家族
Xもよろしければフォローをお願いします!!
Xはじめました↓↓↓
https://x.com/KazBgd
pixivにて新規キャライメージ画像更新中!
※AI生成画像
https://www.pixiv.net/users/15342558
※モチベーションに繋がります!※
いいね・ブックマーク・評価☆☆☆☆☆採点いただけますと励みになります。よろしくお願いします。
―――ゴルゴダ村の自警団と行動を共にするイェンリンとマルクは、只でさえまだ幼いにも関わらず彼方此方の地面に転がるカウスラー王国守護戦士団の兵士達の死骸に顔を顰めながら村の道を歩む。
いつもの長閑で平和だった村の彼方此方から火の手が上がり、黒煙が上がっている家や倒れ込んでいる顔見知りの村人の亡骸が現実味のない恐怖だけを伝えてくる―――
「ウウゥ……」
イェンリンの隣を歩むマルクは先ほど父親を失った上に、村の惨状を目にして赤く腫れた目に涙を浮かべて必死に前に進む。
それは家に残っている母ルメイの安否を気遣ってのことであり、歩みを止める訳にはいかなかった。
そのことを子供心に感じ取っているイェンリンも、家に残っている母カリオラと妹のエリシラのことが気掛かりで心休まることはない。
しかし暫く進んだ時にイェンリンが―――
「ッ!?―――父さん!!!」
―――父ダンクに大声で呼び掛けて小さな手で指差した。
それは我が家のある方向で、そしてその方向に立ち昇る黒煙を見たからだ。
「ッ!―――急ぐぞ!!!」
その黒煙が家から上がっていると知ったダンクは自宅に向かって駆け出す。
それを追って自警団員と子供達も駆け出していた―――
―――しかしその途中でもまだ村人を襲う敵兵の姿がある。
「団長!此処は俺達が!!―――だから団長は家に!!!」
そこでメテロが声を上げてダンクを先へ促すと、
「―――ギューネとフロップスも団長と行け。村の中に残った兵は俺達で始末する」
相棒のロドスが子供達を護衛するギューネとフロップスに告げた。
それを聞いてギューネとフロップスは頷くと、
「―――気をつけろよ!!!」
そう叫びながら子供達を連れてダンクを追うのだった―――
―――カウスラー王国守護戦士団は伝令が走ったことで、撤退命令に従い南西に向かう道に向かって動こうとしていたが、
「やめてっ!!!―――アンタ達となんて、一緒に行かない!!ルメイを返して!!!この人殺しぃ!!!」
そこでエリシラを抱きしめて必死に抵抗の声を上げているのはカリオラだった。
地面には腹に宿った小さな命と共に、剣で刺殺されたルメイの亡骸が流れ出た血溜の中で倒れている。
「コイツ……味方の軍が来たと聞いた途端に……」
ブラッセンは突如豹変したように抵抗を始めたカリオラを見て、心底面倒そうな冷たい視線を向けていた。
(此方の援軍と勘違いされたのは恐らく自警団の皆だわ……ダンク……早く来て!)
そう願うカリオラだが、
「面倒臭い女だ……おい!ガキを取り上げろ!!!」
ブラッセンの命令で強引にカリオラの腕の中からエリシラを取り上げられる。
「やめてぇ!!!―――エリシラには手を出さないで!!!」
「―――だったら!さっさと動けぇ!!!さもないとコイツの腹も裂くぞ!!!」
捕まったエリシラの腹に剣の切先を向けるブラッセンに、カリオラは気が狂いそうなほどの恐怖を覚える―――
―――フラッシュバックするルメイの最後。
「わ、分かったわよ!!……だ、だから、お願い!お願いします……エリシラには手を出さないで……」
グッと奥歯を噛みしめてその場で土下座するカリオラ―――
「チッ!―――オラァ!!さっさと立てぇ!!!」
―――その服従の姿勢ですら時間の惜しいブラッセンには苛立ちの材料にしか見えなかった。
「もういい!―――ガキを先に前の村に送れ!!!」
苛立ちが頂点にまできたブラッセンはカリオラを動かすためにエリシラを先にバイド村まで後退させるように部下に命じる。
「待って!!―――エリシラをどこへ連れていく気なの!!!」
「煩ぇええ!!!手前が動かねぇからこうなるんだろうが」
「い、行きます!!―――だからエリシラを連れていかないで!!!」
「―――もう遅ぇええ!!!」
「お母さん!!お母さぁん!!!」
泣きじゃくるエリシラを小脇に抱えた兵士が、そのまま立ち去ろうとしたその時―――
「オォオオオオ―――ッ!!!」
―――突然死角から突撃した人影に兵士は吹き飛ばされ、
「キャアアア―――ッ!!!」
同時に吹き飛ばされそうになったエリシラは、強い力を感じる腕にギュッと抱き締められて救われていた―――
「何だ!?―――何者だぁ!!」
突如現れた人影に怒鳴りつけるブラッセンを、鋭い眼で睨みつけるのは―――
「……お、おと……お父さん……」
―――怒りを露わにするダンクだった。
「ハァハァ……怪我はないか?エリシラ……遅くなってすまない」
「―――お、お父さぁん!!!」
目の前に現れた父の姿にエリシラは緊張と恐怖の渦だった心が決壊し、号泣しながらダンクの首に抱き着いた。
しかしその状況を冷徹な視線で見ていたブラッセンは―――
(―――この母娘の家族ということは……他所から兵士が来た訳じゃねぇ!)
―――振り返って部下に大声で命じる。
「おい!撤退命令は撤回だと伝えろ!!―――コイツ等はこの村の住民だ!自警団か何かで人数もそんなにいやしねえ!!!」
「ッ!―――承知しました!!!」
命令を下したブラッセンを見て、ダンクはその男が指揮官だと確信した。
しかしここで撤収を撤回されては再び危機が村を覆い尽くすことになる。
そう思った時、ダンクの目にはカリオラの傍で横たわるルメイの姿が目に入ってしまった。
「……ルメイ?……うそ……だろう?」
激しく動揺するダンク―――
―――だがルメイの亡骸の傍で涙を流すカリオラの姿を見て、それが現実だと思い知った。
此処へはマルクも向かってきている―――
―――母親のこの姿を見せる訳にはいかないと思った矢先、
「うわああああああああ!!!―――母さぁん!!!」
背後から追いついてきてしまった一団の中にいたマルクが、家の前に横たわる母親の姿を見て絶叫した―――
「しまった!ギューネ!マルクを―――」
―――マルクをこの場から離そうとしたダンクだったが、
「ダンクッ!!!」
カリオラの悲痛な声で名を呼ばれ、視線を剥き直したその先で剣を振り被ったブラッセンがいた―――
「ッ?!―――クウウゥ!!!」
―――その瞬間にダンクに出来ることは、
「キャアアアッ!!!」
抱きしめていたエリシラを突き放して、娘を剣から護ることだけだった―――
「―――フゥウンッ!!」
「ガアアアアア―――ッ!!!」
―――エリシラを放したと同時に、振り被っていたブラッセンの剣の斬撃が容赦なくダンクの右肩から左脇までを斬り裂いていた。
「……父さん……えっ?」
目の前で起こった一瞬の出来事が、ゆっくりと流れるようにイェンリンの瞳に焼きつく……
……そして、その光景を見ていたもう一人がいた。
「い、いや……いやぁ!!!―――ダンクゥウウウ!!!」
愛する夫が深く斬り裂かれて、血飛沫を上げながら後方へ倒れ込んでいく姿を目の当りにして絶叫するカリオラ―――
―――投げ出されて地面にへたり込みながら、頭からダンクの血飛沫を浴びて震えるエリシラ。
「ハァハァ……」
そして目の前で起こった現実に心が追いつかず、過呼吸寸前にまで陥るイェンリン―――
―――つい昨日までは平和で笑い声の上がる家族と過ごしていた家まで、目の前で炎に飲まれて燃え上がっていく。
そしてダンクに起こった不幸に同行していたギューネとフロップスも硬直して動けない―――
「ハハハハッ!―――こいつが自警団の団長か何かだったのか?だったら都合が良かったぜぇ」
その中で独り笑い声を上げて惨劇の中心に立つ男―――
―――ブラッセンの眼が妖しく光るとその場から姿が掻き消える。
「―――グフウゥ!!」
「ッ!―――フロップスゥ!!!」
ブラッセンの姿が再び現れたのはフロップスの目の前で、そこには突き立てられた剣がフロップスの胸から背中まで貫かれていた。
その光景に傍にいたギューネが彼の名を呼びながらも、何とかしようと魔術を発動する―――
「―――《風刃》!!」
「遅い!」
―――手にした魔術杖を差し伸ばしたギューネの前に展開された緑色に輝く魔法陣だが、同時に間合いに飛び込んだブラッセンが横一閃に剣を振り抜く。
「魔術師は近距離に敵がいたら終わりなんだよ……『身体加速』でこうして間合いを詰められて斬られる」
誰にともなく語るブラッセンの目の前で、魔術杖のロット部分が切断されて地面に落ちると共に―――
―――ギューネの首がゴトリ!と落ちた。
「あ……あぁ……」
イェンリンは一緒に此処まで来てくれたフロップスとギューネの呆気ない最期に言葉も出ない……
「おい!ガキ共を捕えろ!!―――そっちの小僧もだ。まだ売り物になるからな」
傍にいる部下達にイェンリン、マルク、エリシラを捕えるように告げたブラッセン。
冷酷な現実を突きつける目の前で起こった出来事は、どこまでも子供達の思考を停止させる……
悪夢なら覚めて欲しいとすら思うほど受け止め切れずにいるイェンリンだったが、そこでゆっくりと立ち上がってブラッセンに向かっていく者がいた。
「―――母さぁん!!」
今もまだ涙を流しながら、呆然とした表情でブラッセンに近づくカリオラに、イェンリンは思わず叫ぶ。
「……」
心なしか口元で何かを呟いているように見えるカリオラが、光を失った瞳をブラッセンに向けて身体ごとぶつかるくらいに近づく―――
「何だ?……まさか頭がおかしくなっちまったか?それなら―――」
「―――《炎爆》……」
―――次の瞬間、
カリオラの全身から膨大な火炎が噴き出してブラッセンを巻き込み、その場で猛烈な灼熱の火柱を上げた―――
「グオオォオオオッ!!!―――こ、この女ぁ!!」
―――魔術発動と同時にブラッセンの腰に抱き着いたカリオラ。
そのカリオラの顔を見た瞬間、ブラッセンに恐怖が生じた―――
「……絶対に……焼き殺すぅ!!!」
そこには自分の死を宣告するカリオラが我が身を焼きながら、残った魔力で火属性魔術・上位《炎爆》を発動し、憤怒の表情でブラッセンを見上げていたのだ。
「グオオオオオッ!!!は、放せぇ!!―――この、放せぇえええ!!!」
炎に巻かれていたブラッセンが自身から離そうとするが、信じられない力で腰に掴まり放そうとしないカリオラは最早『殺意』の塊と化していた。
「―――お母さぁあん!!!」
炎に飲み込まれたカリオラに泣き叫ぶイェンリン―――
「このぉ!―――クソアマぁあああ!!!」
―――灼熱の炎に巻かれたブラッセンは、歴戦の戦士とはいえ突然の危機的状況にカリオラに向かって、
「やめてぇえええ!!!」
手にした剣を逆手に取って背中に突き下ろした―――
「―――ウグゥ!!!」
―――イェンリンの悲痛な叫びも届かず、カリオラが背中から剣で貫かれて崩れ落ちそうになった。
その次の瞬間―――
「―――ゴブウウアアアッ!!!……き、貴様ぁ……」
―――背中から貫いた剣が胸から突き出て、ゆっくりと背後に振り返ったブラッセンの眼に映った者は、
「―――父さぁん!!!」
エリシラを護るため、斬られたはずのダンクがカリオラの炎に飛び込んでブラッセンを剣で貫いていた―――
「ゴホッ!ゲボッ!―――お、お前等ぁ……俺を、俺を誰だとぉ!!!グアァアアア―――ッ!!!」
―――カリオラとダンクに挟まれ、断末魔を上げると動かなくなり、遂には絶命したブラッセン。
だが、その場には敵を挟んで向かい合うカリオラとダンクがいた……
「……カ、カリオラ……」
「……ダ、ダンク……」
……発動した魔術は最早止める事も出来ず、二人の身を焼き焦がしていく。
その炎の中でカリオラがゆっくりと涙を流すイェンリンに顔を向けると……
「……イェンリン……エリシラを……お願い……ね」
「ッ!お母さ―――」
―――イェンリンがカリオラに近づこうとしたその時、
「キャアアアア―――ッ!!!」
《炎爆》が最後の魔術発動を起こして、カリオラとダンクを包み込んだまま轟音と共に大爆発を起こした―――
―――その爆風に飲み込まれ、吹き飛ばされたイェンリンは燃え尽きようとしていた家の中まで吹き飛ばされた。
その爆風で燃え尽きかけていた家は残り火が吹き飛ばされたことで消火される奇跡が起きたが、爆風と衝撃で残っていた柱や梁が音を立ててイェンリンの上に崩れ落ちるのだった―――
いいね・ブックマーク・評価☆☆☆☆☆採点いただけますと励みになります。よろしくお願いします。
レビューも記入して頂けますと励みになりますので、宜しくお願い申し上げます。
感想頂いてとても励みになります!
誤字報告も本当にありがとうございます!
これからも宜しくお願い申し上げます!




