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碧い航海日誌   作者: 松本朱海|徒然なるままに
最初の話

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17、 合格発表

待つだけの時間は、思っている以上に長くて、静かで、不安。

それでも、信じて待つしかない時もある。

そして、ようやく訪れた春のお話。

とりあえず、やることはやった。

それだけは、胸を張って言える。


助かったのは、友達の存在だった。

チューターは安牌を切ることを勧めてくれたが、

友達は違う方法でチャレンジする事を勧めてくれた。


どちらの意見も参考にして、現実と希望を擦り合わせて選んだ。


二次募集の結果は、補欠合格。

順位101位。

つまり、100人が辞退したら、俺の番がくる。

来るかもしれないし、

来ないかもしれない。

連絡がないまま、春が終わる可能性だってある。


これでダメならーーー

いや、まだだ。

まだ終われない。


三次募集も受けた。

母さんは何か言いたげだった。

でも、黙って手続きをしてくれた。

一応…と言って、滑り止めの入学手続きも進めてくれた。


でも、結果は、また補欠合格。

繰り上げ合格ならば、連絡がくる。


どちらからも連絡が来なければ、

往復5時間かけて通学することになる。


それが現実だった。


待つのは、思ったより静かだった。

何かをしていないと、不安が音を立てる。

だから、無意味なくらい問題集をといて、

スマホは机に伏せた。


携帯が鳴るたび、心臓が跳ねる。

違う通知だとわかると、

ほっとして、少しだけがっかりする。


そんな日が、何日も続いた。


入学式まであと一週間。

もう諦めた方がいいよな。

そんな考えが頭をよぎる。


その時だった。


知らない番号。

一瞬、呼吸を忘れる。


「…はい」


事務的な声。

でも、はっきりとした言葉。


頭が真っ白になった。

ありがとうございます、を何回行ったのか覚えていない。


電話を切ったあと、

最初に浮かんだのは、しんちゃんの顔だった。


同じ大学だ。

同じ場所に行ける。


携帯を持ったまま万歳みたいな背伸びをした。

指がどこか押したみたいで、音楽が再生される。

二次募集を決めた日から、自分を奮い立たせる為に毎日聞いた歌。


そういえば聞いていて、後で調べようと思ったことがあった。

「あまねく」の意味がピンと来なくて辞書をひいた。

好きな歌なのに、今日初めて歌詞を見た。


…そうだったんだな。

心に余裕ができたのか、今は穏やかに聞ける。


椅子に寄り掛かると、朱色のお守の隣で、

二人が微笑んでいるイラストが見えた。


最終回で笑えたなんて、最高のハッピーエンドじゃないか。

ハッピーエンドから始まるんだ。

ここから、また。

俺はきっと、運がいい。


たかこちゃんに報告しよう。

やっと、

春が来た。

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