逃避
「お母さんが嫌だから出ていったんじゃない?」
美有は、ぽつりと口にした。その瞬間、母親はカッと目を見開いた。かと思うと、美有の頬を力任せに叩いた。
美有は、母親を睨みつけると、
「私も出てくから…」
と、踵を返した。母親が腕を引っ張って、
「奏人がいない大事な時に、あんたまで面倒かけないでよ。」
と言う。美有は、母親を突き飛ばして、家を出た。
美有は、公園に行くと、ブランコを漕いで適当な歌を歌った。別に、楽しくもなかった。でも、大きな声で歌った。通報されたのかもしれない。警察が来た。美有は、走って逃げた。頭がぐらぐらした。貧血気味で、よく、ふらつく。奏人、大丈夫かな?ふと、そんなことを思った。奏人が行くとしたら…美有は何となく勘づいた。
ネカフェ?
ベッドの中で言ってた。「ネカフェって、漫画あるのかな?」と…。
深い考えがあるわけでもないけど、ネカフェに向かう。繁華な通りにある、ネカフェ…。美有は、途中で、男の人たちにすれ違った。酔ってる。それだけで怖い…。ネカフェに行こうとする途中で、カラオケが見えた。お腹減った。カラオケ…。もしかしたら、フリータイムでいたりする?美有は、カラオケに入ったが、店員を見た瞬間に、嫌な顔をされた気がして、咄嗟に自分が制服姿なのに気付いた。突然、泣きたくなった。誰も頼れない…美有は、カラオケを飛び出すと、やみくもに走った。公園が見える。浮浪者が寝てる…。こんなとこに来てしまうなんて…私は…もうだめなのかもしれない。




