↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅神龍の御子になった少女の帝王学 ~剣聖イェンリン様のお気に召すまま~  作者: KAZ
第3章 強者への道編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
65/80

森の大王

Xもよろしければフォローをお願いします!!

Xはじめました↓↓↓

https://x.com/KazBgd


pixivにて新規キャライメージ画像更新中!

※AI生成画像

https://www.pixiv.net/users/15342558


※モチベーションに繋がります!※

いいね・ブックマーク・評価☆☆☆☆☆採点いただけますと励みになります。よろしくお願いします。

―――森の奥に棲息する一眼鬼《サイクロプス》を垣間見たイェンリンは、


「―――ハァアアッ!!!」


只管に拳を繰り出し、フレイアの見せた『衝撃拳《ダムド・インパクト》』を修得するための鍛錬を続けていた―――


回数を重ねるごとに繰り出す拳の速度、精度、威力が増していることは体感している。


(もっと……もっと!―――フレイアのように!!!)


「ダァアアアア―――ッ!!!」


気迫と共に繰り出した拳は残像を生じさせる速度の域に達し、その拳から放たれた衝撃波が正面に立つ大木の幹に激突した―――


―――バフッ!と幹の皮を弾けさせ、皮の下を剝き出しにするまでに至った。


それを見たイェンリンは硬直したまま無反応になっていたが、すぐに満面の笑みに変わり―――


「……やった!―――出来た!!」


―――威力こそフレイアの足元にも及ばない衝撃だったが、イェンリンにとっては意味の大きな一歩だった。


「今の感触を忘れないように……更に威力を上げる!!」


自分を鼓舞して再び構える―――


―――だがその時、


突然地響きが耳に届き、周囲の様子を伺う―――


「これは!?―――何か近づいてくる!」


―――その地響きが近づいてくることを察知したイェンリンの『索敵』には、西の方角から近づいてくる大きな反応を感知していた。


そして地響きと共にくる震動と、何かが木々を薙ぎ倒す音が激しくなっていく―――


(何か大きな魔物が近づいている!―――まさか一眼鬼《サイクロプス》!?)


―――身構えたイェンリンがそう思い浮かべた瞬間、


ドォオオオッ!!!バキバキッ!!と目の前の木を薙ぎ倒して巨大な体躯の四足歩行する魔物が土煙と共にイェンリンの前へ現れる―――




―――ゆっくりと収まり始める土煙。


そこには岩山のような巨大な体躯があった―――


―――その巨大な魔物は見た目が猪に似たような姿だが土色の硬い鎧のような外皮に覆われている。


口元には上に向かった二本の巨大な牙と、鼻先には曲線を描いた立派な角がそそり立っていた―――


―――だが、


その大きさはイェンリンが見た魔物では一眼鬼《サイクロプス》と同じくらいに巨大な体躯だった―――




「まさか……大王猪《ベヒーモス》……」


その姿を見たイェンリンの脳裏には紅龍城で座学として学んだ魔物についての知識から、目の前に現れたのは大王猪《ベヒーモス》だと識別した。


【B“U”M“O”O“O”O“O”―――ッ!!!】


「―――ウゥッ!!」


突然咆哮を上げた大王猪《ベヒーモス》が周囲の空気を震動させていく。


その轟音に思わずイェンリンは両手で耳を塞いだ。


その様子を見逃すことなく大王猪《ベヒーモス》はイェンリンへ突進を開始する―――


―――その巨体からは想像も出来ない俊足で突進する大型魔物に、イェンリンは『身体加速』を発動して回避する。


「クッ!―――見た目より速い!!」


回避したとはいえ、駆け抜ける震動が響いてくると体勢にまで影響を及ぼした―――


―――直線的な突進を繰り出した大王猪《ベヒーモス》は、正面に生えた木に激突して速度を落とすと方向転換し、再びイェンリンに向き合う。


そしてイェンリンに向かって再び突進を開始する―――


―――太い足から土煙を巻き上げ、真っ直ぐに向かってくる大王猪《ベヒーモス》にイェンリンは、


「……スゥ―――『衝撃拳《ダムド・インパクト》』!!!」


右腕を引き、その場で構えを取り鍛錬していた渾身の『衝撃拳《ダムド・インパクト》』を放つ―――


―――そして目の前にまで迫った大王猪《ベヒーモス》の眉間の位置に、激しい衝撃波が激突した。


「―――ッ?!」


しかし繰り出された衝撃波を跳ね除け、大王猪《ベヒーモス》がイェンリンに鼻先の角を突き出し襲い掛かる―――


「チィ―――ッ!!」


―――その角をギリギリのところで回避したイェンリンだが、直前まで迫っていたところだったところで巻き込まれるように跳ね飛ばされる。


「キャアアア―――ッ!!!」


巨大な体躯に跳ね飛ばされたイェンリンが悲鳴を上げながら草むらに吹き飛ばされ、その間に大王猪《ベヒーモス》が方向転換して再びイェンリンを狙う―――


「グウウゥ……スゥ―――」


―――吹き飛ばされたイェンリンは立ち上がり、先ほどと同じく構えを取って呼吸を整えていく。


目の前に迫りくる大王猪《ベヒーモス》―――


「ハァアア―――『衝撃拳《ダムド・インパクト》』!!!」


―――残像を描く高速の拳が大王猪《ベヒーモス》を捉える。


【BUHOッ!!】


再び眉間に『衝撃拳《ダムド・インパクト》』が激突すると、それに大王猪《ベヒーモス》が反応を示すも結果は同じく突撃が止まることはない―――


―――正面から迫るベヒーモスを回避し、イェンリンは横へ飛ぶが巨体に巻き込まれて再び吹き飛ばされる。


「―――グハァアッ!!」


宙を舞い背中から地面に叩きつけられるイェンリン―――


「ゲホッ!―――クフッ……ハァハァ……」


―――大王猪《ベヒーモス》の次の動きを考え、すぐにその場から立ち上がるが、大王猪《ベヒーモス》攻略は未だ見えてこない。


(『真空刃《ホロウ・ブレイド》』なら、まだ勝機はあるかも知れない……だけど!あの魔物は『衝撃拳《ダムド・インパクト》』で倒さないと、倒せないなら一眼鬼《サイクロプス》を倒すことなんて出来ない!)


何故か分からないが、この大王猪《ベヒーモス》は『衝撃拳《ダムド・インパクト》』で倒さなければならない―――


―――それが使命であるように、イェンリンは右腕を引き構えた。


(大事なのは拳に乗せる速度……自分の速さを超える拳を繰り出すこと……そう、音が伝わるよりも速い拳を―――)


三度、自身の目前にまで突進する大王猪《ベヒーモス》に向かって―――


「―――撃ち出す!!!」


―――これまでにないほどの力が全身を駆け巡り、これまで腕の速度だけで撃ち出していた拳を足元から駆け抜ける力に腰の捻りを合わせる。


全身を駆け抜けた力が右腕に伝わると、捻った腰の回転と共に拳を繰り出す―――


―――その瞬間、


パァン!というこれまで聞いたことのない衝撃音が鳴り響き、それと同時に迫ってきた大王猪《ベヒーモス》の眉間から―――


【B”M“O”O”A”A”A”―――ッ!!!】


―――夥しい鮮血が噴き出し、その返り血はイェンリンにも降り注ぐ。


しかし―――


―――その巨体がそれだけで停止することは叶わず、真っ直ぐにイェンリンへ突撃した。


「―――グゥ!!」


イェンリンは先ほどの『衝撃拳《ダムド・インパクト》』を放ったことで全身に硬直が起こり、突撃する大王猪《ベヒーモス》を回避することが出来なかった―――


「ウワァアアア―――ッ!!!」


―――正面から大王猪《ベヒーモス》の突進を受けたイェンリンの軽い身体が宙を舞い、背後にあった大木に打ちつけられて幹に亀裂をもたらして停止する。


【BUMO……BUHOO……】


吹き飛ばした大王猪《ベヒーモス》も決して浅くない傷を負って、一度その脚を停止させてその場で少しふらつく。


背中を強く打ちつけたイェンリンは、辛うじて意識を保っているものの身体には亀裂が走った骨もあり、激痛が駆け抜けていく。


「ウグウウゥ!……ハァハァ……」


大陸では陸上魔物最大とまで謳われる大王猪《ベヒーモス》の三度の激突で五体満足でいられる訳もなく、イェンリンの身体も激しく傷ついて悲鳴を上げていた。


(い、痛いぃ!―――ど、どうしてこんな目に……紅神龍の御子だから?……そんな理由だけでこれまで何度も、何度も……)


紅龍城で紅の戦乙女《クリムゾン・ヴァルキリー》の死ぬほど苦しい鍛錬を乗り越えてきたイェンリンだが、痛みに慣れていることが唯一の救いだ。


徐にその場に立ち上がり、激痛の走る身体の重心を落として堂に入った構えを取ると―――


「―――来いぃ!!!」


―――眉間を撃ち抜かれてふらつく足取りの大王猪《ベヒーモス》へ気迫の込められた声を上げた。


その声に耳をブルッと震わせた大王猪《ベヒーモス》が、その獣の眼をイェンリンに向けると上半身を低い体勢にして前足で地面を蹴る―――


―――互いに意識が朦朧としている中で、


「―――絶対に倒すぅ!!!」


【―――BUMOOOッ!!!】


イェンリンと大王猪《ベヒーモス》が同時に声を上げた―――


四度目の突撃を大王猪《ベヒーモス》が開始する。


それに対して何と今度はイェンリンも前に出た。


互いに激突必至という速度で向かい合うと、


「オラアアアアアアアアアアア―――ッ!!!」


腕を引き、右拳に全神経を集中させてイェンリンの決死の一撃が大王猪《ベヒーモス》へ向かって放たれる―――


―――それを正面から受けて立つ大王猪《ベヒーモス》


「オオオオォ!!!

―――『衝撃拳《ダムド・インパクト》』!!!」


イェンリンの拳が掻き消える―――


―――その瞬間、


【B“U”P“U”G“I”―――ッ!!!】


大王猪《ベヒーモス》の眉間が弾けて大穴が穿たれると同時に、頭蓋骨を貫通して中の脳を破壊し、そして後頭部へ突き抜けた『衝撃拳《ダムド・インパクト》』が空に向かって消えていく―――


【……】


―――その衝撃が遂に大王猪《ベヒーモス》の脚を止めて、フラフラと全身を揺らすと、


やがてズシンッ!と土煙を上げながら大地に倒れ込んだのだった―――






―――大地に倒れた大王猪《ベヒーモス》を見下ろしながら、イェンリンもその場に両膝をつく。


「ハァハァ!―――グクッ!こ、これは、骨までイッたわね……」


あの紅の戦乙女《クリムゾン・ヴァルキリー》の鍛錬で様々な怪我を負った経験を積んだイェンリンは、胸に走る痛みが肋骨の損傷だと冷静に理解出来る。


しかしこの場にはレギンレイヴはいない……


「クッ!……な、治してもらいに行きたいところだけど……」


フレイアは一眼鬼《サイクロプス》を討伐するまで戻ってくるなと命じた。


つまりイェンリンは骨折したままで一眼鬼《サイクロプス》を討伐しなければならないのだ。


「ウック!―――Levelが上がったことで、以前よりは回復は早く治るようにはなったけど……」


只の人族だった頃のイェンリンと比べれば飛躍的に傷の治りは早くなっている。


だが、それでも『回復』の加護持ちの者に治療してもらうのと比べれば、その回復速度は天地の差がある。


「兎に角……まずは休まないと……あと食事も……」


回復するためには食事をまずすることが大事だと、それは子供の頃に母カリオラから教えられたことだ。


「……母さん」


懐かしい母の面影を思い浮かべながら、イェンリンは大地に横たわる大王猪《ベヒーモス》を見つめる。


「確か……スルーズが、大王猪《ベヒーモス》は最高級食材だって……」


再び紅神龍の料理番の言葉を思い浮かべたイェンリンは、大王猪《ベヒーモス》に対して手刀を振り翳す。


そうして次の瞬間、繰り出した『真空刃《ホロウ・ブレイド》』で大王猪《ベヒーモス》の身体を解体に入る―――


―――しかし見た目通りに硬い外殻をした大王猪《ベヒーモス》の身体を解体するのは簡単なものではない。


何度も『真空刃《ホロウ・ブレイド》』を繰り出し、手足やまだ斬りやすい腹部などを解体して、一部だけでも肉の塊を手に入れた―――


「ハァハァ……全部解体するのは、無理ね……」


巨体の大王猪《ベヒーモス》を完全に解体することは諦め、手に入れた肉塊を一度『収納』へ仕舞い込むと、馴染みのキャンプ地へと戻ろうとした時、


「そういえば……このまま大王猪《ベヒーモス》を置いておけば、また一眼鬼《サイクロプス》が盗りにくるかも……」


先の九頭蛇《ヒュドラ》の胴体を持っていった一眼鬼《サイクロプス》の行動を思い出し、それなら明日に備えようとイェンリンはキャンプ地へ戻る脚を早めるのだった―――



いいね・ブックマーク・評価☆☆☆☆☆採点いただけますと励みになります。よろしくお願いします。



レビューも記入して頂けますと励みになりますので、宜しくお願い申し上げます。

感想頂いてとても励みになります!

誤字報告も本当にありがとうございます!


これからも宜しくお願い申し上げます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。