↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
主人公に断罪される悪役に転生したけど、関わらずにのんびり過ごしたい  作者: おとら@9シリーズ商業化


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
32/35

念願のモノ

翌日の朝、俺は学校をサボっていた。


印象を悪くするため出来れば避けたかったが、一刻も早く状況確認をするために。


何より、他から出遅れるわけにはいかない。


「アンナ、学校には連絡したな?」


「はい、御主人様はサボりだと」


「……ダメじゃん! そこは風邪とか言わんと!」


「御主人様が風邪……どちらにしろ、サボりと思われるのがオチかと」


……そうだった、俺は怠惰な王子で有名だった。

そのくせ、体はめちゃめちゃ健康体。

俺は風評被害は諦めて、馬車に乗って現場へと急ぐ。

そして検問をアンナの手の者によって通過する。


「よし、これで俺が外に出たことはバレないな」


「ええ。いつも通り、城下町に繰り出したか何処かで昼寝をしていると思われるでしょう」


「ふっ、普段の行いの賜物だな……嬉しくねえ」


「ですね。でも、お陰でこっそり出て行けましたから」


今日は部活もあるし、アークがいる学園を放置するのはよくはない。

だが、今はこっちの方が重要だろう。

そして目的地である放牧場に到着し、すぐに管理人であるゴルバの元に通される。


「リオン殿下! まさか、こんなに早くいらっしゃるとは」


「何をいう、一大事ではないか。それで、早速だが手紙にあった内容は本当か?」


「ええ、間違いありません。こちらが、その証拠になるかと」


「そうか……ククク……ハーハッハ!」


疑っていたわけではなかったが、それを見て確信した。

そこにあったのは大量の牛乳が入ったボトル。

そう、手紙の内容とは《《牛乳が大量に手に入る方法がわかったと》》。

それを俺に伝えたいということだった。


「すみません、本当ならリオン殿下にだけ伝えたかったのですが伝手がなく」


「いや、結果的には俺達以外には知らない。ただ、そもそもどうして俺だけになのだ?」


「そうなのですね。理由は簡単で貴方様がやった行為のおかげでなので。何より恩があります」


「恩? 何かしただろうか?」


「それこそが、この牛乳なのですよ。とりあえず、見せた方が早そうですな」


そう言い、放牧場のゲートが開いた。

そのまま進んでいくので、俺達も黙ってついていく。

歩くこと数分、前と同じようにオーガバッファローが草を食べている姿が。


「ふむ、前と変わらんな」


「リオン殿下、お願いがございます。氷魔法を使ってくださいますか? 攻撃魔法ではなく、出来ればただの氷の塊などを」


「なに? ……わかった、やってみよう」


よくわからないが、俺は草原の真ん中に氷塊を出現させる。

すると、オーガバッファロー達が恐る恐る近づいてきた。

警戒するも、俺を無視して氷をペロペロと舐め出す。


「これは……大人しい?」


「是非、その状態で乳を絞ってみてください」


「うむ、やってみよう」


バケツを受け取り、言われた通りに乳搾りに再挑戦する。

すると、驚くほどの量が出てきた。

しかも、オーガバッファローは暴れもせずに大人しくしていた。


「これは、一体どういう事だ? ゴルバよ、そろそろ説明を頼む」


「はい、実はリオン殿下が以前来た時のことです。ゲートをくぐり抜ける際に、氷の道をお作りになられましたな?」


「あ、ああ、あれには肝を冷やしたぞ」


「ほほっ、私もです。しかし、その後に驚くべきことが起きました。オーガバッファローの群れが、氷の道から離れなかったです。我々は驚きつつも草原に返そうとしましたが、それも上手くいかず。ただ、その時にふと思ったのです……|《何故暴れないのかと》」


「……そういうことか。それを、我が氷が原因だと思ったのだな?」


「仰る通りです。そして恐る恐る搾乳したところ、あのように量が取れたのです。更には食べる量まで増えて健康的に。理由はわかりませんが、オーガバッファローは氷が好きなのかと」


……推測はできる。

前世の世界の牛は暑さに弱いことで有名で、それによって死亡してしまうことも多々あった。

この世界は温暖気候で、もしかしたらオーガバッファローには住みにくいのか。

それ故に、俺の氷で涼んで体調や食欲が良くなったのではないか?


「……まあ良い、理由など後から考えよう。つまりだ、俺の氷があれば牛乳は取り放題か?」


「取り放題とはいきませんが、少なくとも流通に困ることはないかと。しかし、それもリオン殿下のお力添えがあればの話ですが……」


「ほほう? 俺の力を借りたいと? ならば、その対価は必要になるが」


「ええ、もちろんですとも」


「「くくく……」」


周りにオーガバッファローが静かに佇む中、俺達の声だけが残る。

とにかく、これで俺の破滅フラグ回避に近づく。


「それだけじゃない。牛乳さえいればアレもこれも思いのままに……ハーハッハ!」


「ふははは! たまりませんな!」


「モゥ?」


ふと横を見ると、『こいつらうるせーな』という顔のオーガバッファローが。

俺とゴルバは、それを見て慌てて口を閉じる。

すると、呆れ顔のアンナと目が合う。


「いつまで悪代官みたいなことしてるんですか? せっかく、オーガバッファローが静かになったのに」


「す、すみません」


「くっ、気をつけよう。よし、ではこの事は一先ずは我々だけの秘密とする……良いな? それと、其方とは長い付き合いになりそうだ。口調も楽にして構わん」


「分かりました……へい、もちろんでさ。まだ確定ではないですしな」


「そういうことだ。とりあえず……ボトルは頂こうか」


こうして俺は牛乳を手に入れた。


つまりは——アイスクリームが作れるという事だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。