↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅神龍の御子になった少女の帝王学 ~剣聖イェンリン様のお気に召すまま~  作者: KAZ
第4章 王国激動編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
76/80

ゴルゴダ村への帰郷

Xもよろしければフォローをお願いします!!

Xはじめました↓↓↓

https://x.com/KazBgd


pixivにて新規キャライメージ画像更新中!

※AI生成画像

https://www.pixiv.net/users/15342558


※モチベーションに繋がります!※

いいね・ブックマーク・評価☆☆☆☆☆採点いただけますと励みになります。よろしくお願いします。

―――メイローズの街を出てからコノ村、アノ村と通過して進むイェンリン達。


途中で馬を休ませるためと食事をするために休憩を挟むと―――


「ヤアアアッ!!!」


気合いと共に鍛錬用のロングソードを手に、アルヴィトへ向かって行くイェンリンの気合いが込められた声が街道沿いの草原で響く。


「―――フンッ」


その気合いの斬撃をアルヴィトはその手にしたロングソードで軽々と受け止めると、『全知』のスキルで得たイェンリンの剣技を模倣《トレース》して打ち合う。


鉄の刃が残像を繰り出す速度で打ち合うと、二人の周囲で目にも止まらぬ剣戟が金属音と共に火花を散らす。


アルヴィトの模倣したイェンリンの剣技だが、元々の実力が上であるアルヴィトが用いれば本物であるイェンリンの剣では分が悪い。


(これが私の剣技なの!?全然追いつけないし、追い越せない!!)


確かに自分の模倣と言われたら確かに憶えのある動きだが、アルヴィトの実力が上乗せされてまったくの別物に感じていた。


「ああ~あれはまた負けるねぇ~」


二人の鍛錬を馬車の傍で眺めていたゴンドゥルが呟く。


「そう簡単に成り立ての御子に敗れていては、紅の戦乙女《クリムゾン・ヴァルキリー》の沽券に係わる」


同じくゴンドゥルと二人の鍛錬を見ていたブリュンヒルデだったが、その割には落ち着かない雰囲気を醸し出す。


(自分が指導したかったのに、イェンリンにアルヴィトを指名されて妬いているのが丸分かりだねぇ……)


ブリュンヒルデの素振りから心理を読み取るゴンドゥルは、再び二人の鍛錬に視線を向ける。


高速で打ち合う剣は更に加速し、先ほどまで以上に金属の激突音が増していた。


「ハアアアアア―――ッ!!!」


一度バックステップを挟み、即前進してアルヴィトに向かって行くイェンリン―――


―――だがアルヴィトは我が身に迫りくる剣の切先を見切ると、僅かに身体を移動させることでその剣を躱した。


「―――ッ!?」


間を外されて躱されたイェンリンは体勢が崩れて、僅かな隙を生み出す。


その隙を見逃してくれるアルヴィトではない。


「―――ハッ!」


小さな気合いの声と同時に、イェンリンの身体へ一気に密着するほど接近すると、そのまま胸座を掴み―――


「フンッ!」


―――なんと左腕一本でイェンリンの身体を振り回して、草原の上に投げ倒す。


「グフゥ?!」


背中から受け身も取れずに投げ落されたイェンリンは、地面に背中を打ちつけて肺から空気が吐き出された。


「……ここまでにしておきましょう。休憩を取ることも大切です」


倒れ込んだイェンリンを覗き込むようにして、アルヴィトが手を差し伸ばす。


「痛ててぇ……ありがとう……」


その手を取ってイェンリンは倒されたところから身体を起こしてくる。


「アルヴィトの動きについていくことも出来ないで終わったわ……」


立ち上がり、今の鍛錬の反省を口にするイェンリンだったが、


「前回の鍛錬の時よりも動きが上がってきていますよ。それに前にあった隙も減ってきています。模倣された自分を相手にしているということは攻め手を見つけたなら、それは貴女自身の弱点でもあるのです」


「そうね……確かに自分の動きだと意識して相手をしていると、そんな隙を作らないようにしようって参考になるわ♪」


笑顔で感想を述べるイェンリンをジッと見つめるアルヴィトに思わず首を傾げる。


「……どうしたの?」


「いえ、痛めたところはないようですね。此処にはレギンレイヴがいませんから、大怪我をするとすぐに『回復』を掛けてくれる者がいませんから」


「ああ、怪我がないか見てくれていたのね。そうね……でも、そのことも私にとっては甘えだから」


「甘え……なるほど。そう思えるようになったということは、それはイェンリンの成長なのでしょう。良いことだと思います」


「面と向かってそう言われると、流石に照れるわね……/////」


「フフッ♪」


そこでアルヴィトが小さく微笑んでくれたことに、イェンリンは驚くと同時に喜びを覚えた。


「アルヴィトはそうして笑っている方がとっても可愛いわよ♪」


「か、可愛い……私が、ですか?」


イェンリンの言葉が信じられないといった表情で返すアルヴィトだったが、


「可愛いわよ!もっと笑えばいいと思うわ♪」


腰に手を当てたイェンリンが当たり前のことだと言わんばかりに胸を張り、アルヴィトに告げると馬車の方へと向かって行く。


アルヴィトはイェンリンの背中を眺めながら、


「フフッ♪」


再び一人で小さく微笑んでいた―――






―――そうして馬車を進めていくと、間もなくゴルゴダ村という位置まで進んできた。


「ッ!―――お願い!!あそこで止めて!!!」


馬車の荷台から馭者台のブリュンヒルデにそう叫んだイェンリンが目にしたのは、


「メイスンさん……」


且つてのゴルゴダ村で他の村との交易所として利用していた建物の跡だった。


七年前には木で建てられたその建物には窓と大きな入口の扉があり、他の村の交渉人を迎え入れては物々交換をしたり、現金で売買を行ったりしていた場所だったが、


「……」


今は窓の硝子も割れて扉は蝶番が半分外れ、風に揺られてブラブラと揺れている廃墟と化していたことにイェンリンは閉口する。


此処でカウスラー王国の戦士団の部隊と遭遇し、交易に連れて来てくれていたメイスン=ラジウムが殺された。


その時の光景がこの場に舞い戻ったことで、より鮮明にイェンリンの脳裏に甦ってきた。


斬首されて息絶えたメイスンを埋葬することも出来ず、マルクと共に逃げた自分を思い出すとイェンリンは自分の無力さに改めて打ち拉がれる。


「ごめんなさい……メイスンさん……此処へ帰ってくるまで……七年も掛かってしまいました……」


あれから年月が経ち、当然だがメイスンの亡骸はそこには残っていない。


イェンリンは特に信仰している神というのはいない。


だがその場で両手を胸元で組み合わせると、ギュッと握り祈らずにはいられなかった。


(あの時、私とマルクを護ってくれたこと……ありがとうございます。せめて御返しにマルクの行方は必ず見つけます。だから見守っていてください……)


長い祈りを捧げてイェンリンは手を放すと、馬車に向かってゆっくりと振り返ると、


「……」


そこでは、横に並んだゴンドゥル、ブリュンヒルデ、アルヴィトの三人も手を組み鎮魂の祈りを捧げてくれている姿が目に入る


「……ありがとう」


此処でメイスンに祈りを捧げてくれた三人に、イェンリンは礼を告げて先を進むことにした―――






―――それからゴルゴダ村に向かって街道を進む。


すると行く手に建物の影が見えてきた。


そこには、焼け落ち、崩れ落ち、朽ちていった建物だった物が跡を残している景色が広がっていく。


廃村の様相を見たイェンリンは馬車の中から窓の外を見つめながら奥歯をグッと噛みしめる。


幼い頃に過ごしてきた村が今では跡形もなく、廃墟や焼け落ちた建物が並ぶだけになっていた。


妹と幼馴染を探すために飛び出した時にも目にしていた光景だったが、あの時は焦りに駆られてハッキリと見ていなかったこともあり、こうして現実を目にすると当時よりも衝撃が大きい。


(あれは狩人のおじさんの家……あっちはいつも野菜を分けてくれたおばさんの家……)


村の中を進んで行くと、村人との思い出が止めどなく脳裏に押し寄せてくるイェンリンは目頭が熱くなっていた。


ボロボロの建物には七年前の襲撃の爪痕がまだ彼方此方に残っており、朽ちた矢が刺さったまま中程で折れていたり、剣や槍で傷ついた壁の傷痕があったりするところが目に入る。


同じく窓の外を眺めていたゴンドゥルは何も言わず、そして無表情ではあったが内心ではドス黒い怒りが渦巻いていく。


(あの時……アルヴィトが止めてくれなければ……私は間違いなくカウスラー王国を滅ぼしていた……いや、今でも滅ぼしたい気持ちに変わりはない)


ブリュンヒルデは廃墟と化したゴルゴダ村の中でも、正確に道を憶えておりイェンリンの家があった場所へ向かって行く。


その道はゴンドゥルと訪れた際の光景を思い出させており、あの時にゴンドゥルが先に感情を爆発させていなければ、カウスラー王国へ向かって駆けていたのは自分だったかも知れないと思い返していた。


「……着いたぞ」


そうして停車した馬車の馭者台から振り返って、イェンリン達へ到着したことを告げると、荷台から外へ出る。


「……私の家……ただいま」


―――そこは完全に瓦礫の山となり、七年という歳月により草木が伸びて瓦礫を覆っていた。


しかしそんな状況になっていても自分が育った家を忘れるはずもなく、この瓦礫の中から這い出して哀しみの中で村長の家に向かっていった幼い自分の姿を幻視するイェンリン。


隣のメイスンとルメイ夫妻の家も焼け落ちて崩れ去り、そこに幸せな生活と光景があったことを否定するかのように残酷な景色に変わっていた。


そして家の前にあった父ダンク=ロッソと母カリオラ=ロッソの燃え尽きた灰も、今では跡形もなくなって土に帰ってしまっている。


その場所の前に立ち、静かに膝をついたイェンリンは両手を組んで祈る。


「ただいま……父さん……母さん……ごめんね。 帰ってくるまでにこんなに時間が掛かって。それに……エリシラもまだ見つけられていないの。でも、必ず見つけ出すから……だから見守っていて……」


何も無い土の上に向かって祈りと共に決意を告げたイェンリンと、その後ろで同じく手を組み、そして祈りを捧げるゴンドゥル、ブリュンヒルデ、アルヴィトの三人。


(ダンク……カリオラ……さぞ無念だったろう……アンタ達の代わりになんてなれないだろうけど、それでもイェンリンは私が護るよ。だからイェンリンとエリシラを見守ってあげておくれ)


ゴンドゥルは此処で過ごした際に言葉を交わした二人の冥福と、子供達のことを見守ってくれるように願う。


既に此処へ到着するまでに陽は傾き始めていて、辺りは夕陽に染まり始めている……


「今日は此処で休んで、明日は父さんと母さんのお墓を立ててあげたいの……いい?」


振り返って三人に告げるイェンリンの頭に、ポンッと手を置いて撫でるのはゴンドゥルだった。


「そのために此処へ帰ってきたんだろう?良いに決まっているさ。明日は私も手伝うよ」


「……ありがとう。ゴンドゥル」


薄っすらと涙ぐむイェンリンは、弱々しい微笑みを浮かべて礼を述べるとギュッと両手の拳を握りしめる。


「必ず、二人を見つけだすわ。父さんと母さんに誓って」


何も無い地面を見つめながら、イェンリンは改めて誓いを胸に刻むのだった―――



いいね・ブックマーク・評価☆☆☆☆☆採点いただけますと励みになります。よろしくお願いします。



レビューも記入して頂けますと励みになりますので、宜しくお願い申し上げます。

感想頂いてとても励みになります!

誤字報告も本当にありがとうございます!


これからも宜しくお願い申し上げます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。