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主人公に断罪される悪役に転生したけど、関わらずにのんびり過ごしたい  作者: おとら@9シリーズ商業化


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これからの目標

 翌日の昼間、俺は自室にて久々に鍛錬をしていた。


 重りをつけた木刀を振り、それをピタッと止める剣道スタイルの素振りだ。


 単純に強くなるためにもだが、少し考えをまとめたかった。


 幸いにして、今日から二日間休みなので時間はある。


「ふっ……せぁ……!」


 ひとまず、昨日の出来事でただ避けているだけでは破滅ルートを回避出来ないかもしれないとわかった。

 まずは何か起きてもいいように、身体を鍛えておく。

 それと同時に、魔法の鍛錬もしなくては。


「随分と精が出ますね。どうせなら、私でスッキリしたらどうです?」


「ブハッ!? 人が真面目に鍛錬をしてる横で何を言ってる!?」


「いえいえ、随分と真剣な表情だったので」


 シリアスが台無しだよ!

 近くの椅子に座り、アンナがほえ杖をついて眺めていた。

 さっきまではいなかったのに、相変わらず神出鬼没である。


「コホン……それで、どうだった? 周りの反応は」


「一部の生徒達の間では、御主人様が悪者になってますね。誰が言ったかはわからないですが、実はアークの親を殺してるとか」


「殺しとらんわ。全く、訳がわからん」


「そうですね、変な話です。後は王城でも御主人様が変なことを始めたり、平民の女の子に無理強いをしてるとか噂がありました」


「まあ、それについては無理もないか」


 カレンは平民だし気弱そうだし、元の俺を知っていればそう思うだろう。

 ただアークに関しては事実無根である。

 少なくとも、リオンの記憶にはそんなことはない。

 しかも、噂の手所がわからないというのが不気味だ。


「国王陛下や宰相様も、御主人様のことを訝しんでますし。やっぱり——全員、消しますか?」


「消すな消すな。そんなことになったら、さらに面倒だ」


「まあ、それは冗談として……何故、アークを消さないので? 流石にあれだけのことをしたら、死刑でも良いくらいです」


「しかし、誰もそうしろとは言わない」


「それは……御主人様が温情をかけたからでは?」


「まあ、それもある」


 しかし、俺には恐れていることがあった。

 何故、このゲームに酷似した世界に転生したのかはわからない。

 しかしここがゲームと同じ世界だとして、《《主人公を殺したらどうなる?》》

 俺としてはせっかく得た第二の人生、出来れば寿命を全うしたい。

 かといって、試しで殺すわけにもいかん……そうなると、別の方法を考えねば。


「何故、御主人が躊躇うのかはわからないですが……まあ、私は従うだけですね」


「ああ、そうしてくれると助かる。アンナのことだから、奴についても調べたのだろう?」


「そうですね。経歴を調べましたが、これといって特別なことはなかったです。ただ、やたら独り言が多かったですね。やれ、こんなはずではとか、俺は主人公なんだとか。ただ、あんまり近づくと……始末したくなるのでそこまでにしました」


「お、おう……まあ、奴に関しては放っておいていい」


 なるほど、これで一つ確定したな。

 奴が転生者……あれ? 俺、めちゃくちゃ邪魔してね?

 そりゃ、敵意を持たれるわけだ。


「まあ、過ぎたことを悩んでも仕方あるまい。別に奴が何者であろうと、俺のやることは変わらん」


「なんの話ですか?」


「いや、なんでもない……さて、この辺にしとくか」


「結局、今後はどうするのですか?」


「とりあえず、俺のイメージが悪いことが一因だろう。なので、それを払拭するための行動をする」


 世界の仕組みとかそういうことは、考えてもわからない。

 ただ俺が助けた相手や関わった相手は、俺に好印象を抱いてる様子。

 ならば、そういった者達を増やしていけばいいのではないだろうか。

 アークに関しては、変わらず避ける方向でいいだろう。


「確かに、それはそうですね。具体的な案はあるのでしょうか?」


「ふむ……俺にできる好感度を上げる方法か」


 ここからが問題だ。

 何せ今までのイメージが悪すぎて、中々人が寄ってこない。

 仮に来たとしても、俺は冷たい印象を与える顔らしいし。


「御主人様の顔、中々に怖いですからね。私は好きですけど……笑顔の練習とかします?」


「なるほど……こうか?」


 俺は自分の中での、満面の笑顔を見せる。

 すると、アンナが苦虫を噛み潰したような表情になった。


「まるで『ふっ、薄汚い下民共が』という顔ですね」


「……酷くね?」


「ご自分の鏡で見たら良いかと」


 そう言われたので、鏡を見てると……そこには凶悪な顔をした男がいた。

 これなら、笑わない方がマシである。


「コホン……次の手を考えようか」


「それが良いかと。真面目な話、御主人の人となりを知る機会があれば良いかと。あとは恩を売るなどですかね」


「人となりを知る機会に恩か……ん? その手があるか?」


 俺の脳裏に、一つの案が浮上した。

 それは実益を兼ねているし、高感度アップに繋がるかもしれない。


「何か良い案でも浮かんだのです?」


「ああ、浮かんだ——スイーツを作ろう」


「……はい? 大丈夫です?」


「くくく、俺は至って冷静だ……そして、俺のスイーツで世界を変えればいい」


 俺の破滅回避には、好感度を上げる必要がある。

 俺は破滅回避してスイーツを作りたい。

 ならば……皆をメロメロにさせるスイーツを作れば良いのだ。


「やっぱり、最近の御主人様は変ですね……まあ、楽しそうだから良いですか」


「ふはは! 見ていろ! 我が氷魔法を駆使し、至高のスイーツを作ってやろう!」


 そう決めた俺は、拳を天高く掲げる。


 アークよ、お前が何をしようが関係ない。


 したいことがあるなら、勝手にすれば良い。


 だが、俺の邪魔をするなら容赦はしない。


 俺は、俺の道(スイーツ男子)を歩んでいくのでな。








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