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もう一つの戦い

演説とかそういうの書くのって大変ですね。

「本日皆様はどこで、誰とお過ごしでしょうか?家族と共に家で団欒?それとも恋人と共に遊園地デート?」

あまりにも場違いな、まるで人の逆鱗に触れるような一言からライブは始まった。さすがウザ辺クオリティ。


「そんなわけはない。そうであるはずがないんです。できればそうであってほしかった」

発する言葉に力が入る。


「私は昨日、私を女手ひとつで育ててくれた、最近詐欺にかかりかけた天然な母のいる実家に帰ろうとしていました。結果、母は死にました。」

あまりにもあっさりと、そう告げた。


「瓦礫に潰されて死んでいました。別れっていつも突然です」


「かろうじて瓦礫の隙間から見えた物は、私にお小遣いとして渡そうとしたのか、血と握りしめられた後のある5000円札だけでした」


「あなたの愛する人は、すぐ隣にいますか?とても羨ましい…その人を絶対に悲しませてはいけません。これ以上話すのは、親しい人、愛する人を失ってしまった皆さんに大変失礼ですので私からは以上です。司会兼神奈川県◯☓大学防衛部隊隊長。浜辺瑛人からでした」

礼をした浜辺に拍手が上がる。悲しさからかあちこちからすすり声が聞こえる。


「続きまして、神奈川県◯☓大学遠征部隊隊長ライアン・フロイドさんに、エイリアン討伐の経緯についてのご説明をいただきます」

浜辺がそう言って壇上に上がったライアンにマイクを渡し、降壇する。


「ご紹介にあずかりました遠征部隊隊長ライアン・フロイドです。ここからは、遠征部隊CONTENDER 結成とエイリアン討伐の経緯について説明させていただきます」

会場から起こる拍手と共にライアンは話し出した。


  ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼


だいたい30分くらいだろうか、何も知らない人達からすれば情報の宝庫だろうが俺たちは全て知っている。何が言いたいかって?暇だ。欠伸を止めるので精一杯。


「・・・ということです。以上が遠征部隊結成とエイリアン討伐の経緯でございます。長い間お聞きいただき、ありがとうございました」

またして拍手が上がる。


次は俺の番だ。


「そして最後に、世界初、単独討伐達成者である◯×大学遠征部隊副隊長の花街桃也さんから、皆様にお伝えしたい事がございます」

来た。ライアンからマイクを受け取り、壇上へ上がる。


カメラが向けられるのはやっぱり緊張する。


だが、

「皆さんどうもこんばんは。いや、こんにちはもか。知らぬ間に遠征部隊副隊長になってやがりました。花街桃也だ」


「先程単独討伐成功者との説明を受けたが、実際のところマグレでしかない。撃った弾がやわらかい目玉に当たっていなければ、俺はこの世にいなかった」

インベントリから慣れた手つきで銃を2丁取り出す。


「全員に支給された銃は1丁だけ。ならこれは?」

片方を上へと掲げる。


「これは、俺が初めて殺したエイリアンに食われたと思われる被害者の血だまりと千切れた左手に握られていたものだ」


「人生で初めて死体を見たよ。最悪の気分だった」


「次に俺と同じ景色を見るやつは、画面の前のお前かもしれない。逆に、お前の大切な人に見られる事になるかもしれない」


「この会場内だけでどれだけの人が大切な人を奪われたんだろうな…想像もつかないし、考えたくもないそんなこと」


「なんで自分はこんなにも不幸なんだって思ってる奴もいるだろう…だがな、それはこの世界で少なくとも半分以上の人間が思っている事だ。勝手に1人絶望するのは諦めろ」


「勝手な事を言わせてもらうが、この世の生きとし生けるものは必ず死ぬ。俺ら人間だって平和に生きてきたが、それだっていつなんの拍子にポックリ死ぬかわからない人生を送っているんだ。そんな不確定な存在に怯えて何もできずに死ぬより、最後まで楽しく過ごす方が百倍いい」


「不幸を感じる余裕がないくらいに幸せを詰め込め。不幸や不満を感じるのは、幸せのメモリーに空きがあるから感じるんだ。お前がそうなだけだろと感じるかもしれない。でも、嫌にネガティブなことを考えて息苦しくなってしまうよりは、少し楽観的に考えたほうが幾分か心地は良くなるだろう?」


「こんな時に幸せなんて感じられない?バカ野郎。それはいきなりの事で死と向き合う覚悟ができなかったんだから当たり前だろ?普通に考えても目の前でいきなり人が死んだらそりゃショックに決まってんだろ?だがな、それはこれから何回も経験する事になる。こればっかりは慣れるしかない」


「正直に言っちまうと、うちの隊の人間は少々狂ってるかもしれない。死体の山を見ても気持ち悪いで済んじまうんだ。無理して俺らのようになる必要はない。けどな、少し狂っていることは悪いことじゃないと思うんだ」


「俺にはな、夢があるんだ。」


「死ぬ前に写真のアルバム引っ張り出してさ、バカやった記憶を思い出しながら死ぬんだ。それ以外で俺は死ぬ気はない」


「こんな世界で叶えられるとは思ってないが、夢を持つのが人間だ。ちょっと歯ぁ食いしばって、夢のために頑張ってみようぜ?俺からは以上だ」

マイクのスイッチを切り、降壇する。


反応はない。だが言いたい事は言えたから満足だ。


パチパチと小さく音が聞こえた。


浜辺だ。拍手をしていた。


遅れて会場は割れんばかりの拍手で包まれた。


「以上で説明会を終わりにします。長らくご清聴ありがとうございました」



なぜ半分以上の人かというと現在の犠牲者が32億人以上いるからです。なぜ分かるかというと、管理者が犠牲者確認用のサイトを立ち上げたからです。


各国の軍隊などはエイリアンの討伐に成功はしていますが、分隊2つが基本でした。情報公開も吟味中の所だったので、世界初の、情報公開となっています。

遠征部隊の皆が初対面で驚いていたのは、それまでに民間での討伐情報がなかったからです。

分隊2つかかった情報は、討伐に向かった後にでたので、コイツらも大概です。


面白いなと感じてくださったそこのあなた、遊戯王を懐かしく感じる人は評価をお願いします!


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