↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅神龍の御子になった少女の帝王学 ~剣聖イェンリン様のお気に召すまま~  作者: KAZ
第4章 王国激動編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
73/80

ヴァーミリオンの胎動

Xもよろしければフォローをお願いします!!

Xはじめました↓↓↓

https://x.com/KazBgd


pixivにて新規キャライメージ画像更新中!

※AI生成画像

https://www.pixiv.net/users/15342558


※モチベーションに繋がります!※

いいね・ブックマーク・評価☆☆☆☆☆採点いただけますと励みになります。よろしくお願いします。

―――ヴァンウルフ自治領区の『魔物憑きの森』から紅龍城にイェンリン達が戻って早くも六日の時が流れた。


あの一眼鬼王《サイクロプス・キング》を討伐した直後―――


「―――イェンリン!!!その目は!!」


屋敷に戻ったイェンリンの姿を見て絶叫し、卒倒しそうになったのはレギンレイヴだった。


泣きながらイェンリンに全力の『回復』の加護を施し、すぐに身体を元の状態に戻していった。


その慌て怒り泣きじゃくるレギンレイヴにイェンリンは苦笑いしか出来ず、またその心配してくれている様子に何かを言い返すことなど出来るはずもなかった。


―――そうして此処での目的を果たしたイェンリンのLevelが100になったことを報告された紅蓮は、


「よく頑張ったわね。それで?―――イェンリン、これから貴女はどうしたいの?」


力を持ったからこそ、その問いを投げ掛けてきてくれたのだと今のイェンリンは理解出来る。


「私は……私は、妹を―――エリシラを探しに行きたい!」


その言葉は勢いで語った言葉ではなく、自分の力をよく考えた上で出した結果である。


しかしイェンリンの事情を知らないシータは、その妹を探したいという言葉に驚きの顔を向けた。


「そう……いいでしょう。でもまずは紅龍城に戻ってから、どこをどう探すのか計画しましょう。それでいいわね?」


「分かったわ。ありがとう……紅蓮」


微笑みながら礼を言ったイェンリンに、紅蓮は頷き微笑みを返したのだった―――






―――そしてヴァーミリオン皇国の紅龍城へ帰還して、


シータはセキト城へ戻り、皇帝ヴァンヘルムと皇妃ネメリアへ『魔物憑きの森』での、皇族としての務めを果たしたことを報告した。


玉座の間には皇族貴族達が数多く集い、皇女の帰還を歓迎する素振りを見せていた。


その様な中でシータは森へ『紅神龍の御子』と共に赴き、一眼鬼王《サイクロプス・キング》を討伐したことを報告すると、玉座の間では―――


「オオォ……流石は皇女殿下と紅神龍様の御子様だ!」


―――シータとイェンリンを賞賛する声を上げる皇族貴族達と、


「……いくら何でも超上位種と言われる一眼鬼王《サイクロプス・キング》を討伐など……只の一眼鬼《サイクロプス》をそう言っているだけではないのか?」


猜疑心で塗れた皇族貴族の声が囁かれていた―――


―――皇太子カイザエルも疑いを持つ者達と同様に思ってはいたが、表立ってそれを口にすると皇帝と皇妃から反感を買うことになると思い黙って見ていた。


当のシータはというと、


(まあ……小娘如きが一眼鬼王《サイクロプス・キング》を討伐なんて言っても信じてもらえないですわよね……)


玉座の間の喧騒とは裏腹に、凪の海のように冷静だった。


「ハァ……やっぱりこれを持ち帰って正解でした……」


そう呟くとシータは皇帝と皇妃に背を向けて、玉座の間の広い場を見つめると『収納』スキルを発動した―――


―――するとドスゥーンッ!!と大きな音を立て、重量のある物体がその場に投げ出された。


「キャアアアアアア―――ッ!!!」


「―――こ、これはっ?!」


それを目にした途端に貴族の婦人達は悲鳴を上げて何人かは卒倒して倒れていくのが目に入る。


男達はそこへ姿を現した巨大な物体に目を見開き慄いていた。


そこに現れた―――


―――巨大な目玉を潰されて、額に角が生えた巨大な魔物の首が床に血の海を作っていく。


そして人族が持つことなど一見して不可能だと分かる刃渡り十m以上ある大剣が、ズシィンッ!と轟音を立てて転がった―――


巨大な一眼鬼王《サイクロプス・キング》の首とその大剣が玉座の間を埋め尽くさんばかりに献上された様子を見て、


「……これは……」


ヴァンヘルムは言葉を失い、


「ウフフッ……」


それがシータの報告の裏付けとなる証明だと理解したネメリアは、小さく笑いを零していた。


そしてカイザエルは―――


「うぐっ!?―――ま、まさか本当に……」


(―――これをシータが討ったというのか!?)


―――妹の言葉を疑っていた報いを今受けて愕然としていた。


「これは『紅神龍の御子』イェンリン=ロッソが討伐した一眼鬼王《サイクロプス・キング》です。わたくしは他の一眼鬼《サイクロプス》の討伐に助力致しました。御子が証となるように、此方の首と一眼鬼王《サイクロプス・キング》の大剣をわたくしに託してくださいました」


騒然とする玉座の間に落ち着いたシータの言葉が響いて伝わっていく。


「―――見事です。陛下……どうぞ皇女に賛辞を賜りますよう」


逸早くこの場を動かす言葉を発したのは皇妃であるネメリアだった。


皇妃の言葉を聞き、喧騒が続いていた玉座の間が鎮まる。


「う、うむ……シータよ。皇族として恥じることなき、その武勇。見事である。皇族としての義務を果たしたこと、ここに認める」


ネメリアの求めに応じてヴァンヘルムはシータへ賛辞を贈ると、疑念を抱いていた皇族や貴族達も一斉にシータへ賛辞を贈り始める。


「皇女殿下―――万歳ぃ!!」


「―――これでヴァーミリオン皇家も安泰だぁ!」


皇帝と皇妃の顔色を伺うように一斉に諸手を上げて賛同する者達を見て、シータは半ば呆れてものが言えない思いだった。


しかしその空気の中で、眉間に皺を寄せて不機嫌な空気を纏う男がいた。


皇太子カイザエルである。


(―――私も紅神龍の御子と紅の戦乙女《クリムゾン・ヴァルキリー》が同行してくれていれば、あのような大物を討って帰ったものを!!)


カイザエルは既に一昨年に『魔物憑きの森』へ皇国軍を率いて向かい、そこで被害の出ない程度の魔物を狩ってさっさと帰ってきてしまった経緯があった。


(……このままでは、シータは……私の最大の障害になり兼ねない……)


カイザエルの中にこれまで湧いてこなかった感情が、その胸の内をドス黒く染め始めていた―――






―――そうしてイェンリンは城に戻ってから六日の間、紅の戦乙女《クリムゾン・ヴァルキリー》第四位『先駆者』ヒルドと探索について話し合っていた。


紅蓮の眷属である紅の戦乙女《クリムゾン・ヴァルキリー》の中で国外の諜報活動を行っているヒルドは、誰よりも他国の情勢に詳しい者だ。


「―――イェンリンの故郷の村があったハリタス海洋自治領を併合したカウスラー王国の兵が村を襲撃してきた……戦争で略奪された物も人も、王国へ持ち帰るのが常道だ」


「そうなると、エリシラとマルクもカウスラー王国へ……でも、私もカウスラー王国を彷徨っていたけど、二人の話は一度も耳に入ってこなかったわ……」


イェンリンはカウスラー王国まで辿り着き、そこで浮浪者のような生活をしていた時のことを思い返して胸が締めつけられる。


「あの当時、カウスラー王国はハリタス海洋自治領の彼方此方を襲撃して、数多くの人々を奴隷として王都へ運んでいた。数え切れないほどの人々が集まっていては、その中から二人を探し出すことも困難だったでしょう」


ヒルドの話を聞いてイェンリンも、当時いた街で自分以外にも数多くの浮浪者が溢れていたことを思い出した。


首都から離れた街であっても溢れ返っていたほどだった。


(二番目に大きいと言われていた『デイナット』の街でも、数え切れないくらい攫われてきて放置された浮浪者がいた……首都にはあれ以上の人がいたに違いないわ。二人も、もしかしたら首都へ……)


その疑念が浮かんだ時、イェンリンの中では抑え切れない衝動に駆られる。


「―――カウスラー王国へ行く」


その決意を聞いてヒルドは、


「そう言うだろうと思ったわ。当時の状況から考えるとイェンリンの妹がいる可能性が高いのはそこでしょう……だけどカウスラー王国はハリタス海洋自治領を飲み込んで広大な国になった。闇雲に探しても見つからないわよ」


「あの時の兵士達はカウスラー王国の正規軍戦士団だった。だとすれば戻る先も首都だったはずよ」


「なるほど正規軍の戦士団か……だとすれば戦利品や奴隷として捕えた人々も首都まで連れて帰っているはずだ」


「だとすれば向かう先はカウスラー王国の首都カイバヌス……いざとなればパトリド城へ乗り込んででも―――」


「―――それは容認出来ないわよ。人族の政に関わらないことが紅蓮様の御心なのだから」


「分かっているわ。だからその時は仮面でも被って乗り込むわよ」


「いや全然分かっていないじゃない……兎に角、まずはカウスラー王国へ向かって情報を集めましょう」


それからイェンリンとヒルドはヴァーミリオン皇国からカウスラー王国への道程と、立ち寄る街について地図を見ながら計画していった―――






―――そして七日目の朝


「―――もう身体に問題はありませんか?イェンリン」


「ええ♪ レギンレイヴのおかげですっかり元気になったわ」


『回復』の加護で身体の傷は治療出来ても、流れ出た血を元に戻すことは出来ない。


ここまでイェンリンが旅立つことがなかったのは、その失った血を取り戻すためであり、万全の態勢を整えるための時間だった。


そして旅立つに際し、紅蓮からは―――


「―――供をする紅の戦乙女《クリムゾン・ヴァルキリー》をお決めなさい」


―――そう言って同行する紅の戦乙女《クリムゾン・ヴァルキリー》を選ぶことを告げた。


(供を決めてと言われても……)


紅龍城に集った紅の戦乙女《クリムゾン・ヴァルキリー》達を見渡して、そこでイェンリンは頭を悩ませる。


誰を連れて行っても紅蓮に勝るとも劣らない美女達なのだ。


―――大人数になっては目立って仕方がないことは造作もなく予想出来る。


しかしその中に自分が数えられていないことがイェンリンの誤算だった。


紅龍城へ来てから身形も整え、美しく変わった自覚がないイェンリンもまた、街の中では目立つ存在となっている。


だがイェンリンの中で誘う者達はもう決まっていた―――


「ゴンドゥル……お願い。一緒に来て」


「―――その言葉を待っていたよ。イェンリン」


指名されることが分かっていたかのように、ゴンドゥルが前に出る。


そして―――


「―――ブリュンヒルデ。お願い」


―――もう一人、


ゴンドゥルと同じく、この中で妹エリシラの顔を知る唯一の人物であるブリュンヒルデに願い出た。


「我が御子の命であれば、それに従うのが紅の戦乙女《クリムゾン・ヴァルキリー》の務め。行きましょう」


ブリュンヒルデが快諾してくれたことで、イェンリンは昔の子供時代に戻ったような笑みを浮かべる。


しかし、そこで―――


「―――私も同行します」


―――そう申し出てきた者は、


「……アルヴィト」


紅の戦乙女《クリムゾン・ヴァルキリー》第十二位


―――『全知』アルヴィトだった。


「当時、私はゴンドゥルに頼まれて、イェンリンの実家で『全知』のスキルを発動し、攫われた気配を察知しました。その時の妹さんの残された気配は憶えています。きっと私のスキルが役に立つはずです」


そう告げたアルヴィトの表情は、いつになく真剣な面持ちだった。


「どうして、そこまで?」


「……私には貴女の妹を探す責任があります」


その言葉の意味を誰よりも知っているのはゴンドゥルだ。


「―――別に良いんじゃないの。アルヴィトの『全知』は必ず役に立つわ」


そうイェンリンに進言したのは誰でもないゴンドゥルだった。


アルヴィトがあの時、ゴンドゥルの行動を阻止したことを心の底では後悔しているのだと察しているからこそ、彼女の同行をイェンリンに求めたのだ。


「そうね。それじゃあ、お願い出来る?アルヴィト」


「―――はい。必ず、見つけ出してみせます」


こうしてイェンリンの願いだった妹エリシラと幼馴染マルクの捜索の旅へと向かう準備が整うのだった―――



いいね・ブックマーク・評価☆☆☆☆☆採点いただけますと励みになります。よろしくお願いします。



レビューも記入して頂けますと励みになりますので、宜しくお願い申し上げます。

感想頂いてとても励みになります!

誤字報告も本当にありがとうございます!


これからも宜しくお願い申し上げます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。