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隣の席の美人主任に資産形成を教えてもらう話  作者: 唯乃


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証券口座開設 2

僕はジョッキを置き、ふと口にしていた。

「主任って、どうしてそんなに投資に詳しいんですか?」


質問に主任は一瞬だけ手を止め、少し考えるように視線を落とした。

「そうね……高校のときに父が体を壊したのがきっかけかしら」


思いもよらない言葉に、僕は思わず姿勢を正す。


「父は普通のサラリーマンだったんだけど、働きすぎで倒れてしまってね。病気になるまで会社のために働いても、結局、家族の生活は楽にはならない。そんな現実を目の当たりにして、このままじゃだめだって思ったの」


グラスを軽く揺らしながら、主任は静かに続ける。


「そこから色々調べて、株式投資に行き着いたの。最初は失敗も多かったけど、少しずつ仕組みを理解していって。大学は経済学部に進んで、投資の元手を集めるためにバイトばかりしてた。接客はどうしても苦手で、続かなくて…結局、アルバイト代を貯めるのも大変だったわ……それで民間企業じゃなく、公務員を選んだのよ」


主任は自嘲気味に笑った。


「公務員になってからも、安い給料の中から投資資金を捻出していたわ。だから同期と飲みに行く余裕もなくて。人付き合いが悪いって言われてるのはきっとそのせいね」


そう語る横顔は、どこか懐かしさを帯びていて、僕にはとても遠い世界の話に思えた。けれど、不思議と胸の奥に熱いものがこみ上げる。


「……だから、僕みたいな新人にも丁寧に教えてくれるんですね」


そう言うと、主任は少しだけ目を細めた。

「さあ、どうかしら。ただ、自分が遠回りしてきたからこそ、同じ失敗はしてほしくないと思ってるのかもね」


その言葉が胸に染みて、グラスを持つ手に自然と力がこもった。

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