熱
美有は、奏人と引き換えに成績が少し下がった。受験が間近に迫ると、さすがのお母さんも、塾で居残りをしなさい、とか、講座受けなさい、とか指図したけど、美有は、ぼんやり頷いて、やっているんだか、いないんだか、そんな感じだった。
マッサージの回数が減ると、奏人は、「軽いやつ。」と言って、塾から帰ってきた美有に抱き着いたり、キスしたり…耳を噛んだりしてきた。美有は、「ちょっと、邪魔…。お母さん来ちゃうって。」と、うざったそうにする。
奏人は、ここ数ヶ月で、背がとても伸びた。ついに、美有を抜いた。喉仏も出てきて、声も変に掠れるようになった。美有は、かえって痩せて、色白で、いつも物に寄りかかっている感じだった。
奏人は、「美有…しようよ。」と、前より言うようになる。何だか、言葉にも、変な下心を感じて、美有は、「忙しい…無理。」と素っ気なく断る。
美有は、県立高校に落ちて、私立の女子校に入った。制服のかわいい学校だった。奏人は、「かわいいね…」と言って、美有の髪を撫でた。女子校で良かった、と思っていた。
マッサージをしていると、奏人が
「ちょっと、試していい?」
と聞いてくる。
「何を?」
「ゴムは用意してる…」
「えっ?」
「美有が嫌ならしない。」




