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短いエピソードと連続投稿します(1/2)
彼は、自分が生まれてからどれ程の時間が経ったかを理解してはいなかった。長かったかもしれないし、短かったかもしれない。いや、むしろ時間の概念を理解しているかも怪しいのかもしれない。
ただ食らい、ただ奪い、ただ殺し、ただ寝た。
それは本能に従った動きでしかなく、暗い暗い光のほぼ届かぬ闇の中で、彼はひたすらただ生きていた。そんな環境に甘んじていたのは、近くにダンジョンコアがあったからだ。
(これの近くにいたら、もっともっと力を得る事ができる――)
ここまで明確な言葉での理解ではないが、彼は本能的にそれを理解していた。そしてそんな停滞が直に破れるであろうことも予見していた。
――そして、それは不意に訪れた。
彼がいた一室。その扉が不意に開かれ、何かが投げ込まれたのだ。彼はダンジョンコアと共にいる事を優先したために破ろうともしなかったが、一緒に生じたノーマルゴブリンが必死に開けようと努力してもダメだった扉だ。
が、それが唐突に破られた。どこかの穴から漂ってくるのではなく、開いた隙間から新鮮な空気が流れ込んでくる。
彼は唐突にそれを嗅ぎたいと思った。そして一歩踏み出した瞬間に理解した。――時が来たのだ、と。
まず彼が手を伸ばしたのはダンジョンコアだった。彼に力を与えてくれたもの、故に彼がここに留まった理由でもあった。が、時が来たのだ。彼はダンジョンコアを掴むと、その瘴気を一気に吸い込んだ。もし彼がただのノーマルゴブリンであったならば、その瘴気過多により体がはじけ飛んでいたかもしれない。しかし、彼はそうならない確信があった。もうそれに耐えうるだけの力を自分は得ているのだと。そして、この吸収により自分は更なる高みに達する事ができるのだと。
――しばし後。彼はむくりと立ち上がった。その姿は先刻までの姿よりも一回り大きく、より強大な力を秘めている事が感じられた。
やがて扉に向かって歩みを進めた。その足が先ほど投げ込まれた何かに突き当たる。気にせず踏みつぶそうとして――彼は気づいた。
その投げ込まれたもの。太く、彼の身長程もある大きな棍棒ではあった。しかしただの棍棒ではない。装飾はともかく、それは”自分が持つべきものだ”とシックリと来たのだ。
彼はそれを掴んだ。途端に、自分の中の魔力の流れが活性化し、力が湧き上がってきたのが分かる。これが何かは分からない。だが、これがあれば自分がまた更に強くなれるのだという事は理解できた。
(――時が来たのだ!)
彼は咆哮を上げた。確信できたのだ。ダンジョンコアと共にある時間は終わりを告げた。これからは外に出てよい時間になったのだと。
(時が、来た!)
これまで意識もしていなかった時間が動き出す感覚に、彼は狂喜した。




