6 聖夜
ある冬のこと。
セラフィンは朝起きた時、ぷつり、と音がした気がした。
(幻聴……末期症状だ)
いつもならそう言って乾いた笑いが浮かぶものの、今日は何もなかった。
ただただ、虚無感だけが。
重力も、物も何一つないような。思考を放棄したような。
思考を放棄した。案外正しいのかもしれない。
でも、そんなことも、どうでもいい。
・・・
今日はクリスマスだった。
アルヴァンは、朝から騒がしくて目が覚めた。
城でパーティーが行われる。
身だしなみもしっかり整えて、めんどくさい。堅苦しい。
気づけば深いため息が出てくる。
「あー……」
使用人はばたばた動いてる。自分は暇だ。
いつも魔法の練習をしている庭に出て、手を前に出した。
「グラキエス・アーク」
そうつぶやくと目の前に氷が現れる。
冷気が漂ってきて、肌寒くなる。
目の前の大きな氷の的に向かって、自分の陰から棘が生えてくる。
勢いをつけて氷を貫いた。
棘を燃やすと、爆発するように氷が消える。
「……はぁ」
ストレス、少しは発散できたかな。
・・・
綺麗な音楽が鳴り響き、男女で踊る人もいれば、ワインを飲んで談笑する人もいる。
「やあ」
声をかけられて振り返る。
「……王太子殿下」
アークレイオン、と呼びそうになって少し焦った。言葉を飲み込む。慣れというのは怖い。
「アークでいいよ」
「はい、アーク様」
彼はくすくすと笑っていた。
確かに、会うたびにこの会話をしている気がする。
「ごきげんうるわしゅうございますわ」
自分の視界の少し下から可愛い声が聞こえてきた。
殿下の足元に立っているのは、王女のソルフィーネ様。
「そ、ソルフィーネ王女殿下」
もちもちのほっぺが今にも落ちそうだ。可愛い……。
シルヴァリオン様は体調不良で欠席。やっぱりまだ子どもだなぁ。
「アル、フィンはどうしたんだい?」
「え……あれ? さっきまで一緒に居たんですけど……」
「まいごですの? ソルがさがしますわ! ダーッシュ!!」
「あ、ああ、ソル! 勝手に動いたら迷子になるよ!」
走り出したソルフィーネ様を追いかけ、アークレイオン様も走り出した。
「…………セラフィン」
探そう。
向きを変えて、速足で歩きだした。
群像劇の一部としてみるとちょうどいい長さなんだが、一つの物語として書くと少し展開が早すぎるかもしれない……。
元となった群像劇が終わったら(あと数年かかりそうだけど)書き直してみようかな。
いっそ終わらせずに仮完結させて……。
もともと独立してた物語を無理やり繋げただけだし、仮完結させて独立した物語(「裏設定で実はこっちの話とつながってました~」的な感じ)にしようかな。




