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4-P

短いので二話投稿(1/2)

「――で、これは骸装具ということで間違いないんだな?」

「……と、思う」


 ダニエルの言葉に、アルカは目の前に置かれているゴブリンジェネラルが使っていた武器を見ながら、絞り出すように答えた。


 ゴブリンジェネラルを倒した後のダヤンとの会話で、ゴブリン達の強さが骸装具に寄るものではないかと発覚した後。アルカはメビアにまで連れ戻されていた。名目としては「後の掃討処理は駆けつけてきたギルドメンバーに任せて、ここまで戦いぬいたから休め」ということだったが、その実は事情聴取のようなものだった。

 メビアのギルド支部の一室にて、ギルド職員であるダニエルがそんなアルカを見たままため息をついた。


「曖昧だな。判断がつかないのか?」

「いや。そもそもゴブリン達は妖魔だ。骨も風化が早い。それが起きていない時点で、特別な処理を施している事は確実だ。ゴブリンレベルの知能でできる事じゃない」

「じゃあ、なんでそんな自信なさげに言う」

「無茶言わないでくれ。骸装具は、魔獣の強力な魔法を使用してやろうというのが発想のもとだ。如何に上位種とは言え、誰がゴブリンの魔法なんて使おうなんて思うんだ。ゴブリンの遺骸を使った骸装具なんて見た事もないんだ」


 特徴的な魔法を使う他半霊生物を骸装具にした例はある。その技術が応用されたのだ、ということは分かる。だが、ゴブリンの魔法はゴブリン自身の能力を向上させるためのものであると見なされ、特に人間が使いこなす意義を感じられるものが無く、骸装具が作られることもなかったのだ。――これまでは。

 そういうと、ダニエルは眉を上げて目の前の武器を見やった。


「と、いう事はこれは意味のない武器ということか? ゴブリン達が強くなったようだが」

「半霊生物であるゴブリンの身体が霊体的性質を強く帯びているならば、ゴブリンの能力全体を向上させる効果に繋がる、のかもしれない。曖昧にしか言えないが」

「念のために聞くが――お前が作った訳じゃないよな?」


 言われて頭に血が上り、アルカはダニエルの首元に手を伸ばしてネクタイを掴んで引き寄せてしまう。


「あたしがやったって言うのかっ!?」

「い、いや。そう考えてはいない。そうならそもそもお前さんが苦労して一人でゴブリンの群れと戦う危険を冒す必要はない。が、聞かない訳にはいかないこっちの立場も理解してくれ」

「…………」


 アルカがネクタイから手を離すと、ダニエルは汗を滲ませつつも、ネクタイの形を整えてみせた。彼なりの精神安定なのかもしれない。


「確認するが、骸装具の作成はセイワーズの秘匿技術なんだよな?」

「ああ……そうだ」

「であればこれは国際問題になるかもな。セイワーズに連絡を入れておかねばならんな」


 言いつつ手元の紙に何かを書き連ねていくダニエル。

 が、その時アルカの頭には一つの可能性が浮かんでいた。

 自分が子供の頃、セイワーズの骸装具作成の技術流出の罪で捕まってしまった存在が。そして、姿を消してしまったかつての憧れの存在、ハーディの事が。


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