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ワタシ死ねないみたいです。あと○○になる方法、探してます。  作者: マナマナ


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明日なんて待てない

 ナスの素揚げ。

 本来なら2〜4等分したナスをそのまま衣を付けることなく熱した油の中に投入。

 後は全体に火が通ったら完成。


「ホント。これなら私にだってできる。ってちょっと」

「ん?なぜ睨む」

「だって。なんでラフィも作っているわけ?私の担当でしょ。それとも不満なの?」

「いや。そういうわけではない。ただミウリルにもっと料理について知ってもらいたいから比較してもらうために作っている」

「同じじゃん。何か違うわけ?」

「まあまあ。それは食べてから判断しよう」


 そんなこと言ってるけど絶対私の料理にいちゃもんつけるためだよね。なんか腹立つ。

 けど無駄だと思うけどな。

 見てよ。この出来映え。油のテリテリが実に美味しそうじゃん。それにラフィの出来だって同じようなもの。そんなんで何が違うっていうのよ。


「こっちは出来ました。先生、味見をお願いします」

 リリエルの方も順調みたい。さっきからトマトの香りが食欲をかきたてる。


「うん。いい出来だ。腕を上げたな」

「これも先生のアドバイスの賜物です。それで?ミウリルはどうなんですか?」

「そんなの聞くまでもない。見てよこの出来映え。美味しそうでしょ」

「まあ見た目は」

「なによ。素直に美味しそうって言えばいいのに」

「それを言うなら先生のと比べてからですかね」

「ずっと一緒だったんだよ。どっちも同じに決まってんじゃん」

「果たしてそうでしょうか」

 リリエルは何か確信めいた顔で笑っている。それが釈然としない。

 どうせラフィの方が美味しいって言うに決まっている。

「だったらどっちが作ったかリリエルには分からないようにしてあげる」

「そんなことしなくても公正な判断はします。天使なんですよ。それにここは地獄。嘘なんていいません。正真正銘正確なジャッジになります」

「でもさ。先入観ってあるでしょ」

「ならミウリルの好きなようにしてください。これなら文句はないでしょう」

 今のうち余裕をかましていればいい。


「こっちもあがるぞ」

 豪快にフライパンを煽っていたラフィ。

 香ばしくてスパイシーな匂いに食欲が増進されたのは言うまでもない。

「盛りつけは私がやるね」

「そうか。任せた。ワタシとリリエルはテーブルのセッティングにいこう」

「はい。任せましたよミウリル。あたしのは大盛りでお願いします」


 二人が行ってしまった後、私はお皿を三枚並べて湯気が溢れているジャンバラヤを盛りつけてゆく。

 ああ・・・なんて美味しそうな匂い。

 周りを見てから

「味見してもいいよね」

 自分のお皿からちょこっとだけつまんで口の中へ

「・・・おお。これは」

 想像していたよりスパイシー。でも嫌いじゃない。今はこれくらいパンチのある味が嬉しい。

 スプーンで掬って口一杯に頬張りたい。


 フライパンに目一杯あったジャンバラヤを上手いこと盛りつけて

「さて。こっちが私ので、こっちがラフィ。で、これがリリエルのお皿」

 私は間違わないように何度か確認して

「よし。これで間違わない。リリエル、どっちも美味しいて言わせてやるんだから」

 声を大にして

「できたよ。運ぶね」

「そうか」

 ラフィに続いてリリエルも戻ってくる。

「あたしは特性トマトスープを用意します」

「ワタシは作っておいたサラダを持っていこう」


 全部揃ったところでみんなで作った夕餉の始まり。

 いつものようにお祈りをしてから

「いただきます」

 最初にいただくのは当然ジャンバラヤ。

 ん〜美味しい。口の中が大喜びしている。

「その顔は気に入ったでいいのか?」

「・・・んぐ・・うん。すごく美味しい。トマトスープもいい味だよ。リリエルすごい」

「今頃ですか。褒めてもなにも出ませんよ。ではジャッジの時です。あたしはもう判定済みです。ミウリルも食べたら分かります」

 まだそんなこと言ってる、同じ材料で行程も同じ。違いの出しようがない。

 先ずは自分の方から

 ん〜素揚げって油直だから油を吸いまくっている。でもこのしなしな加減が美味しい。

 次はラフィの・・・よく見てから口の中へ

「・・・え?」

 あれ?見た目は一緒なのに明らかに違う。こっちも油を吸っている。なのに

「こっちの方がさっぱりしている・・・なんで?」

「ほら。違うでしょ」

「確かに・・・認める。でもなんで?」

 ラフィから答えを聞くためにじっと見つめる。

「これが料理というもの。ちょっとした手間で大きな違いが生まれる」

「だから何をしたの?」

「揚げる前にナスを塩水に浸しておいた。そうして揚げた方が余分な油を吸うのを防いでくれる。だからただ揚げるよりスッキリとしている」

 はあ?そんなこと一言も教えてくれていないよね。

「悪かった。だからそんなに睨むな」

「だって。なんか騙された気分がする」

「あたしはどっちも好きですよ。先生は料理ってモノを教えたかったんです」

「ワタシは嬉しいぞ。ミウリルの料理が食べることができて。リリエルの言う通り料理とはちょっとした加減で味や食感が変わる。ミウリルにもっと興味を持ってもらいたいと思ったんだ」

 二人は私の方も美味しそうに食べている。

「これからもミウリルと一緒に作って一緒に食べたいものだ」

 え!

 そんなこと真顔で言わないでよ。

 だって・・・プロポーズみたいじゃん・・・

「なんで顔が赤いんです?」

「な、なんでもない。料理とは奥深いって分かったから」

 恥ずかしさを隠すために食べることに集中。

 なんでこの天使は私の心を揺さぶるの?

 でも

 ちょっと嬉しく思ってしまうのはなんでだろう。

 ・・・好きなのかな・・・認めていないだけで・・・

 いやいや・・・今までの親切と混同しているんだ・・・多分


 食べ終わってお腹いっぱい。なのに胸の中は・・・・・・


「今度みんなでピクニックに行きたい」

「急にどうした」

「だから。お弁当を持って・・・出来れば現世の空を飛んで雲の上で」

 あの時、天界で思ったことを伝えてみる。

「そうだな。いろいろ終えることができたら行こう」

「いろいろって?」

「ミウリル。先ずはミュリエルとのことを終わらせるんだ。もっと自由に生きたいだろ」

「え・・・うん。そうだね。でもどうたらいいの?」

「先ずは二人で話せばいい。番号を教えるとミュリエルと約束をしている」

「そうなんだ。ずいぶん仲良くなってる」

「妬いているんですか?」

「な!そんな・・・でも」

 指で『ちょっとだけ』とリアクション。言葉にするのは恥ずかしいから・・・


 みんなで後片付けを済ませて私は一人外に出る。

 見上げると月が半分以上姿を映している。

 この端末のおかげで半月まで待つなんてことをしなくてもいい。便利な世の中だね。

「出てくれるかな」

 ちょっと緊張しながら画面をタッチ

『お掛けになった電話は・・・』

 え?圏外?それとも電源が入っていない?

「まあ・・・仕方ないよね。向こうにだって都合ってあるんだろうし・・・」

 繋がらなかったことに残念とホッとしている気持ちが入り交じっている。

「・・・なんか眠くなってきた。明日、また掛ければいいか」

 諦めて家に戻ると

「風呂の用意が出来ている。先に入るといい」

「え?いいの?先で」

「ああ。初めての天界は疲れただろう」

「ま、まあ・・・じゃあ・・・先に入るね」


 裸になってお風呂場入ると

「・・・この匂いって」

 見ると天界から持ってきた青薔薇が置いてあった。

「もしかして驚かすために?ならこうしてもいいよね」

 薔薇の花びらを湯船に浮かべると香りは一層濃くなってゆく。

 私は香りの中に身体を浮かべた。

 目を閉じるとレテ平原の光景が浮かんで見える。

 ミュリエル・・・あなたも天使を楽しんでいるの?だとしたら同じように迷っているのかな?人間も戻るかこのままでいるか。

 そんなこと聞かないと分からないよね。

 だから今はこの香りを楽しむことでリラックスしていた。


☆☆☆・・・★★★


 ポタ・・・ポタ・・・・・・私の血は吸い込まれてゆく。

「・・・お願い・・・飛べない私に薔薇を・・・」

 こんなことして応えてくれるの?それとも無謀で無駄なことしている?

「もうやめろ。これ以上はキケンだ」

「・・・私はまだ平気」

「平気なもんか。顔だけじゃない身体だって青くなっている」

「血なんて時間があれば元に戻る」

「そうだけど・・・」

「あとちょっとだけ・・・ヴィヴィには迷惑かけるかもだけど」

 

 もうちょっと。お願い・・・私の願いを聞いて欲しい


 やっぱり無駄なこと?このまま死んじゃうの?

 でも。薔薇を採ることが出来ずに池に落ちたら同じこと。

 これが今の私に出来ることだと思った。命と同じなんだ。

 ハニエルは大事な天使。助けるまでは私は死ねない。


 意識が遠く感じる・・・限界が来たみたい・・・

 その場に倒れ込んでしまう。


「ミュリエル!」

 ヴィヴィの声が遠い。大丈夫だよ。気を失うだけ。死ぬことなんてできない。


 真っ暗


 何も見えない。自分の身体があるのかも分からない。

 これって最初に死んだ時の場所?ってことは死んだ?まさか。


『お前は何者だ』

 声・・・精霊?

『お前は何者だ?』

 まただ。


 私は天使です。それも堕天使みたいです。でも自分のことそんな風に思っていません。

 本当は元々は人間です。一度死んで生き返ってまた地獄に来て天使になった・・・自分でもよく分からないんです。


 私の血は美味しかった?それとも不味かった?

 たった一輪でいいんです。


 私の声・・・伝わったの?沈黙って嫌だな・・・・・・


 助けたい天使がいます。私のせいです。だからここまで来た。

 薔薇が必要なんです。じゃないと彼女は死んでしまうかもしれない。

 そんなこと望んでいないの・・・また彼女の笑顔がみたいだけ


 思っていること全部話した。これ以上何もないし何も望まない。

 

 やがて小さな光が見える。


「ミュリエル、しっかりしろ」

 呼んでいる声で意識が戻ってくる、結局何も答えてもらえなかった。

 やっぱり飛ばないと駄目なの?もうそんな力残っていないのに・・・

「これを見ろ」

 瞼を開けて最初に見えたヴィヴィの顔。その隣りには

「・・・薔薇?」

「ああ」

「嬉しい・・・ありがとう・・・」

「立てるか?」

 立とうとしても身体に力が入らない。

「・・・ごめん無理」

「分かっていたけど一応聞いてみた。私に掴まれるか?」

「どうだろ・・・」


「やれやれ。こんなところで何しているんです?」


 この声って

「ミュリエル。迎えに来ましたよ」

「ルシェル?なんで?」

「なんでも何もあなたが位置情報から消えたから探したんですよ」

「そうなんだ・・・よく分かったね」

「私達の情報網を甘く見ないでください」

「・・・・・・うん。ありがとう」


 この後はルシェルとヴィヴィに運ばれて今はアケローン川を渡るクルーザーの中にいる。

 シートに横たわっている間、何があったかヴィヴィから聞かされた。


 倒れた私。血を流している方の手が池の中に落ちた。

 その瞬間。手がある場所から勢いよく薔薇が伸びて、私は無意識に掴んでいた。

 それを見たヴィヴィが薔薇と一緒に私のことを引き上げてくれて傷口の止血をしてくれた。


「そうだったんだ・・・命懸けの作戦だったけど受け入れてもらえたんだ」

「無謀にも程がある。薔薇が手に入らなかったら無駄死にする可能性だってあったんだ」

「そうだね・・・でも私にはこれしか差し出すものがなかった」

 私は手にした薔薇を見る。鮮やかな赤い色は私の血ので出来たみたい。

 

「今度は私からお聞きします」

 ヴィヴィの隣りにいるルシェルが聞いてくる。

「うん。ごめんね。心配かけたね」

「ホントですよ。それで?なんで血薔薇を?」

「・・・えっと」

 こうなった経緯を話すと

「楽しいみたいですね、学園生活」

「こんなことになるなんて思わなかった」

「そうですね。でも責任を取ろうとしているじゃないですか」

「そんなの当然・・・今度は私が聞いてもいい?」

「どうぞ」

「堕天使なの?私って」

 ルシェルはちょっと驚いたような顔をしたがすぐに元に戻して

「もしかして翼を見たんですか?」

「うん。私は片方しかない。だから飛ぶことができなかった」

「翼のことを話したのはあなたですか?」

 ヴィヴィの方に質問をする。

「そうです。賽の河原なら飛んでも問題ないと思ったんです」

「そうですか・・・知られてしまいましたか」

「知ってたんだ」

「もちろんです。でも今そのことを話すのは待ってください」

「今聞きたい。ここにいるヴィヴィには私のこと全部話すって約束でここまで来てもらった」

 ルシェルは私とヴィヴィのことを交互に見て

「本当ですか?」

「はい。約束したことは確かです」

「ミュリエルはいいんですか?本当の自分のこと知られても」

「うん。ヴィヴィは私の秘密を誰にも話さないって約束してくれている」

「ヴィヴィエル。約束できますか?」

「約束できる」

 ルシェルは少し目を閉じて考えて

「信用します。ここは地獄。嘘じゃないことは分かりました」


 アケローン川を渡りきって再び賽の河原に足を踏み入れる。

「毎度あり」

「ロゼッタ。ありがとう。おまじないのおかげで無事手に入れて帰って来れた」

「役に立ったならなにより。またのご利用お待ちしています」

 ロゼッタは最初の頃の雰囲気に戻って消えていってしまう。


「それにしても経費を豪快に使ってますね」

「ご、ごめん。これってやっぱり駄目?」

「それを決めるのは経理次第です。今回は学園でのことなので私から一言添えておきます」

「・・・ありがとう」

「二人の時間を少しもらいます。事態は火急を要するのは分かっていますが、今は体力を回復することが最優先です。儀式にはまた血が必要になる」

「ルシェルは知ってるの?」

「はい。それと青薔薇の方はどうするんですか?天界に行くんですか?」

「それはまだ。良い方法てないの?」

「いろいろ話すことがあることは分かりました。今からカーリ様の屋敷に行きます」

 その提案に一番驚いたのはヴィヴィだった。

「そんなに慌てること?」

「当たり前だろ。直接会うのは初めてだし、お屋敷に行くなんて普通はできないんだ」

 そうなんだ・・・そんなこと考えたこともなかった。

 私が何度も出入りできているのはやっぱり普通の天使と違うからなの?


 地上って言っていいのかな。元の場所に戻った私達は早速ランヴェルを呼んでカーリ様の屋敷に向うことになった。

 すでに日は暮れていて夜になっていた。

「三階層の空気って淀んでいたからここの空気が美味しい」

「ミュリエル。ずいぶん顔色が悪いが大丈夫か?」

「うん。これでもだいぶ良くなった。強いて言えば血が足りない」

「血?お前、俺の忠告守らなかったのか?」

「自分で・・・だからほら。キズまで負った。でも見て」

「これが血薔薇か。初めて見た。色がすげえな」

「私の血の色」

「おいおい怖いこと言うなよ」

 それからは笑って答える。喋ることが辛くなってきた。


「悪いが、ランヴェル。ゆっくりで頼む」

 ヴィヴィが伝えると

「無理したんだな。相当。分かった。ゆっくり。だがのんびりはしない」

「ああ。それで。ミュリエル、今のうち少し眠れ。っていうかもう寝てるか」


 また真っ暗な場所に。ちょっとだけ目を閉じていただけなのに・・・

 何回この景色を繰り返したらいいのだろう・・・


 あれは・・・拓哉

 相変わらず私の顔を見ている。

 気に掛けてくれてありがとう。

 生きてる。私はちゃんと生きているよ。

 でもここは簡単には来ることの出来ない場所だけど・・・


 また・・・そんなに泣き虫だっけ?って言っても私にはもう昔のこと分からないんだ。だって私は本物の美有ではないのだから・・・

 

 ねぇ・・・聞けるものなら聞いてみたい。

 どっちがいいの?たった一つしかない現世の肉体に戻る魂。

 どっちなら好きになってもらえるの?

 どっちならあなたのこと愛せるの?


 どっちなら・・・私達の幸せになるっていうの?

 人として・・・天使として・・・


 いずれは選ばないとならない。分かっているけど答えなんてすぐには出ない。


 再び意識が戻ると

「あ・・・ここは?」

「カーリ様の屋敷だ」

「・・・ヴィヴィ」

「具合はどうだ?」

 眠っていたからかさっきよりは気分が良くなっていたが

「・・・お腹空いた。血が足りない」

「そういうと思ってカーリ様が食事を用意してくれている」

「そう・・・どれくらい寝てたの?私」

「一時間くらいかな」

「そんなに・・・待たせちゃったね。まだ時間って大丈夫だよね」

「門限ならまだ大丈夫。動けそうか」

「うん。それに約束したもんね」

 ベッドから起き上がって見ると自分で傷付けた場所はキレイに処置されている。真っ白な包帯が巻かれていたが痛みなどは感じない。

 立ち上がるとまだふらつくのでヴィヴィに支えられながらカーリ様とルシェルの待つ部屋に向かった。


 部屋に入ると同時に良い匂いがする。

「カーリ様・・・すみません」

「謝ることではない。気分はどうだ?」

「はい。もう大丈夫です」

「ミュリエル。食事の前にいいですか?」

「うん。なに?ルシェル」

「眠っている間。私達であなたのことについて簡単に話しておきました。良かったでしょうか」

「そうなんだ。それで?ヴィヴィは?どう思ったの?」

 みんな席に着いて私はヴィヴィのことを見て答えるのを待っている。

「正直驚いている。というかそれ以外の感想はない。元々人間だったなんて」

「ごめんね。黙っていて」

「それは秘密にする必要があったからだろ」

「秘密っていうか、上手く説明できないっていうか、しても信じてもらえるか分からなかった。ヴィヴィは納得できたの?」

「出来たというか、事実を受け入れるしかないと思う」

「だから私は『仮』のつく天使なんだ」


 次々と料理が運ばれてきて全部揃ったところで

「先ずは食べてからにしよう。先のことはミュリエルが自分の言葉で話せばいい」

 一旦会話は終了。

「分かりました。まだ言っていないこともあるんでしょ」

「もちろんです。それよりいただきましょう。ミュリエルの血が増えるようなメニューにしてもらいました」

 ルシェルの言葉でテーブルの上を見ると

「うわ・・・スタミナ料理ばっかり」

 むしろ吐き気がする。それでも私に課せられたことは食べて失った血を回復させること。

 食事が始まる。

 思い切って口の中に入れると

「美味しい・・・食べられる」

 おいしい。一口ごとに血が増してゆくみたいな感じがずっとしていた。


★・・・・☆


 食事が終わってお茶をしている時にはもうほとんど元通りになっていた。


「私は人間だった時・・・自分で自分を殺した」

「そんな罪を・・・だから堕天使なのか」

 そうだ。そのことも聞かないとならない。

「ミュリエルは私の加護の元天使になった」

「ということはカーリ様はやっぱり・・・」

「ずっと昔。私は堕天使と呼ばれていた」

 カーリ様は身体を光らせると何対もの翼がある。けれど左側だけなかった。

「堕天すると二度と飛べないように翼をこのようにされる。私が片翼だからミュリエルも片翼なんだ」

 私の顔じっと見て。

「残念だったか?」

 そんな風に言われると素直に『はい』なんて答えられない。

「少しなら自分で飛ぶことができました」

「知っている。けれど高く、長くは無理だ。黙っていてすまなかった」

「そんな。謝らないでください。私はカーリ様のおかげで女の子になることができたんです。それに天使にまでなって今こうして生きている。だから後悔もしてなければ残念だなんて思っていません」

 私は今の気持ちを正直に伝える。

 カーリ様は軽く頷くだけで紅茶を飲む。

「ミュリエル」

「まだ知りたいことあるんでしょ。私の中の最大の秘密」

「さっきから聞いていると・・・」

「そう。私は人間の男の子だった。でもそれは身体だけで心は女の子なの」

「ハニエルは当然・・・」

「知らない。きっと思いつきもしない」

 ヴィヴィは大きく溜息をついて

「だからだ。ハニエルがああなったのも理解できる」

「やっぱり私が原因なんだ・・・男だったからなのかな」

 ヴィヴィは驚きを隠すようにお茶のお代わりを求めた、私も同じようにお代わりをした。


「これで全部かな。もうこれ以上はなにも・・・いや、まだあった」

「まだ?どれだけ秘密を抱え込んでいる」

「全部話す約束だからね」

 私はミウリルのことを話す。

「そうですか。見つかったんですね」

「そう。まだ言ってなくてごめんルシェル。どうやら私達は天使として今を生きている。でも向こうは天界の天使なの」

「もしかしてハニエルが見かけたのって」

「多分ミウリルだよ」

「同じ顔をした天使か」

「はい。カーリ様。彼女を天使にしたのはラフィっていう上級天使です」

「ラフィ・・・?そうかアイツが」

「知っているんですか?」

「ああ。よく知っている。だが、アイツが地獄にいたとは知らなかった」

 一体どんな関係なのだろう。友達とか?兄弟とか?

 もっと聞きたいけどそれはまた別の機会だ。


「大体話したと思う。ヴィヴィ。これでいい?」

「ああ。未だに信じられないがな。人間が天使・・・それも二つも」

「でも本当なの。全部本当のこと。だからこの話は終わり。私達には時間がない。血薔薇はもう手に入れてある。あとは青い薔薇。二十四時間後には薔薇は枯れてしまう、でいいんだよね」

「ああ。実際はそんなにないけどな」

「あの。カーリ様。青い薔薇を手に入れることできませんか?」

「天界に行くしかないだろうな」

「なら今すぐ行きます。ヴィヴィは知ってる?どこにあるのか」

「悪い。天界のことは全く知らないんだ」

「そう・・・・・・カーリ様は知っているんですよね」

「レテ平原に咲いている」

「レテ・・・それさえ分かれば後はなんとかします」

「無理だ」

「え?」

「だから無理だと言っている」

「どうして?」

「天界の天使でないと駄目なんだ。最初に摘むのが天界の天使じゃないと青い色は保たれない」

「そんな・・・だったらラフィに頼めば・・・明日まで待ってなんていられない」

 立ち上がって部屋を後に、そして屋敷の外に出て

「お願い。繋がって」

 電話を掛ける。コールが始まる。けれど繋がる様子はない。

「お願い。急いでいるの。頼めるのはあなただけなの」

 駄目なの?なんで?気が付いてないの?それとも気が付かないフリをしているの?

「駄目だ・・・繋がらない」

 頭の中は『どうしよう』という言葉でグルグルしている。明日しかない。明日が終わったら血薔薇は枯れてしまう。命まで掛けたのに全てが無駄に終わってしまう。


「ははは・・・なんで上手くいかないんだろう・・・私の運命ってこんなことばっかり。上手くいったと思ったら急に上手くいかなくなる。生きている意味なんてなかったのかな?周りに迷惑ばかり掛けて・・・ハニエルにも美有にも・・・素直に死んだ方が良かったの?」

 自分自身が急に小さい存在に思えてくる。

「天国を探すなんてこんな私にできるはずない・・・ごめん美有・・・ごめんハニエル」


 情けない


 こんな時泣けたらいいんだろうな・・・ずっといろいろ我慢してた・・・だから


 自分が決めたことなのに挫折してもいい・・・


「え?」

 端末が震えている。誰?ラフィじゃない。登録していない番号

「・・・はい」

「やっと繋がった」

 この声・・・ミウリル?

「ちょっと聞こえてるの?」

「あ、うん。ごめん。びっくりして」

「ラフィに電話したでしょ」

「うん」

「そしたら私に掛け直すようにって」

「・・・そうなんだ」

 今の私に反して向こうは元気過ぎる。まるで正反対。

「ずいぶん元気だね」

「そう?お風呂から出たばかりなんだ。青い薔薇のお風呂が最高で・・・」

「青い薔薇?」

「うん。天界から持って帰ってきたんだ」

 まさか・・・そんな偶然ってある?

 急に心臓がドキドキし始める。

 少しだけ希望が見えたような気がする。それに私達は簡単に繋がることだって出来みたい。

「ミュリエルどうしたの?聞こえてる?」

 ミウリルの声が私のことを祝福しているみたいに聞こえていた。 

本日はアップしようかどうか迷ったのですがアップしました。

読んでいただきありがとうございます。

終戦記念日・・・ずいぶん遠い、けれど近い。

いつまで経っても消えない記憶です。

今日という日だけは大人しくしていても良かったのかな。

小学生の時は全校集会で登校していました。

生きている限り未来は続いていきます。

同じ過ちは繰り返さない。

明日はきっと素敵になる。そう思って生きています。

ではまた次回。よろしくお願いします。

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