22、 委員会活動
学園祭の委員会に入った。
にぎやかで距離の近い先輩たちに囲まれて、少しずつ居場所を見つけていく。
そんな中でふと浮かぶ存在。
まだ名前のついていない関係のまま、気持ちだけが少しずつ動き始める。
学園祭の委員会、四葉会。
学園祭の正式名称は四葉祭。
そんなことも知らずに、しんちゃんに誘われて…いや、羽交い締めにされてか?
説明会に参加することになった。
キチンと参加してくれる生徒に来て欲しいと、そこで、改めて入退を問われた。
強引に名前を書かされたとはいえ、運命の出会い、しんちゃんのお導き、
ことわる答えはない。
しんちゃんはかなり面倒見が良い方だと思うけれど、この委員会自体がそういう風習らしい。
お昼時に1人でいると、必ず先輩にごはんに誘われる。
新入生が1人でいると、必ず誰かが相手をしてくれる。
「朱海くん」が「朱海」になって、
「みーくん」に変わった。
始めはとまどったけど、委員会室がいごこちの良い場所になるのに、そう時間はかからなかった。
「みーくん、ごはん行こうよ!」
女子の先輩に誘われた。
いつも必ず複数人だったので、今日もそうだと疑わなかった。
授業が終わって委員会室に行くと、
「じゃ、行こうか!」
先輩がうでを組んできた。
あれ?他の先輩がいない、校門かな?
そのまま、他の先輩も同期も合流せず駅に着いた。
あ~、なんだ?
二人で夕飯?
学食でならいいんだけど、こういうのは久しぶりで…
高校の時の事を思い出した。
何度か女子に告られて、曖昧にしているうちに、何となく付き合っている事になって、
誘われて出かけたけれど、割と早い段階で、振られた。
毎回言われる内容は大体同じで
「ちょっと思ってたのと違ったから」
一体何を期待されていたんだか。
「ね~、みーくんは彼女いるのぉ?」
きかれて言葉につまる。
たかこちゃんの顔がうかんだ。
つきあってる…?
わけでは…ない…んだろうな。
俺の片思い…なんだろうな。
でも、嫌いな男と手は…つながないよな、普通。
だからといって、恋人だとは…思われていないよな、きっと。
そうか、受験も終わったし、たかこちゃんも高校生だし、
もうそろはっきりさせた方が…
「悩んでる顔ね。」
ばれたか。
「ちょっと気になる子がいて…」
「なぁーんだ、じゃあいいじゃない。みんないるからさ、遊びに行こ♡」
迷うよりも早く、腕をつかまれて,駅の向こう側のカラオケルームに連れていかれた。
「はーい、連れてきたよぉ。私のみーくんです♡」
あ…よかった。他の先輩たちもいた。
でも女ばっかり、男は俺一人。
「みーくん、今フリーだからさ、私立候補しちゃうね!」
両脇を先輩に固められ、動けないまま、飲めや歌えやの大騒ぎ。
委員会の話はほとんどなく、お酒はことわったはずなのに、酔っぱらったような感覚だった。
楽しいというか、何だか興奮して調子に乗ってたくさん喋った。
終電にはまだまだの時間だけど、母さんからの夕飯連絡で正気に戻った。
「すみません、俺はこれで…」
「えーそうなのー?じゃぁ出口まで送るね」
先輩にあいさつして帰ろうとしたら、
「みーくん、私、本気になっちゃうかもよ♡」
うしろから耳元でささやかれた。
しばし固まって振り向くと、もう先輩はドアに消えたところだった。
何言ってるんだ?
先輩となにか特別な事でもあったっけ?
頭の中で?マークが飛びかうなか、家に帰るために駅へ急いだ。




