皇女と魔物
Xもよろしければフォローをお願いします!!
Xはじめました↓↓↓
https://x.com/KazBgd
pixivにて新規キャライメージ画像更新中!
※AI生成画像
https://www.pixiv.net/users/15342558
※モチベーションに繋がります!※
いいね・ブックマーク・評価☆☆☆☆☆採点いただけますと励みになります。よろしくお願いします。
―――シータの目の前に飛び出してきた獅子の胴体に人の顔がついた二頭の魔物、
「まさか……『人面獅子』!?」
人面獅子という人喰いが唸り声を上げながらゆっくりと近づいてくる―――
【GURUAAAA―――ッ!!】
シータ達を見つけ、途端に牙を剥きだして唸り始める『人面獅子』に睨まれて、
「―――ヒィ!?」
その恐ろしい形相に、シータは思わず小さな悲鳴を上げる。
「―――お前の魔術であの魔物共を倒すのさ♪ その程度のこと出来なければ……お前に『御子の友』を名乗る資格はない」
狂暴な魔物と対峙しても尚、ゴンドゥルは冷静にシータへそう告げる。
その言葉の重さと目の前の魔物への恐怖で、シータの身体は震えることしか出来ない―――
「……さあ、何をやっているんだい?魔物を前にして呆けるなんて命がいらないってことかい?」
「あう、ああ……」
ガクガクと震えるシータは手にした魔術杖を握り直して、努めて冷静に対処しようと人面獅子にロッドの先端を向ける。
―――その瞬間、
【GYRUAAAAA―――ッ!!!】
右側にいた人面獅子が先に襲い掛かってくると、それに続いて左側の人面獅子が駆け出す―――
「うあっ!?―――こ、こないでぇ!!!」
―――途端に混乱したシータは魔術杖を構えて、
「―――ファ、《火球》!!」
魔術杖の先端に二つの《火球》を発動させると、ほぼ同時にそれを人面獅子へ向けて放った―――
【ッ!―――UGAA!!】
―――しかし、その《火球》を瞬時に躱した人面獅子は牙を剥きシータの目前にまで迫る。
(ダメッ!!―――食べられる!!!)
人面にも関わらず異常な大きさで口が広げられたのを見て、シータは無数の牙が自分の身を食い破ることを悟った―――
―――その時、
「―――フンッ!!」
短い呼吸と共にシータの背後から飛び出した真紅の手甲を纏う腕が、人面獅子の顔面を捉えて歪ませた―――
―――そして籠められた力によって大型獣ほどの体格を持つ人面獅子を十数m吹き飛ばした。
「ハァハァ……」
その拳を繰り出したのは、紅の戦乙女第四位―――
―――『先駆者』ヒルドだった。
「ヒ、ヒルド様……」
「―――皇女殿下。油断しても恐れていても、怯んだ間に魔物は待ってくれません」
魔物を吹き飛ばしたヒルドが冷静に淡々とシータに向かって告げた。
「シータ、今お前は一度死んだよ?さあ……やり直しだ」
ヒルドが吹き飛ばした人面獅子は致命傷を受けた訳ではなく、大地に吹き飛ばされてもすぐに起ち上がり、再び向かってくる体勢を整える。
ゴンドゥルはその状況であっても冷徹にシータへ人面獅子の相手を命じた。
「ウゥ……ハァハァ……」
目の前に伝説の紅の戦乙女がいても、彼女達は自分が人面獅子を倒すまで、何度でも『やり直し』をさせる―――
―――言葉にしていなくても、二人の纏う雰囲気がそう告げていることを察したシータは、呼吸を整えて再び魔術の構築に集中する。
「スゥ……ハァ……
―――《炎槍》!!」
今度は魔術杖の先に炎の槍を二本生じさせると、それを構えた魔術杖から人面獅子へ向けて放つ―――
―――そこで一旦間合いを取っていた人面獅子達は、迫る《炎槍》を目にすると、先ほどの《火球》よりも遥かに速度が速い《炎槍》だが、それでも身を翻して回避する。
「―――クゥ!!」
しかし《炎槍》を躱されたシータは、その魔術を解除することなく魔力を用いて回避された槍の向きを変えた―――
―――周囲を取り囲むようにして飛翔する《炎槍》に、眼をギョロギョロとさせて動きを読む人面獅子。
(ほう……《炎槍》を操るだけの魔術操作は身につけているのか)
ゴンドゥルはシータの実力を見定めようと、発動している魔術の精度を測っている―――
―――すると動きを見切ったのか、
隙を突いて人面獅子がシータに向かって急接近する―――
「そうするでしょうね!!」
―――迫る人面獅子の動きを見て叫ぶシータ。
するとシータの目の前まで接近した瞬間―――
【―――AGYAOッ?!】
【―――GAHYUッ!!】
―――爪が届く位置まで迫った人面獅子達を、突然地面から突き出してきた鋭利な岩が腹から背中まで貫く。
「ウウゥ……ハァハァ……た、たお、倒した……の?」
そんな皇女の目の前に、地面から突き出た岩の槍が二頭の人面獅子を串刺しにしている状態が広がっていた……
(あの《炎槍》を操作しながら、地面では土属性魔術を展開していた……二つ同時に魔術を展開するとは、思った以上にやるねぇ……)
ゴンドゥルがシータの魔術の才に内心で感心していた時―――
【……シータ……】
「―――えっ?」
―――突然目の前で虫の息の人面獅子の口から、シータの名を呼ぶ声が聞こえた。
【……シータ……シータ……】
「ど、どうして……わたくしの名前を……」
【ドウジデ……ワダグジノナマエェエオオオオ!!!】
「ヒィ!?―――やめてぇ!!!」
【―――ヤメデェ!】
人面獅子が口走る人族の言葉に、シータは両耳を塞いでその場に蹲る。
「何をやっているんだい?このままだと延々とヤツ等に声を掛けられるよ?」
シータの傍にやってきたゴンドゥルがそう言い放つと、
「ゴ、ゴンドゥル様!あ、あの魔物、人の言葉を―――」
「―――人面獅子は人の言葉を真似して囀る。声までそっくりにね。でも言葉の意味は分かっていない。そこまで理解するほどの頭を持ってはいないんだ」
「で、では……あれは……」
「ヤツ等は人族の声を模倣する。そうして油断を誘って対象を捕らえ喰う魔物だよ。小さな村や町ではあの声に騙されて、家の者が戻ったと思い扉を開いた途端にガブリッと喰われるのさ」
「そ、そのようなことまで……人面獅子……恐ろしいです」
「そんな魔物に狙われて、それでもシータは生き残ったんだ。それは誇っていいよ」
「……いいえ。わたくしはゴンドゥル様の言われた通り、最初の攻撃で命を落としていました。ヒルド様が助けてくれなければ、本当に命を落としていたことでしょう」
(思ったよりも引き摺る性格なのか?余り追い込むとこの先で苦労しそうだね……)
考えていた以上に落ち込むシータにゴンドゥルは指導の方向を定めていく。
「確かに一度死んでいたのは事実だ。だがシータはまだ生きている。生きていれば次がある。お前は一度目の《火球》が躱されたことで、今度は《炎槍》を発動しながら足元へ土属性魔術の槍を構築して待ち構えていたね?」
「は、はい……《炎槍》を躱された時のために、次の手を考えていました」
「それが大切なんだよ。いいかい?シータ。魔術師の戦いにおいて重要なことは敵との間合いと魔術の多様性さ」
「間合いと……多様性……」
「ああ、そうだよ。魔術師は前衛で戦うものじゃない。今のように魔物と接近して戦うなんて、本来はあっちゃいけないことなんだ」
「はい……それは、分かります」
ゴンドゥルの言葉を噛みしめる様にシータが頷く。
「冒険者なら盾役や前衛がいて、魔術師に接近させるなんてことは早々ないだろう。だが、今は単独で魔物を相手にしている。ではその場合、どうやって戦うべきなのか?」
「……魔物の位置を把握して……間合いを取って倒すこと……でしょうか?」
「その通りだよ♪ そのために必要なことは『索敵』だよ。これからお前はいつ如何なる時でも『索敵』スキルを発動しておくんだ」
「―――ずっと『索敵』をですか!?」
いきなり課題を突きつけられたシータは驚きの声を上げたが、
「イェンリンはもう、そのくらいのことはやっているよ?」
ゴンドゥルはそこでイェンリンを引き合いに出す。
「イェンリンも!?それは本当ですか?」
「勿論本当さ。あの子には城の中にいる時でも常に『索敵』を使うように伝えてある。『索敵』も使えば使うほどに精度が上がって範囲が広がっていく。要はその努力を怠らない決意と覚悟が必要なんだよ」
「決意と……覚悟……」
そこでシータはゴンドゥルが何を言いたいのか、その言葉から何かを得た気がした。
「ここで『索敵』を怠っていなければ人面獅子の接近にもっと早く気がつけた。早く気がついていれば、それに対する対処も、もっと早く考えられた。戦いは魔物が相手でも人が相手でも先を読み、それに備えた者が勝つ。特に魔術師同士であればそれが重要になる」
「人と……戦う……」
(そこまでの覚悟はまだ持てないか……まあ、お姫様なんだから仕方がないと言えば仕方がない)
いきなりそこまでの覚悟は難しいだろうと見たゴンドゥルは、
「今日の講義は此処までだ。明日からまた鍛錬を続けるよ。今日はもう屋敷に帰って休むといい。そして今日知ったことをよく考えてみることだよ」
そう言って目線でヒルドにシータを送るように促す。
「さあ、皇女殿下。参りましょう」
「はい……あの、ありがとうございました!」
そう挨拶してシータはペコリとゴンドゥルに頭を下げると、ヒルドに送られて屋敷へ帰っていった―――
―――独りその場に残ったゴンドゥル。
「さてと……もう出てきてもいいよ」
森の茂みに向かってそう言い放つと、その木陰から人影が出てくる。
「―――もうよろしいのですか?」
そう言って出てきた人物は、
「ああ♪ 助かったよ―――ランドグリーズ」
紅の戦乙女第九位―――
―――『盾を壊す者』ランドグリーズだった。
木陰からゴンドゥルの傍まで歩み寄るランドグリーズは、その場に息絶えた人面獅子の死骸へ視線を向ける。
「この程度の魔物でよろしければ、またいつでも―――『調教』致しますわ」
そう告げてパチンッ!と指を鳴らすと、ランドグリーズが出てきた茂みの中から無数の獣の眼が妖しく輝いているのがゴンドゥルの目に映る。
「既にそんな数を『調教』しているとは、流石だねぇ♪」
それを見たゴンドゥルはニヤリと笑みを浮かべた。
「屋敷の周囲の警護にも使えますから♪ 現地調達の護衛は安上がりで助かります♪」
―――『調教』
あらゆる動物を使役することが出来るスキルである。
それは魔物であっても例外ではない。
だが『調教』が可能な対象は自身のLevelよりも下位の対象だけであり、スキルを覚え立ての者がいきなり強力な魔物を使役出来る訳ではない。
―――普段は紅龍城の采配を執り、イェンリンの身の回りの世話を行っているランドグリーズは『調教師』の能力を持ち合わせていた。
ランドグリーズは紅の戦乙女という超越者の一人であるため、『魔物憑きの森』の魔物程度であれば『調教』することは容易いが、それでも使役出来る魔物の数には限度がある。
本来『調教』とは、強力な魔物を使役するほど他の魔物を従える力を奪われ、逆に小物の魔物程度であれば数多く使役することも出来るという能力の分配限度という法則があるのだ。
「―――これからシータの相手をさせる魔物がいればそれでいい。あの子も今日の人面獅子で少し前に進めたようだからね」
「フフフッ♪ 随分と弟子思いの師匠ですわね♪ 皇妃様の時もそうでしたが」
「―――煩いよ。相手は一国の皇族なんだ。紅蓮様の手前、適当に扱うことなんて出来ないだろう?」
「そういうことにしておいてあげます♪ それより……イェンリンの方は本当に『調教』しなくてもいいのでしょうか?」
ランドグリーズが不安そうにしてゴンドゥルへ問い掛ける。
「フレイアが必要ないって言っているんだ……第一位の筆頭様の命令なら従わない訳にはいかないだろう?」
ランドグリーズにはそう答えたゴンドゥルだったが、
(イェンリン……無茶はしないでおくれよ……)
森の奥で単独行動となったイェンリンの無事を祈るのだった―――
いいね・ブックマーク・評価☆☆☆☆☆採点いただけますと励みになります。よろしくお願いします。
レビューも記入して頂けますと励みになりますので、宜しくお願い申し上げます。
感想頂いてとても励みになります!
誤字報告も本当にありがとうございます!
これからも宜しくお願い申し上げます!




