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第1話 人生最悪の日

 冬を越し、春がやってきた。ラークたちの住む【セントバロン帝国】では春の「芽吹きの祭り」に合わせて15歳になった少年少女たちを大人として迎え入れる「成人の儀」というものが教会にて行われる。


「ようラーク!おまえ、いいスキル貰えると良いな!」

「おうアーガス。たまにはいいこと言うじゃねえか。お前もな」


 成人の儀では少年たちを大人として認めるだけではなく神父による祝福の祈りと共に「ユニークスキル」というものが授けられる。このユニークスキルというものは女神【ニュンベル】が人々に必ず一つ与えるものであり、その人の将来の道しるべともいえるものなのである。


(女神さま、どーかこのもやしステータスの俺に最高のスキルを与えてください!)


 少年たちは自分たちが大人として認められることをくすぐったい気持ちで受け入れながらも、その関心は「自分たちのユニークスキルが何であるか」に向けられていた。それもそのはず、この世界ではユニークスキル以外のスキルは努力によってすべて習得可能である。すなわちユニークスキルというのは個人のアイデンティティの一つとも呼べる重要なものと言えよう。


(やばっ、昨日緊張して寝れなかったから、今眠気…が…)


 今年ラムアにおいて成人の儀を受けるのはラークも含めて10人。バシッと決まった一張羅を着て、堅苦しい神父の説教を睡魔に耐えながら舟をこぎつつなんとか食らいつく。


「では続いてユニークスキル授与の時に移行する!新成人たちは前へ!」


 ついにユニークスキル授与式がやってきて、新成人たちはシャキッと目を覚まして一人ずつ神父とニュンベル像の前にひざまずいて祈りの姿勢を取る。その姿勢を確認した神父が彼らの頭の上に手を置き祝福の言葉を述べる。


「天に居ます我らの女神ニュンベルよ。この荒れ狂う社会の中で新成人たちがあなたのことを忘れることの無きようこの者に女神の力の一端を分け与えたまえ。スキル授与!」


 この言葉と共に各々ユニークスキルが授けられる。だが、神父は彼らにどんなスキルが授けられたのかまでは神託として知ることはない。そう、例外を除いて…


「…女神の力の一端を分け与えたまえ。スキル授与!…お?この反応は?なんだ!?いまだかつてないほどに女神からの力を感じる!ラークよ!そなたに神託が下った!このユニークスキルは世界を一変させるだけの力がある!皆の衆心して聞くが良い!彼のものに与えられしスキルの名は【隠しステータス】である!」


 神父はラークにかざしている手からすさまじい女神の力を感じ、教会に集まった人たちを静まらせ、大々的に神の神託としてスキル名を宣言をしたのであるが…


「…隠しステータス?」


 神父は自身の口から出た言葉に首を傾げざるを得なかった。それもそのはず、この世界では念じれば自分や他者のステータスを確認できるのであるが、プライバシーに配慮してなのか基礎ステータスとユニークスキルを除く項目は隠すことができるのである。もちろん「隠しているステータスorスキル」があるということはばれてしまうのだが、ステータスを隠すということは誰でもできる『スキルですらない』普通のことなのである。


 教会内に一瞬の静寂とどよめきが走ったもののラークの次にもスキル授与の儀式は行われるためひとまずラークは自身の席に戻らされた。ラーク自身、今起きていることへの理解が全く追い付かず、真顔に目が点、口は△の形のまましばらく動けずにいた。


「え…?は…?一体何が起きたんだ…?」


 そんなラークを見てニヤニヤした顔が止まらない悪ガキどもの顔がラークの心を抉る時間が訪れるのにそう時間はかからなかった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!

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