引き金を引くという事
「え……?」
「ちょっと桃也!どうしたの?!」
「いいから、お前ら黙って聞いてろ」
「お前さ、そんな都合よく済むと思うなよ…?」
ため息しか出てこない。
「お前さ、多分俺と同じだ」
「ど…、どういう…?」
「マンガや小説でしかない事が現実になったんだ。俺だって興奮するさ。お前きっと『何かこういう事起きねぇかなぁ〜ッ』っていうのたくさん妄想しただろ?学校にテロリスト〜とかトラックに轢かれて異世界転生〜とかさ…まだ夢見てんのかよ」
「ッ〜!!!」
「お前一人だけ違うんだよ。ここは活躍の場じゃない。生命の危機が常にある戦場だ。そこ履き違えると…死ぬぞお前」
黙ったままの文康の肩に手を置きながら話を続ける。
「俺言ったよな?タゲ取るって。何バカスカ連射してんだよ。活躍の機会がなくなると思ったのか?大間違いだよコノヤロー」
唇を噛み、小刻みに震える文康を無視して話を続ける。
「お前がやったのはお前含めた全員をを殺す行為だ。偶然俺の弾が目に当たったからよかったものの、もしそうでなければ、全滅していたんだ。」
「だって…」「だってもクソもあるか。お前いくつだ?」
「16…」
「歳を聞いてるんじゃねぇ。ここは!お子様の遊び場じゃねーんだ!お前は!自分含めた仲間9人の生命と手柄を天秤にかけたんだ!」
「………」
今にも泣き出しそうだ。俺よりも高い背が、今はとても小さく感じる。
「ほら銃を構えろ。これが望みだろ?撃てよ」
コッキングを済ませた銃を両手で握らせ、怪物に向ける。
「こいつらの生命を奪うことも同じだ。銃撃ってアハハハーこれで終わりーでもない。初めてエイリアンを殺した時に何も感じなかった俺が言える事じゃないが…戦うならばそれに目を背けずに向き合え。」
怒鳴りすぎて頭に血がのぼったので深呼吸して息を整える。
「お前は…どうなりたかった?」
顔がしわくちゃになり、涙と鼻水でぐしゃぐしゃな状態で文康は答える。
「皆の…憧れになりたかった…」
グズッと鼻水を啜る。
「憧れになって…皆を元気にしたかった…イジメた奴らを見返したかった…」
「………そうか…」
狙いを頭の目玉に合わせる。
「ならまずは、涙と鼻水を拭けよ。そいつらに見せたくないだろ?」
「う゛ん゛……」
枯れた声で答え、袖で顔を拭く。
「そして、仲間の生命を背負う覚悟を持って…引き金を引け」
トリガーに指をかけさせる。
「う、ん…」
花火のように短く大きな銃声が、日が沈んだ駅に木霊した。
主人公、今回はえらく感情を露わにしますね。
引き金を引くことに躊躇がなかった自分の様にはなって欲しくないんですね。
前回同様、媚びているのは分かっていますが、よろしければ、ブックマークまたは評価お願いします。




