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碧い航海日誌   作者: 松本朱海|徒然なるままに
続きの話

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28/39

28、 澄んだ瞳に、影が落ちる前に

夏の気配が、少しだけ早くやってきた頃

何気ない日常の中で、ふとした違和感に気づくことがある。

それが気のせいで終わることもあれば、後になって意味を持つこともある。

そんな“引っかかり”を見過ごせなかった、ある日の記録

暑いな。

夏はまだ先なのに、十分暑い。

朱海にバイクを譲ったので、練習もかねてタンデムで走りに行く。

あいつにとって至福の時。


でも、時折寂しそうな、辛そうな顔をする。

人の事をかまっている暇はないんだが、この間のこともあり、気になる。


そう、この間、中庭で。

3年の女子と一緒にいた。

普段ならからかうんだけどな。

ちょっと噂も気になるし。


「朱海ー、飯いくぞー」


俺も念願のマイカーを手に入れてゴキゲンだ。

久しぶりにドリフトを見に行こうかって話になった。


「んで?付き合ってんの?」


「え…、あ‥告白めいたことを言われたことはあるけど…。

よくわかんないけど、誘われて遊びに行くけど、二人で出かけた事はないよ。」


「好きなのか?」


「ん~、普通。」


笑って話しているだけに見える。

特別なことは何もない。

でも、珍しく気になった。


あの日はたまたま少し離れたところから、その様子を見ていた。

朱海は、ああいう場面でもちゃんとしているはずなのに。

あの日は少しだけ、相手のペースに引き込まれている気がした。


他人に口出しをするのは主義じゃあない。

でも、引っかかる。


「大丈夫だよな」


誰に言うでもなく、そう思った瞬間、逆にその言葉が引っかかった。

理由はわからない。ただ、いつもと同じじゃない。

それだけが、妙な違和感だった。


「じゃあ、ドリフト、いつにする?言っとくけど、見るだけだぜ。」


「あの車で走ったらでんぐり返るでしょー!」


もうすぐ秋。

学園祭の準備で忙しくなる。

でも、そういう事に時間がないとかは関係ないんだよなぁ。


こいつの澄んだ瞳を曇らせたくないと思う俺は、

……暇なんだな、


多分。

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