9.ロラン・フォン・エルトリアという男④/いざ王城へ①
構造改革、それはずっと昔からこの国の有識者が為さねばならないと考えていたことでした。
でも、有識者たちは変化をもたらせる位についているものもいたのに、変化をもたらそうとはしなかった。
それは何故だと思う?」
そう問いかけたアレンは一人一人の顔をじっくりと見ている。
どうやらそれぞれ答えを考えようということらしい。
一通りみんなの顔を眺めた後に、アレンは話し出す。
「それじゃあ、みんなある程度自分の意見というものを持ってくれたかな。
多くの場合、有識者、それもある程度の権力を持ってしまった有識者は一度味わった権力を持っていることのおいしさを忘れられなくなるんだよ。
そうなってしまうと誤りを指摘する人がいなくなってしまう。
じゃあ、権力を持たない有識者はというと、勿論、彼らは意見を言うよ。
でも、それは今の体制をよしとする貴族たちに全て握り潰されてしまう。
その結果、何も変わらず百年余りが過ぎてしまった。
むしろ状況がさらに悪化したとも言える。
賄賂が横行し、王が意見を求めても聞こえのいいことしか貴族たちは言わない。
宮廷で聞こえのいいことをいう貴族たちは自分の領地では重税を領民に課している。
そんな状況の中、立ち上がったのが、当時エルトリア伯ローランド様とロラン様だったんです。
そして、当時悪政を取り仕切っていたアーカー公爵家を粛清したことで、王に功績大なりとして、ローランド様は公爵にロラン様は伯爵になったんです。」
アレンが話すのを止めたので、俺は竜車についていた窓からふと外を見る。
すると、そこから見ることが出来たのは、前方にどっしりと建っている王城、左右にはこの世界の一般の風景、中世ヨーロッパのようなレンガで建てられた家屋や店舗などが所狭しと並んでいた。
耳を澄ませてみると、
「今日は帝国から鉄製品が入ってきたよーっ!見ていかないかい?」
「朝とれたての果物だよーっ!」
と言ってることはちょっと違うけど、日本と呼び込みの声は同じらしい。
意外と文化的にも共通するところがあるかもしれないな。
「だんだんと王城が近づいてきましたね。もうすぐですよ。」
とロランが言う。
外を見ると、さっきは少し遠かった王城がすぐ近くになっていた。




