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「話って?」
「その、海里が昔に組んでいたパーティの、ことなんだが……」
「……なんだ、もう誰もダンジョンなんか潜ってない……と、思うぞ」
連絡すら取り合ってないから、今何してるか全く知らないんだよなぁ。
唯一近くに住んでた神林も大学卒業からは見かけないし、久米と寺内は成人式でちょろっと顔合わせたくらいだ。赤野なんて高校卒業から一度も会ってないぞ。
「そのパーティに」
リンは、自信なさげに俯いて、小さな声で言った。
「勇者が、いただろう」
顔を上げたリンは、――どうしてだろう。
泣きそうな顔で、俺を見る。
「……あ、うん」
「軽いな」
「まぁアイツ、割と普段から勇者を自称してたからなぁ。当時はネットでも結構痛い奴って叩かれてたし」
「そうなのか!?」
「……あれ、そっから知ったわけじゃないのか」
ヤマトは別に、『勇者』という特殊なスキルを持っていることを隠してはいなかった。事あるごとに「勇者だから」と言っていたし、まぁ他人のスキルなんて見れない以上、傍からはただの痛い奴という扱いだったと思うが。
たぶん、掲示板の15年以上前のログで『勇者』と検索すれば、いくらでも情報は出てくることだろう。それが正しい情報かは置いといて。
でもそれを知らないのに、何で勇者の存在を知ってるんだ? あと当時はヤマト一人が目立ちすぎて残りのメンバーは添え物扱いだったし、俺がそのパーティに居たことを知っているのも、考えてみると妙だ。
「……勇者の名は、東谷大和」
「そこまで知ってるのか。でも会ったことなんてないよな?」
だって、リンってまだ19とかだろ? ヤマトが死んだのは15年前だから、会って4歳だ。4歳って記憶残ってんだっけ。幼児期健忘って何歳までだっけ?
「ある」
「そうなのか?」
「東谷大和は――」
リンは。俺の手を握る。
逃げられないようにか、それとも――
覚悟を決めた顔で、リンは言った。
「私の兄だ」
その言葉で。
――俺は、思い出した。




