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主人公に断罪される悪役に転生したけど、関わらずにのんびり過ごしたい  作者: おとら@9シリーズ商業化


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尋問?

昨日の大盛況から翌日の夜、俺は自室にて考えていた。


成功はしたが、まだまだ足りない。


スイーツ布教のためにも、俺の破滅回避のためにも。


「さて、次の一手を考えなくてはいけない」


「御主人……むぅ」


「ええい、むくれるな。昨日は悪かったと言ったろうに」


昨日の大盛況から、アンナが珍しく怒っていた。

理由は至極簡単で、アンナもスイーツを気に入ってしまったらしい。

それを食べられてなかったことが不満だったと。


「ですが、お二人は先に食べてました。私は御主人様の一番の忠臣なのに」


「……それはそうだな。わかった、次の新作は一番に食べさせよう」


「ほんとですか!? 約束ですよ! フンフーフン……」


そう言い、分かりやすくご機嫌になる。

ゲームでは暗くて黙って従うようなキャラだったが……これも、リオンの行動効果か。

この子には辛い設定があるので、幸せになってもらいたいものだな。


「ああ、約束だ。それより、昨日はお金を取って良かったのか? 一応、アンナの言う通りにしたが」


「はい、当然です。タダより怖いものなどないですから。私だって最初は御主人様に救われた時、何かの罠かと思いましたし。あそこでタダで売ったら、後で見返りに何か要求されると思われるかと」


「ふむ……確かにそうか」


昨日のかき氷は当初、人気取りも含めてタダで出す予定だった。

しかし材料費もタダでは無いので、すぐに先生に許可どりをしたのだ。

そんなに高い値段設定にはしなかったので、幸いにも許可は取れた。


「それに次もタダにしないと不満を覚えてる人もいるかと」


「そうだな、一度値下げると上げた時に不満を言われると言うし。果物をくれた部員に、分け前は渡したのだな?」


「はい、きっちりと。今後も、いつでも言ってくださいと」


「ふむ、彼らとは良好な関係を築きたいものだ」


スイーツ作りにおいて、果物はかなり重要な要素だ。

その時、珍しく扉をノックする音がする。

俺の部屋に来るのはアンナくらいなので、中々に珍しいことであった。

アンナが頷き、扉をあけて対応する……そしてすぐに戻ってくる。


「どうした?」


「それが……国王陛下がお呼びのようです」


「何? 父上が……俺は何かしたか?」


「学校での噂とかの真偽を確かめたいのかもしれません」


「なるほど……よし、行ってくる。では、念のためにアレを持って行くか」


俺はすぐに部屋を出て、使いの騎士の案内の元、記憶を取り戻した時に行った部屋に入る。

部屋の中には父上と宰相殿、それに……王太子であるユーリス兄上がいた。

地味な顔ではあるが、相変わらず俺とは違い柔和な表情で人当たりが良さそう。

実際にユーリス兄上は誰にでも優しく、いつも笑顔でいる人だったか。

リオンはそんな兄上が嫌いだったが、 今の俺はむしろ好印象である。


「これはこれは、皆様お揃いで」


「リオンよ、よく来た。さて、話は何かわかるか?」


「いえ、皆目見当もつきません。俺は品行方正な学生生活を送っておりますから」


「ふむ、噂では聞き及んでいる。しかし、お主に……送り込んだ密偵は全てアンナに退けられた。故に、こちらも確かな情報がなくて困っておる。なので、今日は直接呼んだというわけだ」


(……あの子ってば何してんの!? そんなことしたら疑われるじゃん!)


監視をつけられることに関しては、何とも思わないことはない。

ただ以前のリオンのことを考えたら、当然の処置だろうとも思う。

俺は冷や汗をかくのを堪え、冷静に対処する。


「それは失礼しました。ですが、アンナは俺を思ってした行動なのでお許しください」


「あ、謝った……あのリオンが」


「国王陛下、落ち着いてくださいませ」


「う、うむ……して、何が目的なのだ? 平民の女子生徒に近づいたり、セシリア嬢を誘って何か怪しいことをしているとか。後は平民の男子を病院送りにしたと聞いたぞ」


そう言い、父上は訝しげな視線を向けてくる。

これが悪役の影響なのか、俺の日頃の行いの所為かわからないが……もしくは、ただ息子を心配している親の視線とかな……まさかね。

どちらにしろ、俺は俺の道を真っ直ぐに歩んでいくだけだ。


「そのどれもが間違っておりません。ただ、俺は自分が間違ったことはしてないと誓います」


「ほう? それは何に誓うのだ?」


「それは——スイーツに誓って」


「「「はっ?」」」


その瞬間、三人が全く同じ顔をした。

さながら『こいつ何言っての?』といった感じに。

全く、失礼な話だ。

すると、それまで黙っていた兄上が笑い出す。


「あははっ! リオンってば面白いや! ねえ、どういう心境の変化なのかな?」


「別にどうもこうもないです。ただ、自分のやりたいことを見つけたので」


「そっか、そっか……それがスイーツ?」


「はい、そうです。まあ、見せた方が早いですか」


俺が動くとゼノス殿が警戒するが、父上が手で制する。

俺は使っていない食器の上にふわふわの氷を入れ、そこに持っていたアレ……イチゴソースが入った瓶を注ぐ。

これにて、かき氷の完成だ。


「こちらをどうぞ」


「陛下、ここは私が」


「いや、目の前でやったのだ……私が食べよう」


そう言い、父上がスプーンですくって口に含む。

その瞬間、かっと目が見開く。


「こ、これは……」


「陛下!? リオン殿下……」


「待てい! これは……美味い。何だ、このふわふわの食感は……そして、甘酸っぱいソースとよく合う」


「くくく……それこそがスイーツです。ですが、まだまだ未完成といっていい」


「これで未完成……これが、お主のやりたいことか?」


「そうです、父上。それでは、俺はやることがあるので失礼します」


マントを翻し、颯爽と部屋を出ていく。


そうだ、俺に立ち止まって暇などない。


破滅ルート回避のため、次の行動に移さなくては。

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