昆虫博士
崩れた建物の間を2台の車は進む。
『♪〜〜♪』
車の中では、夜の博物館で人形達が踊り出しそうな音楽がかかっていた。
「そういえば文康。イジメられたって前に言ってたけど、何があったんだ?」
「あ…えーっと…ね…高校デビュー失敗しちゃったんだよ僕。張り切りすぎちゃってね。それで皆にイジってもいい奴みたいな扱い受けちゃって、それがどんどんエスカレートしちゃったんだよ」
「親御さんは?先生にも言ってないのか?というかお前の親御さんは今どうしてるんだ?」
「言っても信じてくれなかったんだよ。今は2人がどうなったか知らない。はぐれちゃったんだ。もし生きてたら、昨日のライブを見てこっちに来るかもね」
「寂しく…ないのか?」
「ううん。いつも家では喧嘩ばっかだし、最近は変な宗教にはまっちやってたから。成人したら縁を切っちゃうつもりだったんだ。だから丁度いいんだ」
首を大きく横に振りながらそう言う。
「そうか…なら俺らと一緒だな」
「え?!」
「私達も親に絶縁状叩きつけたの。あの慌てっぷり様。見てて滑稽だったわ」
「アルバイトで一人暮らしは大変だぞ〜!」
ケインが振り向いてそう言った。
「ケイン。前」
「わ〜ッてるよ!」
それから目的地に到着するまで、俺らの高校エピソードを話す事になった。
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「着いたぞ」
先に着いていたライアン達が窓の外からそう話してきた。
ここが△☓番地十字路。冬美がハチとトンボのキメラを見つけた場所だ。
やはり建物は倒壊し、あちこちに頭がすっぽりと入る大き穴が空いている。
そして十字路のド真ん中には、大型トラックがすっぽりと入るサイズの大穴があり、底が見えなかった。
「スズメバチの特性と、トンボの特性を合わせ持つのだとしたら、この大穴が巣で間違いないようだ」
「体がスズメバチなら、針がある。おそらく壁に空いた穴は針で刺して空けたのだろう」
「だとするなら、トンボの特性は一体何…?」
「複眼だよ。約270度の広い視野を持ち、素早く移動する物に対する察知力が凄まじい。逃げれば逃げるほど捕捉されやすい。しかも約1万〜3万の複眼による動きの予測ときたもんだ。まさに狩りに特化したキメラだよ」
「大地お前詳しいんだな!」
「僕は空だケイン。次間違えたらコロス。兄弟で名前を間違えられるのは、すごくすごく腹が立つんだ」
「スマン」
「それで?弱点はないの?」
桜が質問する。
「前後ゆっくり動くもの、完全に止まっているもの、超スローな動きをするものをうまく認識できないんだ」
なるほど、動体視力に特化してしまったが故の弱点か。
「ならばする事はひとつ!」
そう言ってライアンは銃を空に向けて連射する。
「だるまさんがころんだだ」
触角によって衝撃を感じ取った。キメラが大穴からいくつも現れる。
世界一危険なだるまさんがころんだが今始まる。
双子の話は筆者の経験談です。名前間違えられると本当に腹立ちます。
この作品が面白いと感じてくれたそこのあなた!運命のダイスロールをして、偶数だったら評価をお願いします!




