1-E
短いので二話投稿します。(2/2)
ゴブリンを倒した後。一通りの後処理、例えばジェイクによるエドの治療や、念のためのゴブリンへのとどめなど、がひと段落したのを見て、おずおずとマルチナがアルカに近づく。
「あの、また助けてくださいありがとうございました。七骸のアルカさん」
「あんっ!?」
アルカの応えに怒りが混じってしまったのは、七骸というアルカにとってのNGワードを言われたからだ。もはやこれは条件反射みたいなものであるため、アルカ自身にもどうにもならない。しかし、マルチナには他意はない事は分かるし、涙目になってしまったマルチナを見れば、自分が悪いことをしたのだとの反省くらいはアルカにもできた。
「わ、悪い悪い。その、七骸ってのはあまり呼ばれたくなくてな。控えてもらえるかな」
「は、はい」
おっかなびっくりとマルチナが涙を引っ込めてくれたことにアルカは安堵の息を漏らした。
(それにしても――)
アルカはゴブリンを見やった。ゴブリンを始めとする妖魔は、半霊生物の中でも霊的な比率が高いとされているため、人間等の他の動物と違い死体の風化が著しく早い。とはいってもまだ完全に崩れてはいないゴブリンの死体を眺めながら、アルカは戦闘前に引っかかっていた事を思い出していた。
(数が多すぎる――)
いくら何でもこんな村に16匹が襲い掛かってくるまで目撃が無いことなどありえるだろうか。それに最近ゴブリン退治が多い事も関係あるのかのかもしれない、とアルカは考えざるをえなかった。
(手を打っておいた方が良い、か)
アルカは静かに懐の携帯端末に手を伸ばした。
***
そんなアルカを、山の高いところから見下ろす人影があった。男だった。うっそうとした木々に隠れるようにしながら、黒いコートの男は麓にいるアルカ達の姿を見ていた。
男はアルカの姿を見、わずかに目を見開いた。
「あれは、アルカか? 何故こんなところに……面倒な事にならなければよいが」
そう呟く男の声には、若干の苦味が含まれていた。




