愛し合うってどんな気持ち?
朝。目を覚ましてベッドから出て鏡の前に立ってみる。
「・・・あれ?」
昨夜見た翼はなくなっていた。もしかして幻?まさか・・・・・・
私・・・・・・裸のまま・・・
ミウリルは何がしたかったの?私だって何をしていたの?
半月。半分の月には不思議な魔力でもあるのだろうか・・・
魔力って・・・
あ〜自分の思考がどんどん現世から遠ざかっているように感じる。
鏡に向かって『ミウリル』と呼び掛けても返ってくる言葉はない。
なら次の半月まで待たないとならないの?
その前には満月がやって来る。
どんなことが待っている?
ルシェルとの連絡はいつだってできる今があるのに・・・
でも・・・一つ気になることがある。
新月が終わっての朝・・・サッカーボールに書かれていたメッセージ。
『満月に会いましょう』
英語で書いてあった。あれはルシェルが書いたものなの?そんなこと一言も聞いていない。
もし。
ルシェルじゃない他の誰かだとしたら?
一体誰があんなこと書いたのだろう。なんのため?
今は考えても分からない。目の前のことに集中するんだ。
ミュリエルとミウリル。
これではっきりした。美有は天使になっていた。
半月なんてまどろっこしいことはやめて端末で話せばいつだって繋がれる。
これはもう聞くしかないよね。
「出てくれるかな」
期待しながら画面を見ているとすんなり応答してくれた。心配は無用だったみたい。
「ミュリエル。早速なんの用かな?」
声の感じは昨夜と同じで気さくで話しやすい。朝早くても気にする必要もなかった。
「あ、あの。おはようございます」
「いいねぇ。礼儀正しい。おはようミュリエル。それで?」
ラフィの笑顔はやっぱりどこかハニエルと似た効果があるのか。心が落ち着く。
「出てくれてありがとうございます。突然ですがお願いがあります。ミウリルの番号って教えてもらうことはできるでしょうか」
「ミウリルの?なぜだ?」
「直接会って話したいんです。とても大事なことなんです」
「ほほう。そうなのか。いいよ・・・と言いたいところだが実はワタシも知らないんだ」
「あ・・そうなんですか・・・」
知らないなら仕方ない。
でも。繋がる手段はある。
ミウリルの近くにはラフィがいる。ならラフィの端末で話すってこともできるよね。
「そう言えば今日帰ってくるって」
「ああ。今夜には天界から戻ってくるだろう。そしたらワタシが君の番号を教えて直接掛けてもらうようにしようか?」
「頼んでもいいんですか?そんなこと」
「構わないさ。ミウリルが天界に行ったのは端末を購入するためなんだ。何も持っていなかったからな。どうしても欲しいって駄々を捏ねるわがままなお嬢さん天使なんだ」
わがままなお嬢さん・・・そんな印象なんだミウリルって
だったら同じ顔の私は?同じに映っているのだろうか?聞いたら答えてくれるかな?それともまだよく知らないから印象なんてないのかもしれない。
今夜・・・天界から・・・私は今夜も街に出掛ける。
「あの。ラフィって迎えに行くんですか?」
「ミウリルを?」
「はい。もし迎えに行くなら私も同行させてもらうことは可能ですか?」
しばし沈黙が訪れる。
きっと待ち合わせの時間のこととか考えているのかもしれない。
これならすぐにミウリル・・・美有に会うことができる。
思ったほど時間が掛かっていないのか、それとも時間が掛かった方なのか。
どっちにしてもこれで私達は前に進むことができるんだ。
前向きな期待が私の気持ちを後押ししてくれている。
「それは駄目だ」
「え?」
まさかの返答に困惑する。
拒否されるなんて想定外もいいところ。返す言葉を失ってしまう。
「君たちはまだ直接会う段階ではない。ワタシはもう少しミウリルに聞かないとならないことがある。そのことを聞いてからじゃないとミウリルにも許可はしない」
「・・・どうして急に」
「君たちには何か事情がある。そうだろ。それにミュリエル。君も天使になったリンシ、いや人間。カーリのやったことだろう」
知ってるの?カーリ様のこと。
「はい。そうです。カーリ様に天使にしてもらいました」
「正直でよろしい」
「ならミウリルを天使にしたのはあなたで合ってますか?」
「その通りだ。全く同じ顔の天使。だが魂が違う」
私達のことは何もかも知っているみたい・・・いや知っているのだろう。
「端末を使っての会話は許可しよう。でも直接会うのは駄目だ。その二点に同意できるならワタシはミュリエルの番号を伝えることを約束しよう」
会えないけど会話はできる。
多分、これ以上の結果は望めないだろう。ならここは同意するしかない。
「分かりました。許可が出るまで会うことは希望しません。でも。街中でばったり会う可能性だってあると思います。そうなったらどうしたらいいんですか?」
「その可能性は限りなく『ない』に等しいから心配するだけ無用なこと」
ラフィの言葉に嘘はないだろうな。
「分かりました。これ以上は聞くことはありません。いろいろありがとうございました」
「礼儀正しいことは好まれることだ。ミュリエルの希望は叶えよう。では」
ラフィの方から通話は終了。
私は小さな画面をぼんやり見ていた。
コンコン。
朝食の誘いだろう。慌てて制服に着替えてドアを開ける。
「おはよう。ハニエ・・・ル・・え?」
「どうした?私じゃ不満か?」
ドアの前に立っていたのはハニエルじゃなくヴィヴィエルだった。
あからさまに不機嫌そうな表情で私のことを見ている。
「あ、ごめん。ちょっと意外だったから。あの・・・」
「ハニエルなら保健室にいる」
予想外の返答に困惑してしまう。そんな・・・いつから?
「・・・どこか悪いの?」
「どこか悪いのって・・・私は遠回しに言うのは苦手だからはっきり言う。ミュリエル、お前のせいだ」
え?私のせい?なんで?だって昨夜は元気だったと思う・・・
「そ、そんな・・・私のせいって・・・」
「昨夜・・・お前達は・・・」
なんで知ってるの?あれは私とハニエルだけの秘密なのに。
誰もいない大浴場だった。二人きりだった。それにいろいろあった一日だった。
「お前達が何をしていたか大体の察しはつく。だがそれはハニエルにとって毒にもなることなんだ。ミュリエル。例え知らなかったとはいえお前じゃないとハニエルと救うことは出来ない。私はそのことを伝えるためにここにいる」
毒?どういうこと?ハニエルは一言もそんなこと・・・
「ヴィヴィ、保健室はどっち?」
「今はまだ駄目だ。会わせることはできない」
「え?なんで?」
「今ミュリエルと会ったら症状が悪くなるからだ」
「え?・・・そ、そんなこと・・・だったら私は・・・何をしたらいいの?何かできることないの?」
「落ち着け。これからのことをミュリエルに教える。だから今は会うのだけは我慢してくれ。これもハニエルのためなんだ。それにハニエルの傍には私がつく」
真っ白
信じたくない・・・そんなこと信じられるわけないじゃん。
私とハニエルは通じ合ったって感じている。
今だって感じている・・・・・・ハニエルの体温を・・・匂いを・・・
涙が溢れそう・・・
でも・・・まだだ・・・だめ・・お願いだから・・とまって・・・
☆★☆★☆★☆
「いや〜食べ過ぎました」
テーブルの上には私達が陵辱の限りを尽くしたカラのお皿が積んである。
自分でも感心するくらいの食べっぷり。
だってしょうがないじゃん。私達はどっちも育ち盛りだし、おまけにどれもこれも美味しくて止まらないんだもん。
今はコーヒーで食後の安穏を楽しんでいる。
「私も。ホントよく食べたよね。リリエルって胃拡張なの?」
「なんですかそれ?あたしは元来大食いなんです。成長期ですから」
「そうかもだけど。天使の成長期ってすごく長いんだろうね」
「そんなこと考えたこともありません。いい加減人間基準はやめてもらっていいですか。あたし達は天使なんです。簡単に生まれたりなれたりできないんです」
簡単ではない・・・ホントに?
「そう?私は簡単だったと思うけど」
「何回も言いますがミウリルがとんでもない幸運の持ち主に他なりません」
「運がいい。それだけで天使になれるなら宝くじが当たった人だって運がいいってことでしょ」
「確かに端からみればそうなります。でも運は使うところで決まるんです。宝くじが当たったのは運がいいでしょう。でもその人の運はそこで終わりです。『HP0』みたいなものです」
意外な言葉だが私の記憶の中には前の私がやっていたゲーム画面を思い出す。
「そんなのがあるの?」
「例え話ですよ。その方が分かりやすでしょう」
「え?だったら今の私も同じってこと?運を使い果たした?」
ゲージが減って緑からオレンジ、さらに赤に変わってゆくイメージが脳内を駆け巡る。
「あのですね。元々ミウリルはリンシだったんです。つまり死んだってこと。まあ、その辺の事情はちょっと違ってますけどリンシになった時点でHPは0なんです。だから何度も言いますが僥倖だって言ってるんです。反則技まがいなことをやったんですよ」
「・・・はぁ」
「ほうけてないで理解してください」
ほうけているわけじゃない。私って凄いんだって再確認しているだけ。
「すごく感謝しているよ。だから今の私がある。ねぇ。リリエルってゲームとか知ってるの?」
「知ってますよ。『天使クエスト』なんてちょっとしたヒット作です」
「天使クエスト?聞いたことない」
「そのうちハードと一緒に貸して上げます。エンディングで泣くこと必須です」
「それはどうもご丁寧に。それで?これから地獄に帰るの?」
「帰ります。でもまだ時間があります。夜まで待ちます」
「また夜?早く帰りたいのに」
「そんなに先生が恋しいですか」
「そう。恋しいの」
「ずいぶんはっきり言いますね。腰が抜けそうでしたよ」
「だって嘘は言えないんでしょ」
「それは地獄の話です」
「え?それじゃ・・・」
「はい。天界で嘘を言っても罰則は特にありません」
「はあ・・・そうなんだ」
基準がよく分からない。どっちも駄目なら分かるけど。
ここ天界には嘘が存在しているってことなんだ。
「それまではミウリルにこの世界を案内してあげます。といってもヴィロンだけですけど」
「他にも街ってあるの?」
「もちろんです。天界は七つの階層に分かれています」
「ということは他に七つの街がある」
「そういうことになります。が。あたしも詳しくは知りません。第四天から先のことはあたしでは立ち入ることができません。先生みたいな上級なら話は別ですけどね」
天界の天使だからといって、どこにでも簡単に出入りすることはできないんだ。
管理社会。そんなのかえって気になる。リリエルも知らないその先にはどんな世界があるの?
「リリエルでもダメってことは・・・」
「当然ミウリルだってダメだってことです」
「だよね。ラフィに聞いたら教えてくれたるするのかな?」
「なんですか。興味持ち過ぎです。先生は口を閉ざすでしょう」
「そうなの?だったら気になるような言い方しないでよ」
リリエルはしばらく黙ったまま周囲を気にして
「いいですか一つ現実を教えましょう・・・大体の天使は知ってますけど、ここで話す話題ではありません。そろそろ部屋に戻りましょう」
「部屋に戻ったら教えてくれる?」
「いいでしょう。天使やっていたらいずれ耳に入るでしょうから」
私達が残していった食器達は前衛的なオブジェみたいだった。
部屋に戻ると朝のままいろいろなモノがぐちゃぐちゃだった。絡まった毛布やシーツ。
とても女子二人で寝ていたとは思えない光景。格闘技でもしていたみたい。
「あちゃ〜あたらめて見ると躾のなっていない天使みたいですね」
「少し片付けた方がいいかな」
「原因はミウリルだから」
「なんで?」
「普通、暑いからって真っ裸になります?」
う〜・・・だから・・・昨夜はおかしかったんだって・・・でも説明も難しい。
「だってホントなんだもん。分かったわよ片付ければいいんでしょ」
「あたしはその間にシャワーでも浴びます」
「好きにして。終わったら私も入るから」
「はいはい。ではお先にいただきますね」
リリエルのシャワーの音が始まったので私もベッドを軽く整えてから昨夜買った端末を手に取る。
「これって向こうとほとんど同じだね」
左腕に装着。
うん。これで私も現代っ子ならぬ現代っ天使って感じかな。
「それで?どうやったら起動できるの?」
見たところボタンの類いは見当たらない。ならば
「画面をタッチ」
あれ?反応がない・・・長押しならぬ長タッチでは・・・これも駄目か。
「仕方ない。リリエルに聞こう」
ふと窓の外を見ると
「うわ・・・昨日よりも明るい」
青いのはいうまでもない。青い空って見ているだけで清々しい気持ちになるのはなんでだろうな。
青色・・・私は好きだな。
窓の近くまで行くとバルコニーがあることを発見。開けて一歩外に出てみると
「わ〜・・・もっと気持ちいい。地獄も心地良かったけどこっちも負けてないね」
太陽はどの世界でも光をまんべんなく無償で届けてくれる。
考えてみればそれってもの凄く贅沢なことなんだよね。見上げるだけで幸せを全身で感じる。
「天界の空・・・やっぱり独特」
太陽の周りには常に虹の輪っかがある
確か現世だとこういう現象は『ハロ』って呼ばれていて天候が下り坂の合図って
「教えてくれたのはもう一人の私」
今頃どうしているのかな。ミュリエルの話が本当ならって地獄で嘘はつけない。だから本当のことなんだろうな。
現世でミュリエルの元の身体で生きている。サッカーだってやっている。
「あなたは希望だった男の子になれた。私は成り行きだったけど天使になった」
本当ならあなたが天文台から身を投げ出した時私達の人生は終わっていた。なのに終わっていないから今があるんだよね。
運命。幸運。僥倖。なんでもいい。
とにかく私達は生きている。お互いがお互いとして。ちゃんと個として生きている。
「あ〜さっぱりした。ミウリルも入りますよね」
「うん」
「何やってんですか?そんなところで」
「空を見てた」
「それで?」
「うん。すごくキレイ。見ているだけで幸せな気持ちなの」
「天界の空。気に入っていただけてなによりです」
リリエルと入れ替わって頭から熱いシャワーを浴びる。
朝早く露天風呂にも入った。でもあの時は浸かるだけだった。
「よし。自分を磨くぞ」
なんだか急にやる気が湧いてくる。一体何に対してのやる気なのかは分からない。
心はどこまでも軽くて、ワクワクしている。
私は私のことが好き。リリエルだって好き。もちろんラフィだって。
現世で待っていてくれているお父さん、お母さんもだって好き。
拓哉・・・ちゃんと帰るからね。だから笑顔でいて欲しい。
私の周りにいる天使、人、みんなみんな大好き。
大好きが溢れているこの世界こそ天国なんじゃないの?
これ以上私は何を望むの?
今はただ気持ちのままに泡だらけになっていることが心地良かった。
☆・・・・☆☆
髪を乾かしている顔を映している鏡を見ていると昨夜の記憶が蘇ってくる。
「まさか同じ顔した天使が二人もいるなんて絶対変だよ。双子でもないのに」
しかも、元々は男の子。ありえない。なんでそんなことが起こるの?
「ミュリエル」
話し掛けても返ってくる言葉はない。
「あなたはなんなの?私達の命を救ってくれたの?それとも奪いに来たの?」
もし。実際に顔を合わせることになったら・・・どんな気持がするのかな。
ミュリエルが言っていた二人が幸せになる方法。
どうなったら幸せなの?
答えなんて私が考える必要なんてないよね、絶対に。
「よし。今日の私は気分が良い。気分が良いと可愛さも倍増だね」
「ミウリル。やっと出ましたか」
「長かった?」
「年頃はいろいろあるんでしょ。思春期って大変ですね」
「またそういうこと言う。でも・・・いろいろあると思う」
「少し頭を冷やしましょう」
リリエルはキンキンに冷えている炭酸水を用意しておいてくれてた。
「喉乾いたなぁって思ってた。ありがとう。リリエル」
イッキにグラスの半分まで飲む。喉にくる炭酸の弾けが心地良い。
「美味しい」
「ミウリルは天使の服を着ないのですか?」
「どうしたのよ急に」
「だって天使ならあたしみたいなカッコしたくないですか?」
確かに真っ白な服。天使のイメージそのもの。だけど
「別に何着てもいいんでしょ」
「いいですけど。人間時代の服・・・制服、そんなに気に入ってるんですか?」
「私、向こうで着たことなかったから。だから今はこの格好が好き」
「そういう理由ならこれ以上は言わないです。でも天使の服が着たかったらいつでも言ってください」
「そうなったらよろしく。ところでさっきの話。噂話ってなんなの?」
「急に話題を変えますか。まあ、いいでしょう。先に言ったのはあたしですから」
リリエルは自分の分の炭酸水を飲み干す。
「地獄の閻魔大王です。名前はカーリと言います。元々は天界の上級天使でした」
「確か、そんなこと言ってたよね」
「はい。なぜ天界の天使なのに地獄にいると思いますか?」
「そんなの知るわけないじゃん」
「まあそのまま聞いてください。あたしも詳しいことは分かりませんが諸説あって一部の者しか知りません。閻魔大王は第四天から先の天界のことを下級天使に話したとか、一緒に連れて行ったとか。禁忌を犯したので地獄に落されました。堕天使なんです」
「堕天使?」
「それは文字通り『主』の意向で天界を追われました。彼は地獄で閻魔大王として自分の犯した罪を償っていると聞いたことあります」
「もしかしてラフィって知ってたりするの?」
「多分知ってます。でも教えてはくれないでしょう」
もしラフィが喋ったら同じように地獄に落されてしまうの?
ん?ちょっと待って。
「ラフィって地獄で暮らしているってことはもう堕天しているとか?」
「先生はそうじゃありません。自らああやって暮らしているんです」
「そうなんだ。でもさ。ヘブヘルタワーがあるからいつでも天界に戻れるんじゃないの?」
「まあ。そうです。それに堕天したのは遥か昔のこと」
「じゃあ天界に帰れるよね」
「もちろんできます。もしかしたらカーリ様は今の職が気に入っているのかもしれませんね」
遥か昔。地獄に堕とされた天使は二度と天界に戻れなかった。
なぜなら天使の象徴である翼を捥がれるから。
二度と空を飛ぶことはできない。
少しだけ天使の歴史を聞いた。
一体その場所には何があるの?知りたい。けれど知ったらどうなるの?
「ラフィが言ってたけど地獄のもっと深い所には別の種族がいるって」
「先生は口が軽くて困りますね。ミウリル。天使でいたいなら深追いはしないことです」
いつになく真面目ね顔をしているリリエル。
「知る必要はないってラフィにも言われてるから」
「ならいいです。さ。これでお話しは終わりです。そろそろ出掛けましょう」
「待ってました。楽しみだな天界の街。昨日はすぐにホテルだったからね」
「誰のせいだと思っているんです?」
「仕方ないじゃん、天界の空って反則級にキレイなんだから」
「そう言われると返す言葉が見当たらないですね」
やっとリリエルがいつもの顔に戻った。
「チェックアウトです」
「出発!」
このままでいい。ここは天界。このままなら楽しい毎日でいいんだ。
でも私の気持はちょっとだけ複雑だった。
☆★☆★☆★
「とりあえず。朝ご飯でも食べながら話そうか」
そういうヴィヴィの顔色は食欲がなさそうに見える。
「私も・・・今は食欲ないかな」
「だよな・・・でも食べるぞ。ちゃんと食べてハニエルの傍にいなきゃ」
「ヴィヴィも倒れたら大変だもんね」
「じゃあ行くよ。ミュリエルも食べろ。じゃないといざって時に力が入らない。入らないと役に立つことなんてできなくなる」
「・・・うん・・確かにヴィヴィのいう通りだね。私まで倒れたらハニエルを救うこと出来ない。そんなの絶対に嫌だから」
気が付いたらヴィヴィと手を繋いで食堂に向かっていた。
窓から見える空。今日も変わらず良い天気。
なのに心は今にも崩れ落ちてしまいそうな真っ黒な雲がうず巻いている。
この雲はきっと今の私の気持を表しているんだろうな。
ハニエルは倒れた。私のせいで。
そしてハニエルのことを救えのも私だけ。
私の本当の目的。
でも今は目の前の友達・・・いや・・・もうそれ以上だよね・・・
これは寄り道なんかじゃない。
大事な天使を助けるんだ。このまま現世に帰ることなんてできない。
この気持ちってなんなの?
まだこの気持ちがなんなのか分からない。
愛と言うなら・・・
愛を知らない私にはあまりにも大き過ぎて、あまりにも尊過ぎる。
ハニエルも同じことを想っているのだろうか・・・ハニエルには分かっているのだろうか。
もし愛なら愛し合うってこんな気持でいいの?どんな気持ならいいの?
誰か・・・教えて欲しい。
今はこの胸の苦しみがムズ痒かったり辛かったりする。
「待っててハニエル」
気持がそのまま言葉になっていた。
でもヴィヴィには聞こえていないみたいだった。
急に暑くなるなんて・・・頭がボーッとしている。
読んでいただきありがとうございます。
今日アップするのを忘れるところだった。
これは暑さのせいにしよう。こんな時間になってしまったこと。
皆さまも体調気をつけてくださいませ。
私は指が震えてキーボードの打ち間違いが増えております。
夏バテなんてごめんだ。スタミナが必要だ。
スタミナつけて続きを書こう。
次回もよろしくお願いします。




