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主人公に断罪される悪役に転生したけど、関わらずにのんびり過ごしたい  作者: おとら@9シリーズ商業化


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15/19

更なる誤解

翌日の朝、俺は自室でスイーツのことを考えていた。


というより、昨日帰ってからずっと考えている。


どうすれば、卵や乳製品が手に入るかと。


答えは分かっていたが、些かハードルが高い。


「アンナ、いるな?」


「はっ、ここに」


いつものように、何処からともなくアンナが現れる。

というか、気のせいでなければ俺のベッドから出てきたような。

まあ、流石に慣れたものだ……ナレナイヨ! いつからベッドに!?


「コホン……卵と乳製品だが、俺が王家に頼んだらどうなると思う?」


「まずは訝しむかと。そして高価なので、浪費に対する批判が集まるかと」


「やはりそうか……せっかく大人しくなってきた腐れ貴族達に口実を与えてしまうか」


「何より、それを売りつけてくる可能性があります。それも、生産者から無理に奪う形で」


「奴らならやりかねんな」


非合法で手に入れたり、王子の願いだからと無料で人に依頼したり。

そうすれば、俺の評判は下がっていく。

結果的に破滅ルートが発生してしまうかもしれない。


「ですので、他の方法がよろしいかと。何なら、私が盗んできて……」


「やめんか! さらにイメージが悪くなるだろう!」


「いや、私とはバレませんし」


「それでもだ。そもそも、お前にそんな汚れ仕事はさせん」


それは記憶を取り戻す前のリオンも変わらない。

処理を頼むことはあっても、腐った仕事を頼むことはなかった。

ただの気まぐれで助けたが、リオン自身もアンナのことを気にかけていたに違いない。


「ご主人様、私は感動で濡れそうです——ベッドに行きます?」


「いかんわ。良い加減、まともに答えないと……」


「申し訳ありません。そうですね……冒険者に頼むか、ご自分で取りに行くかですかね? もしくは、私自身が行ってきますが」


「やはり、そのどれかになるか」


卵や乳製品を手に入れるには森の中か、魔獣を放牧している牧場に行かねばならない。

どちらも難易度が高く、中々に厳しい。

そのため、戦えない者は冒険者に依頼するのが普通である。

ちなみに、彼らは多額の報酬と引き換えに命をかける何でも屋だ。


「どういたします? 冒険者を雇うにしても、面倒なことに変わりないかと」


「まあ、王家に伝手が出来たと思われるのは面倒だ……ふっ、俺を誰だと思ってる? 剣と魔法の達人と呼ばれた男だぞ? 愚問だ、俺自らが取りに行くとしよう」


「おおっ、引きこもりのご主人様が外に出るなんて……!」


「引きこもり言うなし。というわけで、お前には手配を頼む」


「御意、ではいってらっしゃいませ」


アンナに見送られ、学校に向かう。

教室の席に座ると、気づいたカレンが向かってくる。

その近くには忌々しそうに、俺を見てくるアークの姿が。


「……なんで睨むのだ?」


「お、おはようございます!」


「ああ、おはよう。それでどうした?」


「ふぇ? た、ただの挨拶というか……ダメでしたか?」


そう言い、何故かもじもじしながら上目遣いをしてくる。

なんだか、様子が変だな。


「いや、ダメということはないが……慣れていないのでな」


「ほっ、それなら良かったです。あ、あの、また部活に行っても良いでしょうか? アレが忘れられなくて……」


「ああ、そういうことか。無論、構わん……というより、部員なのだから遠慮はいらない」


「えへへ、嬉しい」


なるほどなるほど、スイーツの世界にハマったということか。

そういうことならば様子が変なのも納得である。

すると、後ろから肩を掴まれた。

振り返ると、そこには般若みたいなセシリアが。


「ど、どうした?」


「一体、なんの話をしているのかしら? カレンに何をしたの?」


「お、俺は何もしてない! イタタッ!? 肩を掴むなァァァァ!」


セシリアは、土魔法の使い手にして怪力の持ち主だ。

俺の肩ぐらいなら、簡単に砕けるだろう。


「セ、セシリアさん! わたしは大丈夫ですから!」


「アンタ、女の子にこんなこと言わせて……」


「くそ……イチャイチャしやがって……!」


なんか何処からかアークの声もしたが、そんなことを考える余裕はない。


今にも、俺の肩は壊れそうになっている。


……俺が何をしたっていうのだ!?


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