カレン視点
……なんで、あんなことしちゃったんだろ?
わたし、あんなこと出来るタイプじゃなかったのに。
気がついたら、身体が動いてしまいました。
結果的にリオン様には助けられるし、足を引っ張って。
「うぅー……」
「もう少し待ってちょうだい。すぐ、シャワー室に着くから」
「あ、ありがとうございます。いえ、そうじゃなくて……恥ずかしいなって」
確かに髪や服も気になるけど、あんなに目立っちゃった。
何より、抱きしめられた感覚が頭から離れない。
あったかくて、それでいて力強かった……ドキドキしちゃう。
「まあ、かなり目立ってしまったわね。大丈夫よ、何かあったら私に言って」
「えへへ、心強いです……」
「それにしても、あのアークとかいう男子は何なのかしら? あんなにもリオンを目の敵にして」
「そうですよね。あの、わたしの不勉強だったらあれなんですけど……あれって平気なんですか?」
相手は第二王子なのに、平民の方が喧嘩を売った形だ。
わたしはともかく、リオン様には怪我まで負わせている。
……あれ? なんだか腹が立ってきました。
リオン様は出会った頃から優しくて素敵な方なのに。
「平気なわけがないわ。下手すると、首が飛んでるところよ」
「やっぱり……それにしては、生徒達はアーク君の味方をしたような?」
「うーん、リオンの今までの行動を省みると仕方ない部分はあるとは思うけど。確かに、良く考えてみたらおかしい……いや、絶対におかしいわ」
「セシリアさん?」
「どうして私はリオンが悪いと思ったの? 例えそうであっても、あの場合は完全にアークが悪いわ。どんな理由であれ、王族に剣を向けたのだから。それはいくら私であっても許されないくらいの行動よ」
そして、セシリアさんは黙り込んでしまいました。
わたしはどうしていいかわからず、ひとまず後ろをついていく。
すると、シャワー室に到着します。
中は広く、しかも受付さんまで待機してました。
「ここがシャワー室ね……そうね、一緒に入りましょう」
「ふぇ!? い、一緒ですか? わたしは平気ですけど……」
「私も一汗かいたから。あと、あなたの髪の毛を見させてもらうわ。自分だと、後ろの方は見れないでしょ?」
「それはそうですけど……」
「ほら、女の子同士なんだし恥ずかしがらないの」
そう言い、服を脱いでいく。
わたしは思わず、その綺麗な身体に見惚れてしまいました。
柔らかそうな胸に腰回りのくびれ、手足が長くすらっとしてます。
「ちょっと……流石に恥ずかしいわよ」
「ご、ごめんなさい〜! あまりに綺麗だったので……」
「まあ、褒められて悪い気はしないわ」
わたしも待たせちゃいけないと思い、慌てて服を脱いでいく。
すると、今度はセシリアさんがじっと見つめてきます。
わたしは恥ずかしくなって、思わず身をよじる。
「え、えっと……」
「貴女、物凄いスタイルしてるわね……胸とか羨ましい」
「ええっ!? そ、そんな、ただ大きいだけで……セシリアさんみたいに、綺麗なスタイル方がいいですよぉ」
わたしのは、どちらかというとムチムチしている。
セシリアさんは決して小さくないし、むしろ身体に丁度いいサイズで似合ってます。
なのに足は細いし、羨ましい。
「無い物ねだりってやつかしら? でも、これでおあいこね」
「あっ……えへへ、確かに」
「さあ、入りましょう」
そして二人でシャワー室に入り、隣同士の個室に入る。
そこは体の半分が隠れる程度の壁なので、相手の顔が見えるみたい。
セシリアさんはささっと浴びると、わたしの個室へと入ってきた。
「ほら、やっぱり後ろの方が汚れとれてないじゃない」
「うぅー……すみません。髪の毛、全然切れてなくて」
「まあ、私も髪は長いから苦労はわかるわ。あっ、ここ傷んでるじゃない!?」
「やっぱり、少し燃えちゃったかな? でも、別にいいです」
「良くないわよ、好きな男の子とかに見られたら困るじゃない。ちょっと待ってて」
そう言い、シャワー室から出ていく。
わたしは見た目とか気にしないんだけどなぁ。
でも好きな男の子……リオン様?
「な、なんでリオン様の名前が……!?」
「ちょっと、顔真っ赤よ? シャワーでのぼせたかしら?」
「へ、平気です!」
振り返ると、ハサミを持ったセシリアさんがいた。
どうやら、受付で借りてきたみたい。
「そう、それじゃ髪の毛軽く切っても大丈夫? そしたら、椅子に座ってちょうだい」
「はい! 好きにしてください!」
「なんか、押しに弱そうで心配だわ。まあ、手先は器用だから安心して」
そうして、ハサミでシャキシャキと切られていく。
わたしはぼーっとし、先程の事を考える。
(リオン様を好き? まだあったばかりなのに)
そもそもリオン様は王族で、わたしは平民だ。
こんなことを考えるだけで恐れ多いのは、学園で学んだのでわかる。
王族というのは一番偉くて、平民はもちろん貴族ですら身分違いだと。
(でもリオン様は、見ず知らずの平民のわたしを助けてくれた。その後も、絡まれてたら助けてくれて……)
わたしは自分に自信がないから、ああいう風に自分を持ってるリオン様に憧れるのかな。
自分のしたいようにし、部活とかだって自分で作っちゃう。
かき氷とか、プリン?とか美味しいかったなぁ。
(食べてる時とかは、ちょっと可愛いなんて思ったり……不敬かな?)
普段はカッコいいんだけど、寝顔とかもあどけなかった。
そういえば、あの時から既にドキドキしてたような。
「……そっか、とっくにそうだったのかな」
「なんの話?」
「い、いえ!」
思わず、声に出ちゃったみたい。
ふと前を見ると、鏡には前髪が短くなってるわたしが。
久々に自分と目が合う。
「ふぇ!? ま、前髪が……」
「あれ? 不味かったかしら? きちんと確認したんだけど……」
「だ、大丈夫です!」
わぁ〜! 全然上の空で聞いてなかったよぉ〜!
人と目が合うのが苦手だから、前髪だけは切らないようにしてたから。
でも……良い機会かもしれません。
まだわからないけど、リオン様が好きならわたしも変わらなきゃ。
「それじゃ、遠慮なく」
「あの、聞いても良いですか?」
「ええ、良いわよ」
「どうして、こんなに良くしてくれるですか? わたしがリオン様と知り合いだからですか?」
変わるついでに、思い切って聞いてみる。
これは以前から気になってた。
それにもしかしたら、セシリアさんもリオン様のこと……かもしれないし。
「うーん、それもあるかしら。リオンが女の子と、それも平民の子と仲良くなるなんて思ってなかったから。でも、それだけじゃないわ」
「えっと……?」
「リオンは味方が少ないから、貴女が味方になってくれたら嬉しいなって」
「でも、セシリアさんはリオン様の幼馴染で……味方じゃないんですか?」
「味方でありたいって思ってるわ。ただ、家の事とか色々あるから」
「そうなんですね……」
きっと、孤児院出のわたしにはわからない事情があるのだろう。
それでも、セシリアさんがリオン様を大事に思ってるのはわかる。
「ええ、そうよ。リオンは不器用で意地っ張りなところがあるから……人のこと言えないわね」
「ふふ、似た者同士ですね」
「一緒にされると、それはそれで腹がたつわね……はい、出来たわ」
「あ、ありがとうございます!」
その後髪の毛を乾かし、仕上げにセシリアさんが持っていたクリームなどを塗られる。
そして、鏡に映る自分見を見て……驚いた。
ボサボサだった髪は真っ直ぐに整えられ、前髪は目にかからずに視界がクリアに。
「へ、変じゃないですか?」
「うんうん、可愛いわ。まさか、ここまで化けるとは……さあ、リオンのところに行きましょ」
「は、はい……」
リオン様に会うと聞くと、胸がドキドキする。
これが髪を切った姿を見せるのが恥ずかしいのか、好きだからなのかわからない。
でも……似合ってるって言ってくれたら嬉しいなぁ。




