10.いざ、王城へ②
「うん、意外だけど、人と話していたら王城までの道も短いような気がするね。」
とロランが言う。
俺たちは先程までロランにこの世界の国の配置なんかを尋ねていたのである。
ロランが伯爵という位に就いているので、時々、絶対部外者に言ってはいけないような内容も混ざっていることがあったが、概ね差し障りのない範囲でロランは話をしていた。
「はい!すごく勉強になりました!少しだけど、王都について詳しくなった気がします!ありがとうございました!」
そう元気に遥香が言うとロランは、
「僕のこんな話でも役に立って良かったよ。まあ、ありがとうございます、と言われても、君たちはまだまだ僕の世話になることになると思うんだけどね。そんなことを言ってる間にも着いたよ、王城に!」
「「「「おおっ!」」」」
王城の威容に圧倒されたのか、どこからともなく声が上がった。
遠くから見ても巨大な城だと思ったが、近くで見るとより一層、大きく見える。
王城の竜車を停めて置く場所にでも到着したのだろうか。
緩やかに竜車が停まって、降りるための階段を付けるような音が聞こえた。
「とりあえず、ここで一旦お別れだね。僕は一応伯爵だからね、今から円卓会議に出席しないといけないんだよ。高位の貴族には責任も付き纏うからね。」
そう言って、ロランは階段を取り付けてくれた王宮仕えの人に声を掛ける。
「この子たちを待合室まで案内しておいてくれるかい?」
「かしこまりました。では、こちらにどうぞ。」
そう言って、自分についてくるよう促してきた。
王城の中に入ると、いかにも古めかしいお城という感じの赤いカーペットと壁には年季の入ったランプが掛かっている。
ただ、長々と歩いているだけではつまらないので、先導してくれている人に色々とこの城やこの国について質問することにした。
「この城はいつからここに建っているんですか?」
その人は一瞬、ものすごく嫌そうな顔をしたが、『仕方ないか』といった表情で答えてくれた。
「この国がいつからここに存在しているか知っていますか。
ロラン様からある程度お聞きかもしれませんが、この国の初代であり、建国者のアース王の時代からこの城は存在しています。つまり、少なくとも三百年もの昔からずっとここにあったということですね。」
よく風化したりしなかったものだ、使用人たちのおかげでこの城を今日まで保てていたんだろうというのが率直な感想だ。
それにしても、この国の初代のアースという王はそんな昔から貴族制を思いつくなんて、相当な傑物だったのだろうと考えられるので、その子孫である王様に会うのはすごく楽しみだ。
そんなことを思っている間に、
「到着致しました。ここでしばらくお待ち下さい。」
部屋に入るように促される。
その部屋は、日本の学校の数倍はあろうかというサイズの部屋だった。
次回はクリスマス9時に投稿です!




