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ワタシ死ねないみたいです。あと○○になる方法、探してます。  作者: マナマナ


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地獄と天界  半月がやってくる

 夜になって私は再び街の中にいた。いつもの真っ黒なカッコで。


 テイクアウトのアイスコーヒーと一緒に目の前を通り過ぎてゆく喧噪を眺めている。けれど見ているようでヘブヘルタワーでの出来事について考えていた。

 あの時、出会った天使。私の予想が正しければ美有と繋がっている。100%感だけど最も答えに近いと思っている。どちらかというと今はその天使のことを探している。

「・・・ラフィだっけ。確か」

 名前は分かっている。顔だって見ている。雰囲気だってカーリ様のような感じ。

 上級天使ってみんなそういうオーラでも纏っているのだろうか。

 それともう一つのこと。

 どこかに飛ばされた天界の天使。

 どこに行ったのだろう。ハニエルもヴィヴィもこうなることは知っていたのに、その先のことは分からないとのこと。見つかる場合もあるが圧倒的に行方知れずになる。そうなったらどうなるの?

 天使だって死ぬ。死んだ天使の魂はどこに行ってしまうのだろう。

 だってここは人間が死んだ時に用意されている場所だと思っているから。


「翼か・・・」

 自分が認識している天使の翼の色は『白』なのにあの時見た色は『黒』だった。

 これってそれぞれの個性という言葉で合っているのか。それとも他の理由があるのか。

 

 あの後。

 みんなで飲んだお茶の時に初めて知った・・・私にも翼があることを。

 

 やはり天使なら当然といえば当然のことなんだよね。どうしてそのことを教えてくれなかったのかな?ルシェルもカーリ様、ランヴェルだってそんなこと一言も言ってくれなかった。

 地獄や天界だと飛ぶことを禁止しているから必要ないという結論があるからなのかな。


 「・・・自分の翼・・・どんなかな」

 その姿を想像する。

 うん。ナルシスト丸出しだけど間違いなく似合ってる。

 膨らむ期待に今すぐ見てみたい。そして自分の姿に酔いしれたい。

 けれど・・・ガラスに映った自分を見ていもどこにもない。きっとやり方があるのだろうな。帰ったらハニエルにちゃんと教えてもらおう。


 それにしても。

 今夜も収穫はなさそう。

 リンシとしての美有もいないし、美有と関係しているかもしれないあの天使の姿も見当たらない。

「今夜はもういいかな。駄目なら明日もある」

 完全にいい訳になるけど今日は疲れたよホントに・・・報告して切り上げるか。

 そうだ。その手もあるな。

 ルシェルに報告ついでに翼のこと聞いてもいいかもしれない。


 見上げると半分の月が私のことを誘っているみたい。

 美有も同じことを考えているかもしれない。

 彼女は私のこと自分のこと。今を絶対知りたいと思っているだろうな。

 お互い求めているなら話せるはず。いや話したい。この夜を待っていたんだ。


 やっと踏ん切りを付けて帰ろうとした時・・・聞き覚えのある声。

 これってあの時のリンシだよね。

 公衆電話・・・本当に掛けるのかな?


『最後の夜だな』

『分かってるって。ホントに掛けるのか?』

『じゃなかったら今までの苦労が水の泡になる』

 そんなやり取りが入ってくる。ホントはずっと気になっていたんだ。

 気が付いたら二人の様子を窺っていた。


 表通りから一歩入った路地は明るい時間と比べて格段に闇が濃くなっている。

 そこよりもっと奥の通り。あの場所が本当に意味での裏路地ということなのだろう。見ているだけで闇のもっと深い所に吸い込まれてしまいそうな感じがする。

 こんな場所。本当に来ては行けないのに。

 分かっているしランヴェルからも散々注意を受けている、にも関わらず公衆電話のことが気になって二人の後をこっそり付けてしまっている私がいる。

 もし。

 本当に現世と話すことができたなら・・・今も私はちゃんと生きていることを待っていてくれている人達に向けてメッセージを送りたい。

 私は現世では死んでなんかいない。ちゃんと肉体は生きている。意識がない。ただそれだけなんだ。

 だから電話をしても怖い思いなんてさせない。むしろ安心するのではないだろうか。

 私のことを想ってくれるのは嬉しい。けどそれ以上に心配させていると思うと申し訳ない気持ちの方が強い。確約はできないけど帰れる手段を探していることを伝えるだけでもいい。


 じっと見つめる先にはまさに裏通りを目指して歩いている。

 同時にランヴェルの言葉も頭を過る。

『闇の飲まれてしまう』

『片方を犠牲にすれば逃げることができる』

『天使なら飲まれる可能性は低い』

 私は新米で仮の付く天使。あまりリンシと変わらないのだとしたら。

 闇に飲まれたら消えてしまう・・・消えたらもう現世に戻ることなんて不可能。

「それはイヤ・・・でも」

 もし私が消えたら・・・考えようによっては美有自身が自分の身体に戻るだけ。

 本来ならこの結末でもいいのかな?

 でも、私との繋がりがなくなったら病気で死んでしまう。

 正直私だって消えたくなんてない。この姿で生きて人生を楽しみたいんだ。

 だから二人で帰れること、二人が幸せになる天国を探すって決めた。まだ見つかっていないけどさ。

 

 前を歩く二人はさらに闇が濃くなる場所に近づいている。

 知っているのだろうか。公衆電話の結末を。

 これって教えた方がいいのかな?だって確実にどちらか、もしくはどっちも闇の中に消えてしまう。二度と転生することないどこか深い場所に消えること。

 それでも声を掛けずに後を追っているのって興味があるからなんだろうな。

「あ。曲がった」

 公衆電話のある路地に到着したのか、急に角を曲がったおかげで二人の姿はすっかり闇の中に溶け込むように消えていた。

 このままじゃ見失う。反射的に走り出す私。


 なんだろう・・・足が勝手に・・・・・ちょ、ちょっと待って。これって。

 目の前の闇に吸い込まれている?え?なに?この感じ・・・と、停まらない?

 嘘・・・でしょ・・・・・・

 

「おっと。これ以上は君では無理だ」


 いきなりの声と急に腕を掴まれたことで私の足は角の手前で停まった。

 一筋の汗が頬を伝う・・・

 走ったからなのか、びっくりしたからなのかわからないけど心臓はバクバクしている。

「危なかった。君は聞いていないのか?」

 やっと振り返ると

「・・・あ、あなたは・・ラフィ?」

「ワタシの名前を覚えていてくれて嬉しいね。ミュリエル」

 まさか。探していた天使が自分から来るなんて想定外だった。余計に心臓が激しく脈打つ。

「ど・・・どうして?」

「ここが分かったかってことを知りたいのか?」

 呼吸が・・・だから頷いて返事の代わりにした。

「君はワタシを探していた。違うかい?」

「・・・はい」

「素直でよろしい」

 この天使の瞳を見ているといろいろと見透かされいるみたい。

「君はここで何をしている?」

「・・・気になって」

「ワタシはここで何をしているかと聞いた」

「・・・こ、公衆電話・・・知りたかった」

 答えたと同時に濃い闇のさらに奥から悲鳴にも似た風の音が聞こえる。でも風の音なんかじゃない。分かっている。怖いけど答えを知りたい。この天使なら答えてくれるよね。

「・・・い、今のは」

「知っているだろう。あのリンシは消えた」

「・・・二人とも?」

「分かっているなら二度と来てはいけない。君のような半端な天使では助からない」

 今頃になって身体中小刻みに震えてくる。助からない。消えるってどういうこと?   

 怖い。怖い。当たり前だ。ここは地獄なんだ。やっぱり怖い場所なんだ。

「表通りに戻ろうか」

「は、はい・・・」

 気が付いた時にはラフィの腕を力一杯握っていた。

 今は絶対に放せない。そんなことしたらまた吸い込まれてしまうんじゃないの?


「ゴミはちゃんとゴミ箱に捨てないとな」


 いつの間にかコーヒーのカップを落としていた。そんなことすら気が付かなかった。

「す、すみません・・・あと、あの、ありがとう・・ございました」

 表通りが近いせいか、吸い込まれるような感覚はなくなっていた。やっと一人で立てるように・・・

「おっと。大丈夫か?」

「は、はい・・・大丈夫・・です」

 ちょっとだけフラついただけなのに腰を支えてくれていた。それがなんだか気恥ずかしい。今までこんなことされたことなかったから。

 これって私が女の子だからなのかな。男って女を守ることが当たり前なのかな。


 もし・・・今の境遇がなかったら・・・男のまま人生を過していたら同じことができる自信はない。つくづく男として生まれたことに後悔を感じる。駄目だ。思い出したくもない。

 頭を振って昔の記憶を追い払う。

 今は女の子なんだ。男の子の気持ちなんて・・・気持ちなんて理解したくなかったんだ。


「気分は落ち着いたかな」

「はい・・・たぶん」

 ラフィは私のことをじっと見つめて

「まだ鼓動が激しい。どこかで少し落ち着こう」

 そう言わせているのは私のせい。だってまた腕に掴まっていたから。

「時間は平気か?」

「はい。門限までなら」

「ミュリエルは学園の生徒だったな」

 覚えてたんだ。最初に会った時、学園の制服だったこと。

「・・・私も話したいことあります」

「ほお。興味がある。ミュリエルはワタシに何を聞きたいのかな」

「とても大事なことなんです・・・とても」

「では付き合ってもらおう。美味しい店を知っている」

 

 私とラフィは表通りを歩く。

 どうして私はこの腕を放せないの?

 ハニエルとは違う安心感がそうさせているの?

 それとも無意識がそうさせているの?

 今は自分の気持ちなんて分からなかった。



☆☆☆☆★★


「ほぇ〜・・・・」

「口が開いてますよ。しっかりしてください」

 そんなこと言っても・・・

「だって。こんな空見たことない。これが天界の空なの?」

「初めて見るミウリルにはキレイな光景だと思います。まあお上りさんだし。仕方ありませんね」


 目の前に広がる空は薄ら明るいのに星がたくさん光っている。

 色だって見たことないグラデーション。全体が虹のように色鮮やかで光の粒子が風に乗って降ってくる。

 現世でもキレイな空がある。例えばオーロラ。実際に見たことないけど。

 天界の空は地上の美しい現象を全て詰め込んだまさに『なんとかの宝石箱や』てな感じがして笑ってしまう。


「いつまで見てるんです?行きますよ」

「もうちょうっと」

「あのですね。今だけです。見慣れたらどうってことない景色になりますよ」

「そうかもだけど。忘れたくないから今の内に心に焼き付けておきたいの」

 リリエルは溜息混じりで

「分かりました。三分だけですよ」

「ありがとう。ホントきれい。みんなに教えたいし見せたいな」

「そんなこと言っても誰も信じないと思いますけど」

「かもね。ねえ、この記憶だけでも残せないのかな」

「それは無理でしょうね。でも先生なら・・・」

「ラフィならできるの?」

「おっと。口が滑りましたね。忘れてください」

「いや。絶対忘れないしリリエルから聞いたって言うもん」

 この記憶だけでも素敵な思い出になるのにな。代わりに天使だったことは忘れてもいい。

 地獄に次いで今度は天界。こんな経験した人間って存在したのかな?いないよね多分。


「世界って広い」

「急に何を言い出すんです?」

「現世も広いって思っていたよ。けど飛行機とか船とか使えば大体の国には行くことができる。でもこの世界は死なないと来ることができない場所。こんな世界もあるって知ったらどこまでも広がってゆくみたいに感じるんだ」

「能天気ですね。実際は・・・」

「どうしたの?」

「いえ。また口を滑らせるところでした。忘れてください」

「なんか秘密多いよね」

 ついリリエルの瞳を見つめてしまう。

「それは知ってもしょうがないこと。それより三分経ちました」

「逃げた。まあ、約束だから」

「そうです。逃げます」


 いよいよ街へ向けて歩き出す。


「歩いて行くの?」

「近いですから」

「そうなんだ。残念」

「なにか残念なんですか?」

「だってまた飛べるかなって期待したから」

「言ったはず。本当は禁止事項なんですよ」

「そうだけど。そうだ。地獄で飛んだら閻魔様だよね。なら天界で飛んだら誰に怒らられるの?こっちにもいるの閻魔様的存在」

「悪いことは言いません。飛ばないことがミウリルのためです。天界はとても均整が取れている管理社会です。見つかったら・・・ああ、怖いから言いません」

 なに?なんなの?秘密多過ぎない?でもってこれ以上聞いても教えてなんてくれないよね。


「天罰って知ってます?」

「天罰?現世だと・・・そうだな。例えば。誰かに意地悪とかして報いを受けた時に使うかな。それがどうしたの?」

「天界とは罰を与える場所。地獄は罪を償う場所です。それが二つの世界の違いです。天界は現世に直接罰を下すことができます。でも地獄はできません」

「確かに・・・地獄の罰・・・なんて聞いてことない」

「それだけルールには厳しいんです。それは人間にも天使にも言えます」

「だから飛ぶなってことでしょ。ルールは守ることが当たり前」

「分かっているじゃありませんか」

「そこまで言われたらね。天界で天罰なんて絶対受けたくないよ」


 街までの道は一本道。真っ白で雲の上を歩いているみたい。だからといって柔らかいわけじゃない。ゴミ一つ、染み一つないキレイな道だった。


「ねえ。近いって言ってなかったっけ?」

「はい。近いです」

 真っ白過ぎるのと変わらない空。さっきまではあんなに感動したのに正直見慣れてしまうと変わらない景色にうんざりしてしまう。


「ねえ。地獄みたいな乗り物ないの?」

「あります。乗りたいですか?」

「乗りたい。喉も乾いた」

「わがままの天使。お似合いです」

「そんな名前はイヤ。でもわがまま言いたい」

「仕方ありませんね。節約したかったですが・・・こううるさいと」

 リリエルは端末を操作すると急に目の前に光が・・・

「うわ!なに?」


 目を開けると

「お待たせしました」

 真っ黒のスーツを着た天使が立っている。

 それに真っ白な馬・・・これって

「え!ねえリリエル。この馬って・・・」

「馬には違いませんがこの場合は・・・」

「ペガサスですよ。お嬢さん」

 羽根がある。絵に描いたような・・・ペガサス。ホントにいるんだ。

「天界の天使なのに。面白いですね」

「ええ・・・すみません」

 この場合どう答えたらいいのかな?つい言葉を濁してしまった。

「ではどうぞ」

 ペガサスには車が付いている。俗に言う馬車なのでは。シンデレラの絵本でも見ているみたい。

 言われるがまま乗り込むと内装も絵本みたい。

「どちらの階層に」

「第一天『ヴィロン』まで」

 リリエルが答えると

「承知。出発します」

 今なんて?『ヴィロン』って街の名前なのかな?質問しようにも

「到着です」

「え!」

 ここでも地獄同様あっという間だった。

 馬車を降りると目の前には大きな門が聳えている。

「さ。着きましたよ。ミウリルの要望通りです」

「あれ?もしかして怒ってる?」

「別に怒ってません。ただもうちょっと辛抱していたら余計なお金を使わなくて済んだのにって思っただけです」

「それって怒ってると一緒じゃん」

「ミウリルにお金出せなんていいませんよ。持ってないんですから」

「う〜・・・それを言われると」

「それより買い物終わらせましょう。そして宿を探しましょう」

「え!泊まるの?」

「ええ。夜だってこと忘れてますよね」

「そう言えば・・・」

「だから早くしないとって言いました。お店だってギリギリやっている時間です」

 うわ〜・・・そうだったんだ。空の明るさに騙された気分だよ。

「ごめん。私のせいで。浮かれてた。ホントごめん。リリエルに合わせるから許して」

「分かればいいんです。ではカードを出してください」

 街に入る前にもう一度ペガサスを見ようと振り返ると

「いない」

「いつの話をしているんです」

 リリエルは歩き出すから私も後に続く。

 見上げる空・・・これで夜だなんて・・・

「・・・月が見える」

 やっぱり夜なんだ。半分の姿の月が思い出させる。

 もしかしてあの子と話すことができるかも・・・ってこと。

 そんな思いを抱きながら私はカードを使って『ヴィロン』という名の街の中に入っていった。


☆★★☆☆


「食べないのかミュリエル」

 ここはルシェルに最初に連れてこられた居酒屋だった。この喧噪が気持ちをホッとさせてくれたのは良かったがこれはこれでうるさいとも思ってしまう。

 なんかわがままだよね、私って。

「今はまだこれで」

 飲んでいるクラフトコーラのおかげで気持ちも落ち着いてきていた。

 ラフィはお酒が好きなのか。すでに三杯もビールを流し込んでいた。その割には酔っている感じはしない。アヴェルと違って強いんだろうな。


「さて」

 ラフィはジョッキを置いて

「時間は迫ってきている。そろそろ話した方がいい」

「そうですね」

 私はコーラを一口飲む。

 どんな感じで切り出そう。確か・・・他に話していはいけない、的なルールがあったような。

 でもそれって人間に対してであって天使にも当てはまるのだろうか。

「あの。なんであの時私のこと見ていたんですか?」

「聞きたいことはそれか?」

「えっと・・・」

 私が聞きたい本当のことは見透かされているみたいな視線がある。

「実はミュリエルのことが可愛いと思ってな」

「え?」

 それってやっぱりナンパ的なこと?

「出会いとは唐突に訪れるもの。カフェで会った時は運命だと思った」

 運命って・・・簡単に言えるものなの?絶対からかっているよね。

「聞きたいことは以上かな?よかったら連絡先を交換しないか?」

「あの。私と同じ顔したリンシのこと知ってますか?」

 ここは直球で攻めよう。どうせいつかは聞くことになるんだ。

 それに本当のことを聞かないとずっとこんな感じではぐらかされるような気がする。時間だって限られているんだ。

 私が欲しい答え。『イエス』なのか『ノー』なのか。

 今はそれだけでいい。


「ミュリエルと同じ顔のリンシは知らない。けれど・・・・」

 ラフィは一旦言葉を区切って微笑む。瞳の中はすでに答えは用意できているみたいに。

「ミュリエルと同じ顔の天使なら知っている」

「え?」

「だから天使なら知っていると言った」

「ほ、本当ですか?」

「嘘は言わない。ここは地獄だからな」

「そ、それでその天使は今どこに?」

「今夜。天界に向かった」

 え?天界?

 ・・・ってことはヘブヘルタワーにいたってこと?ニアミスじゃん。

「ミュリエルは彼女のこと知っているのか?」

「それは多分としか・・・彼女の名前はミウリルで合ってますか?」

「そうだ。よく知っていたな。どこで知った?」

「知り合いから聞きました。私とそっくりの天使を乗せたって」

「あ〜あの時の御者か?もしかして」

「はい。ランヴェルです」

 身体が緊張して小刻みに震えてくる。

 美有・・・やっぱり天使になってた。でもまだ憶測の域を出ていない。

「二人は双子のなのか?天界と地獄で分かれているが」

「あの・・・いろいろ込み入っていて・・・」

「ほう。説明が難しい」

「あ、はい。あの・・・彼女と会いたいです。そして確認したい」

「ならワタシと連絡先を交換すべきだ」

 私はラフィの提案に従う。

「あの。彼女はもう地獄には来ないんですか?」

「いや。明日には戻ってくる予定だ」

「明日・・・」

 明日には会える。実際に。さっきとは違うドキドキが心臓を刺激する。

 これでやっと現世に戻る手掛かりができるかもしれない。

 本物の美有なら・・・でも、その前にちゃんと話し合う必要がある。

「あ・・・時間」

 そろそろ帰らないと門限が近い。

「帰る時間か」

「はい。あの、ありがとうございます。明日連絡してもいいですか?」

「そのための交換だ」


 店を出て街を出るとイッキに静かになる。街の喧噪は街の中に集約されているみたい。

 端末を使ってランヴェルを呼ぼうとしたら

「送っていこう」

「え?そんなの悪いです。これから迎えに着てもらおうと・・・」

 端末を操作する前に

「こっちの方が早い」


 え?なに?何が起こって・・・急に身体が軽く・・・

 

「え!・・・と、飛んでる?」

「あまり高くは飛べないがこれくらいなら問題はない」

 ラフィは私のことを抱えると地面近くを滑るように飛んでゆく。

 それにしてもすごいスピード。


「風が・・・気持ちいい・・・あの・・なんで笑っているんですか?」

「いやなに。ミウリルと同じこと言うんだなって」

「そ、そうですか・・・」

 なんとなく顔が熱くなってくる。

 男性に抱かれるって・・・もちろん初めてのことだけど、温かくて落ち着くのは何故なの?

 守られているみたいで安心する。

 う〜・・・でも恥ずかしい。こんなこと思っている私って変なのかな・・・


 ラフィのおかげで経費を使うことなく無事到着。

 窓にはまだいくらか明りがある。自然と視線がハニエルの部屋を見ている。明りは点いている。まだ起きている。

「あの。ありがとうございました。ご飯も出してもらって」

「そんなこと気にしなくていい。それじゃワタシも帰るとするか」

 大きな翼を広げるとあっと言う間に飛んでいってしまう。

 私はその方向をしばらく見ていると同時に月の姿も視界に入る。

「先ずはお風呂。そして・・・」

 今夜。私は美有と話す。これまでのこととこれからのこと。上手くいくといいな。

 静かな期待に夜は静かに更けてゆく。

昨日がソフトクリームの日というのを初めて知る。

読んでいただきありがとうございます。

きっとこれからお世話になるんだろうな。

ってついこの間食べたばかり。

甘いものばかり食べている私。いろいろ気をつけないと・・・

皆さまも食べ過ぎにはご注意を。私は健康第一が生きる目標です。

健康だからこうして物語も書けます。遅々としていますが。

ではまた次回。よろしくお願いします。

あ〜もう7月なのだ!いつの間に?

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