29、 同級生 ふたたび
子どもたちが気づかないところで、物語は動いている
何気ない噂
ちょっとした違和感
そして、それを見逃さない“大人たち”
本人たちよりも一歩先に動き出してしまった、三人の母による作戦会議の記録
――恋は、仕掛けるものかもしれない
ママ‥「あら、珍しく難しい顔してるじゃない?」
しん‥「ん~、かわいい後輩に彼女ができそうなだけだよ」
ママ‥「へぇ、どんな子なの?」
しん‥「うるさい」
ママ‥「んー?なんつった?」
しん‥「あ~、わかったわかった、話すから!あー膝さわんな!ヒザ!!」
‥‥しんちゃんはヒザが弱点であった。
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朱‥朱海さん(みーくん)のママ
た‥たかこ(たーこ)ちゃんのママ
し‥しんちゃんのママ
し‥「って、わけで、問い詰めたらみーくんの話だったのよ」
た‥「そんな事になってたのねぇ」
朱‥「なんかおかしいとは思ってたのよぉ」
た‥「で…?どんな子なの?相手は」
し‥「あんまり付き合いはないらしいから、あくまで噂なのよ、噂」
朱‥「どんな?」
し‥「すっごい魅力的な女子らしいんだけどね、
大抵は男子が入れ込んじゃって、飽きたら捨てるとかなんとか…」
た‥「噂なんだよね?」
し‥「噂よ、噂。委員会の仕事はちゃんとやるそうよ」
朱‥「で、みーくんはその子の餌食に…いえ、好意を抱いていそうだと」
し‥「いや~、まだ“普通”だけど、彼女がアタックしてるのよ」
朱‥「それは、まずいわねぇ…」
し‥「ところでたーこたんは?どうなのよ?」
た‥「それがねぇ、バイト先で彼氏ができ‥」
朱‥「なに?彼氏?誰なのよ!」
た‥「いや、でもすでに別れたみたいなのよねー」
朱‥「あー、なんだ、そうなのぉ」
し‥「間違い無いのね?」
た‥「おそらく」
朱‥「あらぁ♡」
し‥「じゃあ」
た‥「ねぇ♡」
し‥「行っちゃう?」
朱‥「行きましょー!!」
た‥「で?どうする?」
朱‥「あんまり派手にやるのは逆効果よねぇ」
し‥「そうね、あくまでも自然に」
た‥「でもみーくんだって満更じゃなかったわよね?」
朱‥「そーよ、キッカケを作るのよ」
し‥「夏祭りは行かなかったのよね?」
た‥「今年は行ってないわね」
朱‥「何かイベントあるっけ?」
た‥「んー、秋ってなにもないわよねー」
し‥「ん?秋よね?」
朱‥「そーよ、夏祭りとか、初詣とかバレンタインとか何にも無い秋よ」
し‥「あるじゃない!」
た‥「誕生日?」
し‥「じゃなくて!学園祭よ!」
朱‥「お〜」
し‥「たーこたん連れてこられる?」
た‥「んー、大学に行くナチュラルな用事?」
朱‥「あ‥やった、あるわよ」
し‥「なに?」
朱‥「おわらいライブ」
た‥「でかした!」
し‥「あーもう、成功しかみえないわぁ♡」
朱‥「私たち天才じゃない!」
た‥「よし、じゃぁ細かいとこ詰めとこうか」
朱‥「そうね、失敗するわけにはいかないしね」
し‥「でもさ、付き合いました、別れましたじゃぁ失敗よね」
た‥「と、いうと?」
朱‥「なんかさ、定期的に会う理由があればね」
た‥「いつかうまくいくんじゃね?みたいな?」
朱‥「そう!それよ!」
た‥「…いけるかもよ」
し‥「どうするの?」
た‥「実はね、ダンスをまた始めるんだけどね…」
‥‥まぁ、誰が話しているかはあまり
重要ではない。




