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投身  作者: 梅子


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4/10

直視

 しばらく、こんな関係が続いた。奏人は、いつの間にか成績優秀になってきた。今まで何の興味もない勉強だったけど、座って聞いていればなんてことはない。お母さんは喜んで、「もう、精神科はやめましょうか。」と、明るく言った。


 美有は、「奏人、すごいね。」と言った。

「何で?」 

「成績。」 

「美有のおかげ。」 

「えっ?」 

「美有と一緒にいれば大丈夫!!」 

「…。これからも続けるの?」 

「えっ?」 

「これを…。」

奏人は、焦って聞き返した。

「マッサージのこと?」 

「そう…」 

「美有は、やめたいの…?」 

「……。」 

「えっ、やめたいの!?何で!?」 

「こんなこと続けられない…」

 奏人は、ベッドから飛び出して、「美有…」と、顔をじっと見つめた。やめるなんで嘘だよね、と目で訴えた。しかし、美有は、目を伏せた。

「何で?何でよ!?いいじゃん!!」 

「だって、私たち…とのかく、おかしいじゃん!」

下を向く美有に、奏人は、頭に血が上りながら言った。

「赤ちゃんのことだろ?赤ちゃんができないか、心配なんでしょ!?臆病者!!」

美有は、布団にくるまって何も言わない。

「美有!!ずるいぞ!!」

奏人は、美有の布団を掴んで投げ捨てると、抱き着いて、

「お願い…美有…続けよう…。美有…お願い…」

と言ってくる。

 「じゃあ、分かったよ。」

美有は、ようやく口を開いて、そう言った。

「……。」

「奏人が好きな人できるまで、やってあげる。」

「…。好きな人?」

「そう。」

「何で?」

「好きな人とするんだよ、本当は…」

「ぼ、僕…美有が…」

「やめよう。決まったことだから、ちゃんとする。」

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