8.ロラン・フォン・エルトリアという男③
さっき言っていた竜車というのは、竜を模した車に乗るのではなく、竜が引く車に乗るということだったのか。
流石は異世界。竜なんかの空想上の生物と思われている生き物もいるなんてな。
これが異世界モノのテンプレというやつか。
そんなに多くも読んでないのにそんなことを考えてもいいんだろうかという考えがよぎったが、アルンが渡してきたライトノベルの中には所謂異世界モノが多かったので、それも仕方ないことだ、と割り切ることにした。
俺たちが乗せられた竜車はいかにも高価そうな調度品や装飾品で埋め尽くされている。
中だけでなく、外にも同じような装飾が施されていた。
はっきり言って、目にあんまりいいものではない。
「ロランさん、この竜車どうにかならないんですか。」
「うん、無理だね。」
ロランは即答する。
「だって、この国で一番偉い王家が普段使いする竜車だよ?そりゃあ外装も多少は豪勢になるものさ。」
「じゃあ出発しますよ?と言ってもそんなに時間はかかりませんが。」
「よし。安全運転で頼むよ。アレン。」
「もちろん。任せて下さい。」
そう言い、アレンは竜をゆっくりと動かし始め、安定してきた頃に話し始めた。
「じゃあ、さっきの続きから話しますね。ロラン様がなされた改革、それは大きく分けて二つです。一つは農業、農地改革です。もう一つは革命というべきだと思いますが、国の構造改革の提唱です。
まず、一つ目の改革、農地改革からいきましょう!ロラン様の父、ローランド公は領地貴族、つまり、自分の土地を持った貴族なんです。
でも、その領地経営の基盤が壊れかけることがあったんですよ。
嵐で川が氾濫して周りの田畑が全部水に浸かってしまったんですよ。
その時の税収はエルトリア公爵家の私財で賄ったらしいんですけど、来年からどんな水害対策をしようかとローランド公が考えているときにロラン様が献策したのが、領内に唯一の大河を何本かの川に分離させることと、上流に水の貯水池を作ることだったんです。
それをした次の年から収穫高も災害が起こるような前兆もかなり少なくなったそうなんですよ。
さらにそれを私兵で行うことで領民からの人気も得られるという、まさに一石三鳥の作です!
この件がローランド公によって王に報告されたことによって、男爵に任ぜられたんです。
普通は、この国の爵位は世襲制ですけど、まだ、親が現役のうちからなんて異例なんです!
さらに、次の構造改革の提唱こそがロラン様を評価させているんです!




