9 白々しさと映える色
……なんだか、テンションが下がってきた。
王太子の前だと笑顔が作れたのに、今はもう作れない。
早く、ここから出たいな。
でも、セラフィンが死んだ理由を突き止めるまで、終われない。
火事を起こしたのは間違いだったか。人が避難してしまったらしい。
王太子を探す騎士たちはちょくちょくいる。
会うたびに殺した。今……17人くらいだろうか。
「ははっ」
煙い。
・・・
「アルヴァンさまー!」
遠くから声が聞こえてきた。
聞き覚えのある声。――アドリアン師匠。
すぐそこの角。近い。
「アルヴァ……アルヴァン様!」
アドリアン師匠と目が合った。
にこり、と笑みを作ってあげた。
「っ、セラフィン様……!」
師匠はセラフィンを見ると口を手で覆った。
私は笑みを崩さないまま、連れているセラフィンに目を向ける。セラフィンの前髪を少しつまみ、横に流した。
さすがの師匠でも私の異変に気づいたらしく、眉を下げると同時に眉をひそめた。
「アルくん……何があったの?」
今にも泣きそうな表情だ。私の髪を耳にかける。
白々しい。
「……どうせ」
どうせお前も知ってたんだろ? 何があったか。
セラフィンの朝帰り、やつれた笑顔、日に日に変わる、噎せ返るような強すぎる女ものの香水の匂い。
――気づけないわけがないんだ。
師匠は目を見開いて私から目をそらさないまま、少し首を傾げた。
「……そうやって、嘘をついて来たんだ」
数秒おいてから、アドリアン師匠は「は」と呟いた。
本気で分かっていない。その可能性は頭からすっぽり抜け落ちていて。
「何のことか分からないです。ちゃんと、説明してくだ――」
「言い訳」
見苦しい。
独り言のようにつぶやいて影に意識を向けた。
闇魔法が、師匠の腹を貫いた。
「……ゔ、え?」
子どものように意味のない言葉を発した。
師匠の足に力が入らなくなったのを、魔法越しに感じた。
「があ、っあ!」
毒が回り始めたな。
彼の目が充血しだした。真っ赤な血と、真っ黒の闇魔法が混ざったものが、涙のようにあふれ出てきていた。
真っ白な雪に、赤と黒は、よく映える。
頭が追い付いていない、ぽかんとした表情を前に、笑みを浮かべた。
「さようなら」
にこやかに。
その場を、通り過ぎた。
姉と共用のパソコンなので、ヤンデレ系の小説のセリフやらをコピーした際には必ず適当な単語をコピーします。
前にコピーした状態で放置していたヤンデレ台詞を姉に見られて発狂したトラウマがあるので。
本日コピーした適当な単語『な』




