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12 妖術と詐欺師


――コツ……コツ


 足音だけが響く。

 暗い廊下。先頭に白髪の男。後ろに緑メッシュの少年、ソイル。


 セラフィンがいる部屋まで、会話はなかった。


・・・妖術と詐欺師・・・


「…………フィン」


 見間違いであることを、夢であることを願いながらここまで来た。

 でも、現実だった。触っても反応しない。冷たいフィン。


 地下室の真ん中にセラフィンは寝かされていた。


 白髪の男は部屋の入り口に腕を組んでもたれかかっている。

 もたれかかりながら……爪をいじっていた。


「ねー、兄弟の感動の再開とか興味ないんだよね。早く終わらしてくんない?」


 ソイルはそう言い、「あーウザ」と呟いて頭をかいた。

 アルヴァンの顔に青筋が浮かんだ。その様子に気づいた男が目を見開き、焦ったように「まあまあ」と笑った。


「ちょっとソイル、そんなこと言っちゃダメだろ」


「魔族に何を期待してるんだか」


 なだめようとする白髪の男に対しソイルはため息をつく。

 確かに、魔族は魔族だ。アルヴァンは少し視線を落とした。


「あ、あーそうだ! 君に一つ提案があるんだけど!」


 話を変えようとする男の考えが手に取るように分かった。


・・・


「蘇生……?」


 一瞬理解が出来なくて、オウム返しをしてしまった。

 男はニコニコと穏やかに微笑んだままだ。蘇生の提案を、まるで息をするようかのようにしたときと同じ。


「言っとくけど、魔術じゃないよ。妖術ね。転生でもいいけど……この死体の子に前世の記憶は亡くなっちゃうから、見つけるのは大変だし。蘇生でいいよね?」


 カップラーメン、豚骨じゃなくて醤油でいいよね? 低カロリー(?)だし。とでも言うような軽い提案。

 思わず「は?」と言いかけたし、実際言った。


「それってどういう――」

「でも、リスクもいくつかあってね、蘇生するには蘇生する人の……寿命? を、蘇生した人と共有することになるから、生きられる時間が半分になるんだよ。君が残り八十年生きるとしたら、四十年になって、この子も四十年生きられるってことね」


 それでも、と男は言葉をつづけた。


「それでも蘇らせたいほど大切なのか、自分の人生を削ってでも一緒にいたいのか、後悔しない選択なのか、しっかり考えな」


 男は軽くそう説明し、「じゃ、戻ろうか」と言ってソイルと一緒に出て行った。

 一人、部屋に残されたアルヴァンは、セラフィンの方に向き直る。


 ……それでも。


 ギュッとセラフィンの手を握った。

 それでもいいと、思ったから。



 今日は体調が悪いので予定をキャンセルしました。吐きそう。


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