えた。


「こっちのほうが、大事。

それと、ちゃんと訂正しておきたいんだけど、彼女じゃないから!」


そう伝えたら、息がしやすくなった。

やけに静かだった周りの雑音が耳に入ってきた。

下から心配そうにのぞき込む女の子。


「じゃぁ…漫研、行きませんか?あと、クレープ、食べたい。」


いいな、こういうとこ。


「いいね、一緒に行こう。じゃあ母さん達はライブに…」


話しかけるとなぜか、ガッツポーズをしながら後ずさって行った。

なんなんだ?


「えーっと…」

「お母さん達、行っちゃったね。」

「そう、だね。俺たちも、行こうか。」


迷子にならないように、

転ばないように、

色々な理由をつけてきたけれど。


今は、

この子を守りたいから。


だから今日も手を差し出す。


きっと君は、少し恥ずかしそうに

手をとるだろう。

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