再会〜ルーク(レイチェルーヴァ父)
さてと、王都着いたのはいいけれど思ってた以上に人が多いな。
「ルーク、レイチェルーヴァはどこにいるかわかるかしら?」
ヴィクトリアが早くレイチェルーヴァに会いたくてしかたないようだ。
もちろん俺もだけどな。
「今コーに連絡したから、返答が来るだろう」
町を追い出されてから、1人でどうやって暮らしていたんだろうか?
レイチェルーヴァの使い魔のコウモリのコーが、俺たちの前に現れた。
俺の影を渡ってきたんだな?
コーがメモを渡してくる。
『コーについてきて』
レイチェルーヴァからの伝言は一言だけだった。
「なんて?」
「コーについて来いってさ」
それなら早く行きましょう!と俺を引っ張るのは止めてくれるか?
加減なしのヴィクトリアの力で、引かれたら俺引きずられちゃうからな?
「ここなの?」
コーの後について、歩くこと10分ほど。
見た目がボロボロの店屋に辿り着いた。
えっ?この店、大丈夫か?
そりゃヴィクトリアもここなのかと確認したくなるよな。
でもコーはそのまま入って行った。
ここで合ってるみたいだ。
躊躇っていると、中から扉が開いた。
「父さん!母さん!」
レイチェルーヴァが飛び出してきた。
「「レイチェルーヴァ!!」」
ヴィクトリアがレイチェルーヴァを抱きしめる。
気持ちはわかるが、俺を弾き飛ばして行くのは止めてくれな?
「元気だったようだな」
「うん」
いやまぁ、レイチェルーヴァも17歳だからとっくに成人はしてるんだけどな。
やっぱり心配は心配なんだよな。
「この店で働いてるのか?」
「あぁ、中入ってよ。外は認識阻害がかかってるから」
認識阻害だと?
そう言われて、もう一度店屋の外観を見ると認識阻害に気づけた。
言われないとわからないな。
これを施した人は、凄腕だな。
ここの店主ってことだな。
「ヴィクトリア、そろそろレイチェルーヴァを離してやれ。潰れるぞ」
「あら、嫌だ。ごめんね、レイチェルーヴァ」
レイチェルーヴァは苦笑いで頷いた。
みんなで店の中に入ると、すごく綺麗な店だった。
なんであんなボロに、みせかけてるんだ?
「師匠ー!両親が着きましたー」
レイチェルーヴァ…そんなデカい声が出せたのか!?
奥から出てきたのは、エルフだった。
いや、色味が違うな…ハーフエルフか?
「初めまして、リランジュリンダです」
「レイチェルーヴァの父、ルークです。息子がお世話になっております」
「レイチェルーヴァの母のヴィクトリアです。本当にありがとうございます」
俺とヴィクトリアは、頭を下げる。
「いえいえ、こちらもかなり助かっています」
レイチェルーヴァは器用だからなぁ。
錬金も出来るし、魔導具も作れるってことなのか?
「レイチェルーヴァ、お店閉めてきてくれる?せっかくだからみんなでゆっくりお話ししましょう」
「師匠、いいんですか?」
レイチェルーヴァの師匠、リランジュリンダさんは頷いて、今日の仕事は終わりよーって、笑っている。
自由だな。
ヴィクトリアと目が合って、苦笑いだ。
レイチェルーヴァが普通に店をクローズしている。
本当にここで働かせてもらっているんだな。
「ちらかってますけど、奥が家なので入ってください」
リランジュリンダさんが、俺とヴィクトリアを案内してくれる。
お言葉に甘えることにした。
「師匠、閉めてきました。コーヒー入れますね」
「お願い」
んっ?もしかして…?
「リランジュリンダさん、もしかしてレイチェルーヴァはここに住んでいるのですか?」
「はい、行くところがないというので住み込みで働いてもらってます。この家、部屋だけはたくさんあるので」
勘繰るつもりはないが、男女が一つ屋根の下とかはどうなんだろうか?
たぶん何もないとは思うけれど…。
『間違いなく、師匠と弟子ね。男女の関係ではないわ』
ヴィクトリアもそう思っているようだ。
『俺もそう思うよ』
レイチェルーヴァがコーヒーを運んできた。
そんなことが出来たのか!
いい香りだな。
「父さんと母さんもどうぞ」
「「ありがとう」」
「レイチェルーヴァ?町を出てからのこと教えてくれる?」
コーヒーを飲んで一息ついたら、ヴィクトリアがさっそく聞いている。
「あぁうん。そうだね。あの人たちから出ていけと言われて、カバンに入るだけ荷物を入れて出たんだ」
レイチェルーヴァのカバンは、アイテムバッグだからな。
それなりに入っただろう。
「どこに行こうかなんて考えてなかったから、とりあえず人の流れに沿って歩いたんだ」
んっ?
「王都に来るつもりじゃなかったのか?」
「何も考えてなかったんだよ」
レイチェルーヴァよ…。
「じゃあなに?人の流れに乗ってたら王都についたの?」
レイチェルーヴァは苦笑いして頷いた。
「馬車に乗らなかったのか?」
「うん、お金あんまりなかったら、もったいなかったし」
なんだと?
レイチェルーヴァの分のお金は、キチンと貯めてあったぞ?
って言うか、貯めてることを教えたことがなかったのか?
「すまん、レイチェルーヴァ。お前のための貯金はあったんだよ」
「そうね、レイチェルーヴァがやりたいことが見つかった時に渡そうと思っていたのよ。こんなことになるなら早くに渡してあげればよかったわ」
レイチェルーヴァが目をまんまるにして驚いている。
「そうなんだ?でももしそのお金を渡されてても、やっぱり歩いてたかも。もったいなくて使えなかったかも」
なんていい子なんだ。
「でもそれでよかったと思ってるよ。お腹空いてふらふらだったから師匠に拾ってもらえたし」
レイチェルーヴァが笑う。
「拾ってってなんだ?」
「王都の門の外で、お腹ぐーぐー鳴らしてうずくまっていたから、何か食べさせようと思ったんですよ」
リランジュリンダさんが、そう言って笑う。
レイチェルーヴァのお腹が鳴るほどの空腹だと!?
「あの時は1日半くらい何も食べてなかったんですよ。しかたないじゃないですか!」
「で、ご飯食べさせたら何かお手伝い出来ることがあればやりますって言うから、何が出来るのか聞いたら、モノづくりが得意だっていうんだもの」
「そしたら師匠が、じゃあここで働いたら?って住むところもないなら住み込みでいいからって言ってくれたんだ」
リランジュリンダさんが、レイチェルーヴァの頭をガシガシ撫でる。
なんか仲の良い姉弟に見えて来た。
「レイチェルーヴァは、このままここで住み込みで働くのかしら?」
「そのつもりだけど…」
『それなら俺たちも王都で、暮らすのがいいよな?』
『そうね。でも家にレイチェルーヴァがいないと、炉の管理に困るわね』
『でもレイチェルーヴァが決めたことだからな』
『そうよね』
「わかったわ。母さんと父さんも王都で暮らせるように、場所を探してみるわ」
「本当に!町の方は?」
あんな町はこっちから願い下げだ。
「大丈夫だ。あの町には俺たちのものは、もう何も残ってないからな。2度と帰らん」
「えっ!?何もないって、家は!?工房は!?」
「持って来たわよ?父さんが」
俺が頷くと、レイチェルーヴァは、あっ!って顔をした。
やっと気付いたみたいだな。
「それに王都に来る前にドワーフの里に寄って、洗いざらい話して来たから、もうあの町の連中は、ドワーフから武器を買うことなんてできなくなるわよ。ざまぁみろだわ!」
ヴィクトリアよ。
仁王立ちはやめたほうがいいぞ?
レイチェルーヴァとリランジュリンダさんが驚いてるからな?
レイチェルーヴァが王都で暮らすと言うのだから、俺たちも何としてでも王都で暮らせるようにしないとな?
おしらせ
10/10~10/13まで
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