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第2話 参加できない自慢大会

 成人の儀が終わった後は町の人総出で芽吹きの祭りに移行する。芽吹きの祭りとは厳しい冬を乗り越えることができ、草花の芽吹きを再び見ることができたことを女神に感謝する祭りである。その際教会を中心として町中で立食パーティーが行われるのだ。


「なあ、お前のユニークスキル何だった?」

「よしてくれよ、プライバシーの侵害だぞ?」

「見られて困るステータスもスキルもないだろ、あいつと違ってよ」


 ひそひそと互いに話していた新成人の男たちが魂の抜け殻のようになっているラークに近づいてきた。


「だっはっはっは!おいラーク!なんだよさっきの神父様からの壮大な前振りからの『ユニークスキルは「隠しスキル」である!』ってよ!やっぱお前冒険者ならないほうがいいんじゃねえか?」


 腹を抱えて大笑いしているのは案の定アーガスである。そして、アーガス以外にも男子たちは大笑いしてラークのことをバカにしているようだ。


「ちなみに俺はユニークスキル【剛腕】だったぜ?このスキルを使っている間はステータスの[力]が倍になるんだってよ!いや~俺元々[力]のステータスは95もあったから、これで200くらいに跳ね上がるんじゃねえかな!」


 アーガスの発言を聞いて眼鏡をスチャリとしたのはシレモロである。彼はラムアの町を治める町長の息子であり、次期町長としての才覚をすでに表し始めている秀才である。


「っククク…!あ、アーガス?そ、そんなに笑っちゃラーク君に失礼ですよ。っククク!それに、計算が間違っていますよ?アーガスは頭の方を倍にした方が良かったかもしれませんねえ。95が倍になれば190です。まあそれでも信じられないほどの怪力であることに間違いはないですがね。

 あ、ちなみに僕が授かったスキルは【叡智】でした。優秀で、思慮深く、リーダーシップの強い僕のためのようなスキルですよ!これこそ次期町長である僕にふさわしいスキルですよ。これでラムアの町も安泰ですねえ」


 そんな大笑いをしている男子たちを睨んでいるのは町に唯一ある酒場の一人娘のミュウである。彼女は頬をぷくっと膨らませ、両手の握りこぶしを腰に当てつつ男子たちを叱っていた。


「もう!男子たち!成人の儀が終わったんだから私たちはもう大人なのよ!寄ってたかってラークのことをバカにするなんて大人として信じらんない!誰にだって欠点の一つや二つあるもの。あたしのおとーちゃんなんか酒場を経営しているってのにお酒全く飲めないのよ!料理の腕はピカ一でもなんで酒場やっているのとか意味分かんないわ。

 そういえばあたしのスキルってなんだっけ?…わ!やったあ!【酒呑童子】よ!酒場の娘としてこれ以上のスキルはないわね!

 ねえ、ベスあなたのスキルは何?」


 ミュウに話を振られた紫髪のおさげをしたおとなしそうな女の子。名前はベスと言い、町の学校の校長の娘である。


「え!?私?…私のスキルなんて大したことないよ。【教師】だって。誰かに何かを教えるときに人よりも上手に教えられる…あれ?私、ちゃんと大きな声が喋れてる!嘘!今まで声が小さすぎてパパから『もっと人に聞こえるように喋ることができないと学校の先生にはなれないぞ』って注意されていたのに!…あ、そうか!私のユニークスキルをみんなにボソボソ…ブツブツ…」


 どうやら「教える」という対象から外れてしまえば普段通りになってしまうようだが、彼女はまだそのことには気が付いていないようだ。


そんなこんなで自分たちのユニークスキルの自慢大会が行われているなかラークは心がキューっと潰されるような感覚に陥った。誰にも告げることなくそそくさと家に帰り、そのままの恰好で自室のベッドに横になって枕に顔をうずめていた。


「ああ…ツイてねえ…最悪だ…親父とお袋が出ていったあんとき以上の最悪がこんなところに転がってるとは、いや、転がり込んできたとでも言うべきか?女神さまってのはとことん俺のことをいたぶる趣味があるらしい…

何なんだよ、『隠しステータス』って!誰でもできることをわざわざスキルにする意味…ねえって…グスッ。ああ、俺は何て運の無い男なんだ…」


 一発逆転の可能性のあったスキルにすら見放され、挙句の果てにはそんなゴミみたいなスキルを成人の儀で暴露され、恥ずかしいやらむなしいやらで感情がぐちゃぐちゃになったラークはそのまま枕を涙で濡らしながら眠ってしまった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!

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