4 カスハラというやつですよ。皆さま! これぞ絵にかいたようなカスハラでございます!!
今日はローゼンベルク家の領地である城下町に来ていた。
華やかだが動きずらい服を身にまとい、護衛を連れて街を歩く。
町は、アドリアンと二人でこっそり来た時より硬い空気だった。
馬車で行ってもよかったが、今日は天気が良かったので歩きたかった。
しばらく歩いて、歩き疲れて、適当に広場で休んだ。
「はぁ~」
深いため息を漏らす。
そんなアルヴァンとは反対に、セラフィンは風の吹く方向へとゆっくり歩いた。
「風が……気持ちいいですねぇ」
手を広げて、風を全身で受けていた。
最近、時折いなくなるし、様子もおかしかったが、今日はいつも通りだった。
そのことについて聞いてみると、教師と色々なものを見て回っていたんだと言う。
教師と言っても一人じゃない。魔法を教える教師やら歴史を教える教師やら、色々いる。セラフィンを外に連れ出している教師の名前は忘れたが、あの気持ち悪い魔法教師じゃないようで安心した。
「お二人とも、お水、飲みますか?」
地面に寝転がっていると、上から声をかけられた。
「シア殿」
世にも珍しいエルフだ。
チョーカーについている装飾が、光を反射して光った。
おじいさまが子どものころからこの家にいるらしい。
「水分補給は大事ですよ」
そう微笑んでコップに水を入れた。
ああ、ありがとう。そう言ってコップを受け取ろうとしたとき――横から、父・アスカリオの怒声が飛んできた。
「シア!! こういうのは俺に先に渡すべきだろう! なあ!」
シア殿は「やれやれ」と言うように目を伏せ、笑顔を作ってアスカリオの方へ向かった。
アスカリオはシアのチョーカーを掴み、引っ張った。シアがバランスを崩しこける。痛みで少し顔を歪ませていた。
・・・
そうして、何日か置きにセラフィンがいなくり、次の日の昼に帰ってきたり、ときには数日後に帰ってくる生活が続いた。
いつの間にか、秋になっていた。
セラフィンの目は、夏にはどんどん虚ろな目になっていったが、秋が近づくと、何かを悟ったように笑顔になった。
しかし時折覗く無表情は、やはり虚ろだった。
そんなある日、アルヴァンはセラフィンに声をかけた。
「ちょっと手合わせしてみないか? 火魔法しか使わないから」
・・・
「え? ……なぜセラフィン様まで?」
アドリアンは困惑を隠しきれずにそう言った。
セラフィンは気まずげに笑みを浮かべる。
「ちょっと手合わせしてみる」
「ああ、そうですか」
納得したように頷くと、魔法に当たらないように少し離れたところまで歩いて行った。




