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主人公に断罪される悪役に転生したけど、関わらずにのんびり過ごしたい  作者: おとら@9シリーズ商業化


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8/19

アーク視点

(くそっ……何故、奴は声をかけてこないんだ!)


アークこと、主人公の俺は焦っていた。

このアガレスト学園というゲームに転生したと気づいたのは五歳の時。

やり込んだ大好きなゲームで、ハーレムルートまで攻略したほどだ。


(それに気づいてから、この学園にするまでシミュレーションを死ぬほどしたのに……)


出だしは良かった。

孤児の俺を拾ってくれた両親の元、魔法や剣の修行をしたり。

ルートに沿るために力をつけてきた。


(そして、最初のイベントである王女救出イベントをこなしたのに)


この国の第一王子の妹、ラーラ-フレイヤ。

その王女が乗った馬車が襲われるのが、このゲームの始まりだ。

そのお礼として、この学園に入る事を勧められる。

そしてラーラ王女を含む女性達を攻略しつつ、魔王となるリオンを倒すゲームだ。


(それなのにどうして? 何故、《《奴の行動が違う?》》)


まずは出だしから躓いた。

この学園の最初のイベント、それはいずれ聖女となるカレンを助けるイベントだ。

本来なら、あの場面ではリオンは登場しない。

奴は馬車に乗ったまま校内に入り、それを眺めて通り過ぎる。

そこで主人公である俺が助けに入り、そこでカレンとのフラグを立てるのだ。


(なのに、どうして奴が助けに入ったんだろう?)


おかげで出鼻をくじかれてしまった。

助けに行こうとしたら、いきなりリオンが現れたから。

しかも、めちゃくちゃカッコよく……悔しい!


(何だあれ!? めちゃくちゃかっこいいじゃんか!)


助けたのに礼も求めずに、颯爽と去って行く。

クールで、あれはあれで良い。

俺も、あんな風にしたかった。


(……って、何を敵を褒めているんだ)


それは置いておいて、次のイベントもなかった。

庶民である俺が遅刻ギリギリで入り、そこをリオンに目をつけられるのだ。

『貴様、平民の分際で俺を待たせるとは何事だ』と。


(そうだ、それが主人公と悪役であるリオンの初対面のイベントだったはず)


なのに、リオンは何も言わず静かにしていた。

あそこで俺にいちゃもんをつけて印象を更に悪くし、隠れヒロインでもあるセシリアが仲裁に入る。

それによって、アークとセシリアのフラグも立つというのに。


(そこからセシリアと対立しつつも親しくなって、最後にはリオンを見限るんだ)


この最初のイベントを逃したら、挽回は難しいのだろうか?

……いや、まだ諦めるのは早い。

リオンの行動が違う以上、イベント進行にも変化があると見て良い。


「よし、まだまだこれからだ」


「あのぅ……大丈夫ですか?」


「あ、ああ、大丈夫さ」


「なら良いですけど……」


隣に座るカレンが、心配そうに覗き込んでくる。

そうだ、この子は野暮ったいけどゲーム一のおっぱいの持ち主だ。

アークと仲良くなるにつれて垢抜けていき、いずれ聖女の力に目覚めるのだ。


(でも、やっぱり隠しキャラは魅力的だよなぁ。セシリアはツンデレで可愛いし)


カレンは寮生活で機会はあるし、チョロインだからどうにかなりそう。

ただセシリアは中々に厳しいかも。

でも俺は主人公な訳だし、話しかければフラグが立っていくはず。




そして昼休みのタイミングで、セシリアに話しかける。

しかし、リオンは何処かに行ってしまった。

これを機に喧嘩をふっかけてこないかと思ったんだけど。

まあ、邪魔をされないからよしとするか。


「何かしら?」


「えっと、初めまして、アークといいます」


「初めまして、セシリア-ブリギッドよ」


うわー……近くで見るとめちゃくちゃ綺麗だ。

紅髪は艶があって、顔にも気品が溢れてる。

うん、これは是非とも攻略しないと。

もう一人難易度の高い人がいるから、今のうちにこっちの好感度を上げよう。


「それで、何の用かしら?」


「その、僕とお昼ご飯でもどうでしょうか?」


「私が貴方と? ……悪いけど、男性とのお食事にはお父様の許可が必要だわ」


……しまったァァァァ!? いきなりすぎたか!?

でも、こちらから話しかければ主人公補正がかかるはず。

そして、俺がめげずに話しかけようとすると……。


「あっ、リオン……悪いけど、私は行くわね」


「ちょっ……」


引き止めるも、セシリアは俺を通り過ぎてリオンの元に向かう。


そこにはカレンとセシリアを侍らせた、憎っくきリオンの姿が。


——どうしてこうなったァァァァ!?







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