ミュリエルとミウリル
ハニエルの部屋の前を通りかかった時
「おかえり」
同時にドアが開く。
「わ!びっりした」
ハニエルったら。もしかしてドアに貼り付いて私の帰りを待っていたの?って思わせるくらいタイミングが良過ぎるんだけど・・・でも、なんとなくこうなる展開を予想している私もいることは素直に認めよう・・・かな。
「ただいま。ハニエル」
私の顔をじっと見つめるハニエル。何か言いたそう。
「今日はなんだかすっきりした顔してるね」
私に近づくといつものように首筋の匂いを確かめる。
「なんかいいことあったの?今夜は私の出番がないみたいなんだけど」
今日一日のことを振り返ってみる。いろいろあった。いろいろあったから整理して考えた。
「今日は朝から忙しかった。でも悪いことは・・・あまりなかったかな。みんなと限定パフェを食べたこと、ヘブヘルタワーでのショッピングは楽しかった。楽しいことの方がたくさんあった一日だった。ちょっと怖いこともあったよね。実際みんなで見ていたし」
「そうだけど。喧嘩売ってたよね。ミュリエルって見た感じより好戦的なの?」
そんな風に見えちゃったんだ。でもこれって完全に誤解だよ。
私には絶対に譲れない境界線があるだけ。それを軽々と考えなしに越えてくるモノには容赦しない。というか出来ない。相手が誰であっても私は自分の意見を主張する。
確かに自分に素直になっていると思う。
これって女の子になったから?それとも天使になったから?
どっちかなんて分かんないし、どっちも関係しているのかもね。
はっきり言えるのは現世にいた頃より自分自身で生きているってこと。
「そんなことない・・・でもあの天使にはちょっと嫌な思いをしたことあったの。どうしても我慢ができなかった。私にとって許せないことだった」
「そんなことあったの?それってこの間のことだよね?」
「そう・・・だね。いろいろ感情が揺さぶられた。あの日は私から癒しを求めたよね」
「あの時のストレスも大概だったよね。どんな嫌なことがあったか知らないけど、普通なら二度と関わりたくないって思うんじゃないの」
「私だって二度と会いたいって思ってなかった。でも向こうも私のことを覚えていた。そしたらあの夜の気持ちが蘇ってきたんだ。自分でもどうしようもないくらい感情を抑えることができなかった」
「私の知らないところでいろいろあったんだ。なのに・・・」
「そんな日もあるよ。私だって毎日ストレス・・・」
まだ言っていない裏路地のことがある。あれは相当ストレスだった。それなのに今は欠片すらない。あんなことあったのに気分が軽い。不思議だな・・・もしかして耐性ができたとか?
「このあとお風呂でしょ?」
「うん。いろいろあって汗もかいたし・・・そろそろ入りたいかも」
ハニエルはじっと私の顔を見て急に振り返る。
「どうしようかな」
「どうしたの?」
「だって今日は私は必要なさそうなんだもん。それにもうヴィヴィと入ったから」
「そうなんだ。約束してたもんね。いつも私と一緒じゃなくてもいいんじゃ・・・もしかして私、ハニエルに無理させてたとか?」
「無理なんてしてないよ。今日はご褒美がないって思っただけ」
また振り返る顔にはちょっとだけ寂しそうに見える。
「それは・・・今って結構気分が良いんだ。だから一人でも入れるよ。じゃあまた明日」
ハニエルはまだなにか言いたそうな顔で私のことを放してくれそうにない。
「・・・待ってたんだよ。帰ってくるの」
「それは・・・すごく嬉しいけど・・・」
今度は私の腕に凭れ掛かってくると
「でもご褒美だけじゃないの。ミュリエルのこと・・・私、本気になりそう」
「・・・ほんき・・・って?」
顔・・・近い・・・瞳の中には私の顔が映っている。きっと私の瞳にも彼女のことが映っている。お互いが瞳を通して自分の顔を見ているみたい。
「・・・行こ」
ハニエルは私の腕を自分の方に引き寄せると顔を埋める。
かかる吐息が・・・・・・くすぐったいよ・・・
「え?・・・だって」
「・・・いいの。今日・・・いろいろあった・・・今ね・・・ミュリエルが遠くに行っちゃうかもって思ったら・・・胸が苦しくって・・・苦しくて・・・」
吐息がさらに熱くなってくる。
もしかして・・・・・・泣いているの?・・・なんて・・・こと・・あるの?
「もう・・・分かったよハニエル。実を言うと私も一緒に行きたかったんだ」
「ミュリエル・・・」
やっと上げた顔。目は真っ赤になっていたけど泣いていたわけじゃなさそう。
知り合ってそんなに経っていないのにこんなに想われることが嬉しい。
「私もハニエルがいなかったらこんな風に心地良く過せていなかった。だからすごく感謝している。もしこの先、本当に私が・・・・・・」
「それ以上は聞きたくないよ・・・まだ。私はまだ考えたくない」
私の言葉を遮って今度は抱きついてくる。
彼女の心臓の音が私の心臓をシンクロしているみたいに同時に鼓動しているのが分かるよ。
「ハニエル。今夜もお願い。やっぱりあなたに癒してもらわないとぐっすり眠れない。こんな身体にした責任取ってもらわないと・・・なんて・・・ね」
腕を組んだまま歩くだけでも癒されてゆく。
ハニエルとの距離がまた近くなったような気がする。
私だって・・・ハニエル・・・ハニエル・・・ハニエル・・・
☆☆☆☆☆☆
「いや〜まさかダブルしか空いてないなんて・・・」
「想定外だったってこと?別に私は構わないけど」
「そんなこと言って。ミウリル。ホントは一人じゃ寂しいんじゃないんですか?」
一人。
確かに今は誰の干渉もない。
もし地獄でラフィに出会わなかったら今頃どうなっていたかなんて想像すらできない。
一人になったけど私の周りにはラフィとリリエルがいる。
もし・・・二人がいなくなったら?
「うん。一人は寂しいかな」
「ちょっと、ちょっと。急にしおらしくならないでください。いつもの能天気はどこにいったんです?」
「・・・能天気?」
「そうです。調子が狂うじゃないですか。お風呂でも入って気分転換してください。お先にどうぞ」
「え?そんなの悪いよ。だったら大浴場に行かない?」
「え!一緒に入りたいんですか?」
「だって。気持ち良さそうだし。それに狭いよねユニットバスって」
「変なことしないって約束できます?」
「は?なによ変なことって。それはこっちの台詞なの」
「だって触って欲しいって主張しているのはミウリルですよ」
「そんな主張してない」
お互い笑ってしまう。笑っていれば世界は平和なんだ。一人は淋しい。でも今は楽しい。
「仕方ありませんね。寂しがり屋のミウリルのために行きましょう」
「だったら浴衣に着替えようよ。せっかくあるんだし」
「いいでしょう。あたしは先輩ですから後輩のわがままには付き合いましょう」
ギリギリ閉店になる間際のところで欲しかった端末を手に入れることができた。設定は後でということで品物だけ持って急いで宿探しをした。
結果。シングルは取れず今の部屋に落ち着くことになった。
相部屋って女としての経験がない。修学旅行の時はさすがに女子部屋だったがもう一人だったから疎外感がハンパないし、他の女子達にだって距離を置かれていた。居心地が悪かった記憶がある。だからといって女の私が出たところで状況は変わっていないだろうな。
あ。でもみんながそうだったわけじゃない。私に興味がある女子だっていた。
一番驚いたのはお風呂だった。あの時の会話が蘇る。
「相楽さんって良い身体してるね。サッカーのおかげ?」
「な、なんだよ。ジロジロ見んな」
「女の子同士でしょ恥ずかしがることないじゃん」
「嫌いなんだよこの身体。背は伸びないのに胸が膨らみ出して」
「仕方ないじゃん」
「いいから一人にしてくれ」
今考えたら女湯に放り込まれた男ってことだよね。
気の毒に・・・自分のことなのについ哀れんでしまう。変なの。せめてお風呂くらい私と代わってもよかったのに・・・
でも。あの頃はそんなにホイホイ代われなかった。今だったらできるような気がする。
ホントに?
一人って・・・これが普通・・・私は自由なんだ。生きたいように生きることができるんだ。
それはもう一人も同じかも。もう一度一緒に身体を共有したいなんて思っていないかも。
「さ。着替えも終わったことだし行きますよ」
「う、うん」
浴衣って初めてだな。見よう見真似で着たけど
「似合ってるかな?」
「認めましょう。似合ってます」
「リリエルもね」
「あ、当たり前です。あたしだって顔には自信あるんです。ミウリルほど自惚れていないだけです」
「べ、別に自惚れてなんてない」
私達は片手にタオル。もう片方は繋いで廊下を歩く。ホント妹みたい。
廊下の窓に反射して映る私。そしてそこから見える半分の月。
もしかしてあの子も同じこと考えているかもしれない。話せるかな?後で試してみようかな。
「さっきから自分の顔見てますけど、そんなに好きですか?」
「え?・・・うん。好きだよ。ずっと私のままいられたらって」
「どういう意味です?」
「意味か・・・その意味を知りたくて天使になったかもね。あ、ここだ」
大浴場の暖簾をくぐる。せっかく浴衣を着たのに早速脱いで裸になる。
扉を開けると
「おお・・・星がキレイ」
「露天ですね」
まさかの露天風呂。
「いいね。初めて」
「ミウリルは初めてが多いですね。人間だった頃はあまり恵まれてなかったんですか?」
恵まれていない。そのことについて考える。
「ううん。恵まれてたと思う。だから今がある。それより早く入りたい」
「ですね。今は楽しみますか」
ん〜〜〜気持ちいい。
天界って良いところじゃん。リリエルが濁すからとんでもない場所だと誤解していたよ。
湯けむりに滲むように見える月が私のことを誘っているみたい。それは月を通してあの子が呼んでいるのかもしれない。
でももうちょっと待ってて。今はリラックスしたいの。
☆・・・★
「おやすみミュリエル」
「うん。ハニエルおやすみ」
お互い部屋の扉が閉まると急に体中が今まで我慢していた熱を放つように火照ってくる。
私達は言葉なくずっと寄り添ったままお風呂に入った。それだけで幸せを感じていたし気持ちだってリラックスした。
そして
今思い出すと恥ずかしいけど、正解だったなんて分からないけど
「・・・柔らかかったな」
くちびるを触っていた。
なんで?
雰囲気に流されただけって思いたいのに気持ちが溢れそう。ドキドキが激しい。
ハニエルにも同じ気持ちでいて欲しいって思うのはわがままなことなのかな?
「・・・あ、熱い」
心も身体も熱い。このままだと燃えてしまいそう。
呼吸を整えて落ち着かせようとしてダメみたい。窓を開けて夜風に・・・
「・・・月が・・呼んでいる」
夜風は心地良く、見える半分の月が私のことを鎮めてくれた。
「美有。待ってて」
部屋を暗くしてあの時と同じようにガラスに自分の顔を映してみる。
これで条件は整った?ここから先はどうしたら?呼び掛けたら答えてくれる?
「美有・・・話せるかな」
ガラスに映った顔に呼びかてみる。けれど何の変化はない。
「美有。聞こえる?聞こえたら答えて欲しい」
私の方からだと駄目なのかな。それとも現世じゃないから駄目なのかな。
「これが最後。私はあなたなの。もう一人のあなたなの。話さないとならないことがある。このままだとあなたは死んでしまう。私はそんなこと望んでいない。探しているの。あなたのこと。聞こえたなら答えて欲しい。お願い美有。聞こえて、私の声」
駄目?同じこと考えないの?やっと二人きりで話せるのに・・・
「・・・なら・・天使ミウリル。聞こえる?」
ビシ!
あの時と同じ。ガラスにヒビが走る。繋がった。
やがて映る顔に変化が現れる。瞳の色が変わってゆく。
「やっと繋がった」
『・・・なんで?なんで私の名前知ってるの?』
やっぱり美有は天使になっていた。私と同じように。これって絶対ラフィの仕業だよね。
「ある天使から聞いたんだ。私に似た天使がいるって。ランヴェルって知ってる?」
『ランヴェル?あの御者の天使?』
「そう。私は知り合いなんだ」
『世間って狭いね。現世もこっちも』
「そうかも・・・嬉しいな」
『私も今夜話せるって思って呼び掛けてた。でも上手くいかなくて諦めようとしたらあなたの声が聞こえた。おまけに鏡にはヒビが・・・弁償かな』
「それなら大丈夫だと思う」
『そうなの?』
「うん。初めて話したあの時もヒビが入った。でも朝には直っていた」
『ふ〜ん。なら信じてみようかな』
「天使になったんだね」
『うん。私のこと心配してくれる天使様がね。あなたも天使なんでしょ』
「うん。私の名前はミュリエル」
『ミュリエル・・・可愛い名前だね』
「そっちこそ」
私達はしばらくお互いのことを見つめていた。
その間、向こうは何を考えているのだろうとか何から話したらいいのか考えていた。
『あなたって誰なの?』
先に口を開いたのはミウリルの方。
「・・・困惑した・・よね」
『だって聞いたでしょ拓哉から。あの時のこと・・・私の中のもう一人は死んだの。私はいつ目覚めるかわからない眠りの中にいた。そしたら今度はあなたが入ってきた』
私はカーリ様の提案で生き返った元男子って言ってもいいのかな。
「私は本当の自分が欲しくて・・・あのね。地獄で会ったよ。もう一人のあなたに」
『え!ほんと?元気なの?今どこにいるの?』
「現世にいる。元気に人生を楽しんでいる」
『どういうこと?なんで現世に?生きてるってこと?』
「うん。生きてる。元気にサッカーしてる」
『そうなんだ・・・ん?それってどういうこと?身体は?』
「元の私の身体」
ミウリルは会話の内容を整理している。しばらく黙ったまま。
「あのね。正直に言うと・・・」
『ちょっと待って。ということはあなたって元々は男だったってこと?』
「・・・うん。私と彼は身体を入れ替えた」
『な、なによそれ。あなたの欲望のために私の身体を乗っ取ったってこと?』
「結果的にはそうなったみたい」
『じゃあ、なんで今も同じ姿してるの?』
「・・・きだから」
『?・・・聞こえない』
「この身体が好きなの」
正直に答えた。だって本当のことだから
「なんで睨んでるの?」
『信じられない。見たんでしょ。いろいろ』
「だって・・・仕方ないでしょ。この身体で生きてたんだから」
『出てって。私に返して。言ったよね最初に。私は私として元の世界に帰りたいの』
「それは出来ないの」
『なんで?』
「私との繋がりがなくなったらあなたは病気で死んでしまうの」
『ははは・・・嘘でしょ。そんなの。身体を返したくないからそんな嘘言うんでしょ』
「嘘じゃない。本当のこと。病死であなたの人生は終わっていた。目覚めることなくね」
『そんな・・・だったらあなたと身体を共有していれば死なないってこと?』
「多分。でもそんなのお互い嫌だよね。だから探したいんだ二人が幸せになる方法」
『あるの?そんな方法』
「分からない。でも天使となった今なら探せるような気がするんだ」
『はあ〜』
ミウリルはとても深く溜息をつく。
やがて
『あなたも脱いで』
「え?」
ミウリルは着ている浴衣を脱ぎ始める。
『恥ずかしいでしょ私だけなんて』
「わ、分かった」
何を考えているのか分からない。でも言われた通り私も脱ぐ。
『キレイでしょ』
すっかり裸になった私達。見慣れた身体なのになんとなく気恥ずかしい。
『手を放して』
無意識に胸を手で隠していた。
『あなたのこと恨んでいるわけじゃない。こんなにキレイになっているのはあなたのおかげだと思ってるの。感謝だってしている』
「あ、ありがとう」
『自分のことが好きなった。だから一人でもちゃんと生きてみようって』
「ミウリルは美有として生きたいんだ」
『でもそれは出来ない。だからミュリエル。あなたが見つけてくれるんでしょ』
「それは・・・そうしたいって・・・え?」
もうミウリルは映っていなかった。あるのはミュリエル。私の顔。
「半月終わっちゃったんだ」
しばらくそのままの姿で思い返す。
『出てって』
強烈な一言だった。やっぱりそうなるよね。同じ立場なら同じこと言うよ私だって。
二人で幸せになる世界なんて・・・天国なんてないのかもしれない。
私が消えないとならないのかな。そうなったらミウリルだって。
裸の身体を両手で抱けるだけ抱く。
「・・・消えたくない。消えたくなんて・・・」
泣きたい。でも泣かない。簡単に流す涙はないんだ。
「これは?」
映った姿に驚く。
「・・・翼」
真っ白な翼が映っている。
「天使だもん・・・当然だよね」
解決なんて見えない。諦めてベッドに座ると
「今日は疲れた・・・ハニエル・・あなたが必要・・・」
静かに目を閉じるとそのまま眠りが静かにやってくるのを感じる。
やがて私は眠りの中に・・・・・・・
★・・・☆
何してんだろ。いきなり裸になるなんて・・・変な天使って思われたかな。
あんなこと言われても理解できないよ。理解しても分かんないよ。
「ミュリエル・・・可愛い名前」
裸の私・・・指で優しく触る。
「・・・ん・・」
熱くなってくる。どうしようもないくらい。吐息だって熱い。こんなの絶対ミュリエルせいだから・・・・・・
「んが!」
リリエルのイビキで我に還る。
「・・・もう・・絶対責任取ってもらうから」
浴衣はそのままにしてベッドに入る。
「なんだか眠れない・・・」
なんて思ったのも束の間だった。目を閉じる私は堕ちてゆく・・・
「あ、あれ・・・朝?」
次に目を開けた時。朝になっていた。
「・・・なんか重い・・・え!!!」
なにこの状況!
「ちょっと!リリエル起きて。何してんのよ」
「・・・ん〜・・・母様・・」
「寝ぼけてるよ。お願いだから起きてよ」
なんで裸?なんでリリエルが胸に顔を埋めている?
「・・・あれ?ミウリル?」
「あ。起きた。なんでこっちで寝てるの?」
「ミウリルこそなんで裸なんです?あ〜気持ち良かった」
「最悪」
「最高の間違いでは?」
「いいから。どいてよ」
「仕方ありませんね。でもなんで?」
「それはこっちの台詞」
「変なことしてませんよね」
「私がされてるの」
毛布を身体に巻き付けてから浴衣を拾いにゆく。
「昨夜ナニしてたんですか?」
「ナニってなによ。私だって・・・」
昨夜は変だった。これも全部ミュリエルのせい。そうしよう。
「・・・地獄に帰りたい」
「はいはい。先生が恋しいんですね」
「そんなんじゃない」
「はいはい。じゃあ着替えましょう」
「その前にお風呂入りたい。寝汗で気持ち悪いの」
「寝汗・・・そういうことにしておきましょう」
「変な想像してないでしょうね」
「させているのはミウリルですよ」
「だから違うの。本当に暑かったの」
「はいはい。じゃ行きましょう露天風呂。それから朝ご飯食べて帰りましょう」
「そう。それでいいの」
湯船に浸かってだんだんと冷静になってきた。
ミュリエルの言ったことが本当なら・・・本当なのかな。この身体が欲しくて嘘を言った。なんてことだってあるかもしれない。
でも全部本当のことなら私達は離れることができない。
私達二人の幸せって・・・・・・どうなったら幸せなの?
もっと彼女?彼?ん?どっち?
とにかくちゃんと会った方がいいよね。もっと話さないと私の運命が掛かっている。
「上気せましたか?」
「ねえリリエル」
「なんでしょう」
「お母さんの夢でも見てたの?」
「なんで知ってるんです?」
「だって『母様』って寝言・・・」
「仕方ありませんよ。ミウリルのおっぱいは母様を思い出させるんですよ」
「ふ〜ん・・・そう」
「懐かしくて寝ぼけたんでしょう。でも安心してください」
「安心?」
リリエルは小声で
「吸ってません」
「吸・・・!」
思わず手で隠す。
「それは大切な人のモノ。大事にしてください」
「あんたね。朝から話すことか」
「冗談です。元気出ました?」
「元気って・・・私だって考えごとくらいする。でも・・・ありがとうリリエル」
「ならよかったです」
「笑い事じゃないでしょ」
ったくこの天使。やっぱり頭の中はピンク色している。
でもそんなアホな会話が楽しく感じることもある。おかげでずいぶん気持ちは切り替わる、
「あ〜お腹空いた。出て朝ご飯にしよう」
「ここの朝食はビュッフェですよ」
「へ〜楽しみ」
湯船から立ち上がって手を差し出すとリリエルが答えてくれる。
こうやって天使として生きてゆくことも悪くないって思っている私がいることも認めないとならないだろうな。
どっちで生きることが幸せな結果になるのか。
答えを出すにはもう少し時間が掛かりそう。
「なに笑っているんですか?」
「え?うん。天使って楽しいなって」
「気に入ったなら現世に戻らなくてもいいって言ってましたよね」
「でも・・・まだ決断なんてできない」
「まだまだ始まったばかりです。じっくり考えたらいいですよ。あたしはミウリルと話すの楽しいので」
「そっか。ありがとう」
そっか。まだ猶予はある。
もっとこの世界のことを知ること。そしてミュリエルと話すこと。
慌てる必要もない。元の世界には心配は掛けているけど私は生きているんだ。
このことって伝えることってできないのかな?帰ったらラフィに聞いてみよう。
「あ。こっちみたいですね」
リリエルに手を引かれて朝食会場を目指す。
「ねえリリエル」
「?」
「私も楽しいよ。リリエルと話すの」
「分かってますよ」
お互い笑っている。
今はこの気持ちがいつまでも続くといいな。
いつしか気持ちは羽根が生えたように軽くなっているのが心地良かった。
急に暑くなった。体調は大丈夫ですか?
読んでいただきありがとうございます。
いや〜洗濯物がご機嫌で私もご機嫌です。
青空というのは気分がいいものですね。
さて物語といいますと・・・
意図してないがちょっとエロい?大丈夫なのかな?
そんなつもりなく書いているんです。
書かせているのは彼女達で・・・完全に言い訳ですね。
Rなんとか規定がありますけど、どのくらいなら許容範囲なのか。
できれば全年齢に読んでもらいたい私です。
まあ、そん時はそん時だ。次を書くことに集中。
また次回。読んでもらえたら嬉しいです。
よろしくお願いします・・・切に願う私です。




