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1-5

短いので二話投稿します。(1/2)

(やば、危なかった)


 アルカはマルチナに怪我が無いようなのをみて、内心ほっと胸をなでおろしていた。


 ラペルからの依頼を受けたアルカは「なんでゴブリン退治ばっかり」などとグチりながらもソルケ村に向かったのだ。道中多少休みを挟んだが、いざ村が見えたところで何かがおかしいとアルカは気づいた。

 そこで骸装具たる眼鏡に込められた魔法を発動。基本的には夜闇を見渡す事ができる魔法だが、多少の遠視もできる。そこでアルカの目に飛び込んできたのは、ゴブリン達と戦うマルチナ達の姿だった。


「やべっ」


 慌ててアクセルを踏み込んで全力でバイクを飛ばし、なんとかマルチナを救う事ができたという顛末に、アルカは運がよかったと思わざるを得なかった。

 アルカはラペルからこの村でのゴブリン被害を退ける依頼を受けている。つまり、ゴブリンと戦うのは本来アルカの仕事なのだ。それがどんな理由かはわからないが別のパーティがゴブリンと戦っていて、しかもそれで負傷などしたら寝覚めが悪いどころの話ではない。


 マルチナを後ろにゴブリン達を見ると、残っているゴブリンは全部で八匹。三匹はジョディとエドにまとわりつき、残りの五匹はいまだエンジン音を鳴らすバイクをおっかなびっくり見ていた。その五匹が、アルカに気づいてニタァと笑みを見せる。獲物を見つけた、という時に反射的にゴブリンがする表情だとアルカは聞いていた。


(……多いな)


 アルカがバイクで引いた二匹、そしてマルチナ達が倒したのであろう六匹を加えたら、全部で十六匹もいることになる。簡単な依頼だと思っていたアルカにとって、この数は予想外ではあった。


(でもま、とりあえずはいいか)


 アルカはその引っ掛かりをとりあえず忘れる事にした。終わってから考えればよい事だしそれに――この程度の数はアルカには問題ではなかったのだ。


「今から行くから、それまで耐えとけよ!」


 奥でゴブリンの攻撃をしのぐジョディとエドにそう声をかけると、アルカは帽子を指でつまんだ。そして先頭を走ってアルカに迫る一匹のゴブリンに向かって投げつける。

 シュルシュルと回転して飛ぶその帽子もまた骸装具だった。外周にはカマイタチ系の魔獣の爪が素材として使われいた。生前は理力付与系魔法で真空の刃を宿した爪を振るっていた魔獣だ。帽子として加工された今は、魔力により帽子の外周に真空の刃をまとわせたまま飛ぶ。

 真空の刃となった帽子はフリスビーの如く飛び、ゴブリンの首を容易く深く切り裂いた。ゴブリンにしてみれば突然飛来した何かに驚いている内に首を切り裂かれたとしか思えなかっただろう。

 フリスビーと同じく戻ってきた帽子は魔力が切れて真空の刃は消えていた。それを頭でスポッと器用に受け取めながら、アルカは残った四匹の中に突っ込んでいく。


 ゴブリンが驚いて体を硬直させる一瞬、アルカはコートを翻すように体を回転させた。コートがばさりと舞ってゴブリン達に触れる。が、それは撫でるという表現では済まないものだった。

 このコートも骸装具である。元は鉄針鼠の魔獣で、魔力を通すことで全身の毛を鋼鉄の如く硬くすることができた。故に魔力を通すだけで、鉄の鎧並みの防御力を持てるコートになる。しかも、そこで毛を逆立てた状態で毛を硬化させると、鋼鉄の針が全面についた凶器と化す。物質強化系魔法で鉄針を生やすことになったコートは、ゴブリンの身体の前面をその鋭い針の連なりでえぐり取った。

 巻き込まれた三匹は断末魔の叫びを上げる間もなく、その場に崩れ落ちた。残った一匹が何が起こったのかと惑う間に、アルカはエド達を見ながら、位置を少し移動して角度調整する。


「はい、ドーン」


 その場で飛び上がり、両足を突き出しゴブリンの胸を蹴りつける。ドロップキックだ。と同時に、骸装具たるブーツの魔法を発動する。

 ザルバディカにいる魔脚鳥は、鳥であるにも関わらず飛ぶことができない。その代わり、魔力で強化した足で強靭に走り回るし、その脚力で獲物を蹴り殺したりもする。その脚の骨と皮を用いて作られたブーツに宿った生体強化系魔法は、瞬間的にアルカの脚力を飛躍的に伸ばしてくれる。


 アルカの両足を揃えた蹴りは、ゴブリンの胸骨を砕き内臓を潰しながらも、その体を砲弾の如く飛ばす事に成功。宙を飛んだゴブリンの身体は、エドを襲っていたゴブリンを巻き込んで吹き飛ばした。エドからすれば、突然何かが飛んできて目の前のゴブリンが消えたようにしか見えないだろう。

 ゴブリンを蹴とばした後、アルカは器用に体を半回転させると地面に着地。ついで、ブーツの生体強化系魔法を再度発動させると、その足で地面を蹴った。強化された脚力は、アルカを弾丸のように移動させ、ジョディ達の元へと運ぶ。


 横を通り抜けざまに、手にしたナイフでジョディに攻撃していたゴブリンの一匹の首を切り裂く。そして地面に足をつきたてて体を急停止させると、勢いそのままに体を半回転さえ、もう一匹のゴブリンの頭に回し蹴りを放つ。ブーツの魔法に強化された脚力で放たれた蹴りは、ゴブリンの頭部を首から千切り飛ばしていた。

 残ったゴブリンは、エドを襲っていて飛んでくるゴブリンに巻き込まれた一匹だった。そのゴブリンが這う這うの体で、胸を潰されたゴブリンの死体から這い出てくる。と、その体に影がかかる。ゴブリンが見上げると、そこにはアルカの姿。


「残念」


 アルカが振り下ろした短剣は骸装具ではあったが、それに宿った魔法を発動させるまでもなく、刃はゴブリンの命を容易く刈り取った。


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