表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『黒神龍の御子外伝』紅神龍の御子になった少女の帝王学 ~剣聖イェンリン様のお気に召すまま~  作者: KAZ
第1章 運命の子編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
22/46

惨劇の始まり

Xもよろしければフォローをお願いします!!

Xはじめました↓↓↓

https://x.com/KazBgd


pixivにて新規キャライメージ画像更新中!

※AI生成画像

https://www.pixiv.net/users/15342558


※モチベーションに繋がります!※

いいね・ブックマーク・評価☆☆☆☆☆採点いただけますと励みになります。よろしくお願いします。

―――村外の交易所としている建物でメイスン、マルク親子と共に商人を待つイェンリンだったが、


「……遅い……もうお昼のお弁当も食べちゃったのに、まだ来ないわ……」


いつまで待っても訪れない商人の馬車を只管待ち続けていた―――


「確かに遅いな……何かあったのかも知れない」


イェンリンの呟きに馭者台で座って待っているメイスンも少し不信感を抱き始めていた。


「日を間違ったんじゃないの?」


イェンリンと一緒に待っていたマルクもそう言いながら、流石に退屈が限界に近づいていた。


「いや、それは何度もやり取りしてきたから間違いない。だとすると……突然の問題が起こったか―――」


メイスンが顎に手を当てて考え込んだその時―――


「―――あれを見て!」


―――イェンリンがアノ村に続く道を指差しながら声を上げる。


「ッ!―――来たのか?」


メイスンが視線を上に向けた時、


「あれは……まさか……マルク!イェンリン!―――急いで馬車に下に隠れろ!!」


「どうしたんだよ?」


面倒そうな顔をしてマルクが問い掛けるが、


「―――いいから言われた通りにしろ!俺が良いと言うまで下から出てくるんじゃない!!!」


今まで見たこともないような剣幕で父親に捲し立てられて、マルクはビクッと身体を震わせると、


「ッ!―――わ、分かった」


イェンリンと一緒に馬車の荷台の後ろ側から地面へ降りて、言われた通り馬車の荷台の下に潜り込む。


(どこの誰か知らないが……あれほどの数でそれも武装した集団……どこかの軍か?)


接近してくる騎馬の集団の不穏な空気にメイスンの勘が子供達の安全を最優先にさせる。


―――やがてメイスンだけが残った荷馬車の前に、百人近くの鎧を身に纏う武装集団がやってきた。


「―――おい、お前はこの先の村の者か?」


騎馬集団の戦闘に立つ赤毛の屈強な男がメイスンに問い掛けた。


「……ああ。そう言うアンタ達はどこの誰なんだ?」


「……」


その質問に赤毛の男は答えなかったが、


「此処で何をしている?」


続けてメイスンに問い掛ける。


「……違う村からやってくる商人を此処で待っているんだ」


疑いしか浮かんでいない眼を細めながら答えるメイスンに向かって、赤毛の男はニヤリと歪んだ笑みを向けた。


「ああ~♪ そうか……やっぱりあの商人は、此処へ品物を受け取りに向かっていたって訳かぁ」


「何?―――お前達は彼に会ったのか?」


「ああ。あったぜぇ♪ 名前は知らないままだったが、たんまり金を持ったヤツにはついさっき向こうで会った」


「―――彼に何かあったのか!?何か知っているのか!」


すると赤毛の男のみならず、その周囲に控える男達も全員がニヤニヤと醜い笑みを讃えていく。


「ああ……知っているぜぇ。その男なら……向こうで死体になって転がってるよ!!」


「なっ!なんだと!?お前達が―――」


「―――これよりゴルゴダ村はカウスラー王国守護戦士団長ブラッセン=ガッドナッド様のものとなる!!!」


赤毛の男の理不尽な宣言にメイスンは頭の中が混乱と恐怖と、カッと湧き上がる怒りに染め上げられていく。


「此処はハリタス海洋自治領だ!何故カウスラー王国の兵がいる!!」


声を張り上げたメイスンを見て、騎馬隊の男達は呆れた表情を浮かべる。


「ハァ……お前、バカなのか?他所の国の兵が此処まで来ているってことは―――」


「―――ウガァアアッ!!!」


話している途中で瞬時に剣を抜き、メイスンに斬りつけて腕に切傷を追う。


そのまま馭者台から逃げようと飛び降りたところで、回り込んだ赤毛の男が馬上から見下しながら、


「―――侵略しに来たに決まってんだろう?」


横一閃に剣が駆け抜ける―――




(―――ルメイ!!)




―――その瞬間、メイスンは脳裏に第二子を身籠っている妻ルメイの微笑みが浮かぶ。




そして、その時―――




―――馬車の荷台の下に隠れているマルクとイェンリンは震えながら身を寄せ合い、二人とも口を手で塞いで息を殺していた。


(む、難しいことは分からないけど……他の国が攻めてきたってこと?)


イェンリンがメイスン達の会話から、少ない知識だけでそこまでは想像が出来た。


しかし次の瞬間―――




―――それは突然目の前に落下してきた。




幼い子供達の目の前に―――




―――ゴトリッ!と重たい何かが地面に転げ落ちてきた音を聞いて、イェンリンとマルクがほぼ同時にビクッと身体を震わせる。




そして落下したモノに視線を向けると―――




「フンングぅうう!……おぇ……おぐぅ……フゥ!ぐっふ!フッ!フゥ!―――」




―――そこに転がっていたのは首だけという姿になったメイスンだった。




此方側に顔を向けた形で落ちたメイスンの顔は、絶望に塗れた表情のままで凝り固まり、ジッと大切な息子とイェンリンを見つめて二度と動かないモノに変わってしまっていた―――


―――その首と見つめ合ってしまったマルクとイェンリンは、早鐘のような心臓を抑え込むようにギュッと口を押さえつけて荒い息を必死に押し殺そうとする。


「フゥ!フゥ!ウグッ!くっ!んんぅ!―――」


父親の変わり果てた姿にマルクの瞳からは止めどない涙が溢れる……


……それは隣人であり、生まれた時から一緒だったイェンリンもまた同じ思いで涙が止まらなかった。


「―――さぁ~て!こんな田舎じゃあ、どうせろくな物もないだろうが、積み荷を確認しろ!!」


赤毛の男がそう指示を出すと、馬から降りた男達数人が馬車に載せた荷物を開けていく。


「革製品に……保存食……それとこれは……フォレスト・ウルフの牙と革だな!」


「―――こっちは魔法薬があるぜ!!おい、どうやらこの村の先には魔法薬が作れるヤツがいるようだ!」


男達のそんな報告が耳に入ってきてイェンリンは魔法薬が母のものだとすぐに分かった。


「魔法薬だと?……だとすると団長にそのことを伝えておかねぇといけなくなったな。下手に皆殺しにして、その中に魔法薬が作れる魔術師がいたとなると勿体ない話だからな」


魔法薬が製造出来る魔術師は貴重な存在として扱われている。


この世界の戦争では魔法薬の存在があるとないで、その勝敗の行く末を決めるといっても過言ではないのだ。


「荷物を奪ったらさっさと進むぞぉ!!!―――それから団長に伝令を!この村に魔術師が、それも魔法薬が作れる魔術師がいるって伝えるんだぁ!!!」


「―――ッ!」


―――それは紛れもなく母カリオラのことだ。


(母さんが危ない!そうなったらエリシラも―――)


その思いに心が塗りつぶされると、イェンリンは馬車の下から飛び出そうとしたが、それを正気に戻ったマルクが必死で止める―――


「―――マルク……放して!」


「……ダメだ!……今は待てって」


―――飛び出そうとしたところを抑えられて、イェンリン達は小声で言い合う。


幸いに荷台から荷物を移す作業の雑音で、二人の気配も掻き消されていたことで気づかれることはなかった。


「よおぉ~し!!―――前進するぞぉ!!!」


結局二人に気がつかないままで、赤毛の男が前進命令を出すと一団はゴルゴダ村へ向かって進軍を始めた。


息を殺して立ち去っていく様子を最後まで見送り、漸く馬車の下から出てきた二人。


マルクは真っ先に父親であるメイスンの首に近づく……


「……父……さん……嘘だ……嘘……だよね……」


再び混乱状態に陥り、身体を丸めて蹲るマルクを見下ろしながらイェンリンの中で焦燥感が膨らむ。


このままでは自分の家族もメイスンのようになってしまうと、子供心に恐怖が身体を支配していく。


だが、このままでいてはいけないことだけは分かっていた。


「……ウウッ!……ウウウウ……アァアアアアア!!!」


父の首の前で蹲り、号泣するマルク……


しかしいつまでも此処に留まっている訳にはいかない。


「マルク……行こう」


その場から動こうとしないマルクにそっと寄り添い、イェンリンはマルクを立たせようとする。


「アアァアアッ!!!―――い、行きたきゃ行けよぉ!!」


しかし涙でグチャグチャの顔のままキッと睨みつけて言い放ったマルクに、イェンリンも睨み返すと―――


「―――このままでいいの!!!アンタ、お兄ちゃんになるんじゃなかったの!!」


「―――ッ?!」


―――それはこの時に乗り越えなければならない厳しい現実なのだとマルクを戒める言葉だった。


今も村には身重の母ルメイが家で帰りを待っている。


それはイェンリンも同じで家には母カリオラと妹のエリシラがいるのだ。


「ウグッ……ハァハァ……分かった……」


涙がまだ頬を伝いながらも歯を食いしばり、グッと堪えて立ち上がるマルク。


「で、でもどうする?俺達みたいな子供じゃどうしようもない……」


「―――父さんは今日自警団の訓練をするって言っていたわ。此処からだと訓練場は近いわ!」


「確かに……分かった。訓練場へ行こう……」


まだ精神的には混乱と恐怖と哀しみが混沌としているマルクだが、これから先に護らなければならない者を自覚した今、震えていることは出来ないとギリギリで堪える。


それはイェンリンがこの場へ一緒に来てくれたからに他ならない。


「ちょっと待ってて……」


そう言ってイェンリンはポケットからハンカチを取り出すと、


「ごめんなさい……メイスンさん……必ず後から……迎えにくるから……」


そう呟きながらハンカチを地面に転がるメイスンの首にそっと掛けた。


その様子を見ていたマルクは、また涙が込み上げてきて鼻の奥が痛くなるが、


(イェンリン……お前が一緒じゃなかったら、俺は……)


改めてイェンリンの存在に感謝と尊敬の思いが込み上げてきていた。


「―――行こう!!」


そうして立ち上がったイェンリンとマルクは共に道を駆ける。


荷馬車の馬まで奪われていったことで、自分の足で駆けるしかない二人は暫くして分かれ道を左に向かっていく。


「ハァハァ―――ッ!」


「ハァ!ハァ!ハァッ!!」


十を数えた子供の身体では、約二kmの距離であろうと必死で疾走しても距離はなかなか詰められない。


そのことは誰よりも自分達が分かっているイェンリンとマルクにとって、それは焦りを増長させる材料にしかならなかった。


「ハァハァ―――が、頑張って!マルク!」


「ハァハァ!―――イ、イェンリンこそ!!」


こんな時も二人は幼い頃から互いに競い合う性分が出てしまう。


しかしその性分が互いに諦めない気持ちを支え合っていることにまでは、幼い二人には気づけることもなかった。


必死に駆けて汗まみれになる二人だが、その道の先に見えてきた広場から大人達の喧騒が聞こえてきた時、イェンリンとマルクの顔に漸く笑顔が浮かぶ。


そして広場にいる自警団に向かって―――


「―――と、父さぁあああん!!!」


―――イェンリンが精一杯の声を上げる。


「……イェンリン?」


訓練の休憩に入り、体力の回復を図っていた自警団の元へ駆けてくる人影が愛しい娘だと気がついて笑みを浮かべたダンクだったが、


「ッ―――どうした!?」


見たこともない二人の形相に何か起こったとすぐに気がつき、何があったのかを問い掛ける。


ダンクに飛び込んできた二人の様子に、メテロにロドス達も困惑した顔を浮かべていく。


「ハァハァ!……う……う“う”ぅ“う”う“!!!」


ダンクに無事会えたことでマルクの精神はもう限界を迎えて決壊していた。


それを見たイェンリンは、


「ハァハァ……カ、カウスラー!カウスラーって国の、へ、兵隊が―――」


必死に自分が見たことをダンクに伝えようとした。


「―――カウスラー王国の兵士だって!!それでメイスンはどうした!?」


その言葉を聴いた瞬間、イェンリンは今まで見たこともない哀しい顔を向けて今にも泣き出しそうになりながらマルクに視線を向けた……


「う“……う”ぅ“……グクッ……」


ダンクと目が合ったマルクは必死に涙を堪えて見つめ返すことしか出来ない。


「自警団!!―――総員戦闘準備ぃいい!!!」


二人のその表情だけで、ダンクはメイスンが無念の死を迎えたことを悟る。


(メイスン……きっと子供達を、逃がすために……イェンリンを助けてくれて、ありがとう……)


心の中でダンクはメイスンに感謝すると、そこからは今まで見せたことのない険しい表情に変わっていったのだった―――



いいね・ブックマーク・評価☆☆☆☆☆採点いただけますと励みになります。よろしくお願いします。



レビューも記入して頂けますと励みになりますので、宜しくお願い申し上げます。

感想頂いてとても励みになります!

誤字報告も本当にありがとうございます!


これからも宜しくお願い申し上げます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ