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主人公に断罪される悪役に転生したけど、関わらずにのんびり過ごしたい  作者: おとら@9シリーズ商業化


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10/19

部活

その日は初日ということで、午後はホームルームだけで終わる。


明日からの授業内容や、今後の予定など。


そして、最後に先生より紙が配られた。


「あと、今日から部活見学があります。この学校は交流を深めることも目的の一つなので、出来るだけ在籍することをお勧めしますよ。何かあるかは、各自渡した紙を見てくださいね」


「先生、質問をいいですか?」


「はい、アーク君」


「在籍していいのは、一つだけでしょうか?」


「明確な決まりはありませんが、二つか三つが限界かと。合う合わないはあるので、辞めるのは割と自由ですよ。上級生も、その辺りは理解しているので」


なるほど……この学校は将来のために通う。

家を継ぐ者は自分の家臣になる者、逆に家を継げない者は自分を使ってくれる者を。

冒険者や官僚になるとしても、上級生や横の繋がりは大事だろう。

現に主人公は、そのようにして繋がりを作っていくのだから。


「ふむ、部活か」


「リオンは何か入るの?」


俺が呟くと、横に座るセシリアが反応する。

その表情は、何かを伺っている様子だ。

ちなみに部活は前世と似たような種類がある。


「俺などが入ったら相手が困るだろ。はっきり言って、部活にならん」


「あぁー……それはそうね。みんな、扱いに困るわ」


こういう風に言ってくれるならマシだ。

ただ実際に入ったら、遠巻きされるだけだろう。

……あれ? 俺の友達作りむずくね?


「そういうことだ。それで、セシリアはテニスか?」


「そうなると思うわ。中等部から続けてるし、先輩にも誘われてるから」


「まあ、入らなきゃいけない決まりはない。とりあえず、俺は適当に……」


そこでふと気がつく。

王城で作れないのなら、《《学校で作ればいいのではないか?》》

ここなら誰にも文句は言われまい。


「どうしたの?」


「いや、何でもない」


「……怪しいわね」


「何も怪しくない。ほら、ホームルーム終わるぞ」


そこでホームルームが終わり、それぞれ部活見学に向かう。

アークといえば、セシリアの後を追って教室を出て行った。


「よしよし、これでセシリアも安心だろ……そういえば、今更だが」


今のアークは、どんな行動原理で動いているんだ?

前世では身分制度の廃止や、俺という敵を倒すために何度も立ち上がる。

しかし、今回は俺は何もしない予定だ。


「ストーリー的にはどうなる? というか、何で《《敵意を》》向けられてる?」


そもそも、ただのアークに俺を敵視する理由はない。

ただ世界の決まりというか、俺を敵視するようになっているとか。

もしくは、ゲームを知ってでもない限り。

……そうか、その可能性もあるのか。


「まあ、別にどちらでもいいか。結局、俺のやることは変わらない」


出来るだけヘイトを避けつつ、平穏に過ごそう。

そのための第一歩して、俺は目的地に向かうのだった。



目的地である職員室に入ると、先生達がざわつく。

俺はそれを無視して、担任のセリーヌの元に向かう。


「セリーヌ先生」


「あ、あれ? リオン殿下? どうかなさいましたか?」


「別に殿下も敬語もいりませんよ。ここでは俺は生徒、貴女は先生なのですから」


「へっ? え、えっと……コホン、リオン君」


「はい、それでお願いします」


どうやら、無理矢理飲み込んだらしい。

こちらとしても、そちらの方が助かる。

先生が敬語など使っていたら、俺の印象が悪くなるし。


「そ、それで……先生に何の用かな?」


「部活についてお聞きしたいと思いまして」


「部活ですか? 紙は渡したはずですけど……」


「はい。俺が入ると、和を乱す可能性があります」


腐っても第二王子、いくら身分が関係ない学園とはいえ、中々そうはいかない。

不敬罪を恐れ、俺に遠慮することは間違いない。

それにゲームのリオンは、その性格から部活クラッシャーとしても有名だった。

終いには、自分の部活に誘ってくれたセシリアの好意に泥を塗るのだ。


「それは……そうかもしれない。じゃあ、入らないって報告かな?」


「いえ、違います——俺自身が、部活を作ってもいいでしょうか?」


そう、俺の目的はこれだ。

リオンは既存の部活には入らない方がいい。

だったら、自分で作ればいい。


「リオン君自身がですか……うん、いい考えかもしれませんね。そしたら、そこに入ってくる方々は、それを込みで入ってくるわけですし」


「ええ、来たい人はくるし避けたい人は来ないでしょう」


「ただ、部活申請は最低でも三人はいないと……」


「な、なんだと……?」


その言葉に俺は思わず膝をつく。

まさか、そんな落とし穴があるとは。

これでは、ぼっちの俺は不利ではないか。


「だ、大丈夫?」


「え、ええ、何とか」


「うーん……とりあえず、作るだけなら二人でも出来るかなぁ。わかりました、先生が掛け合ってみますねー」


「なんと……感謝します!」


「ひゃい!?」


俺はセリーヌ先生の手を両手で握り、感謝の気持ちを込める。

というか、頼りなさそうとか思ってごめんなさい。


「おっと、失礼しました」


「い、いえ……男の子に手を握られちゃった〜」


「はい?」


「いえ! なんでもありませんから! と、とにかく、リオン君は最低一人は捕まえてくださいね」


「わかりました、何とかやってみます」


俺にきちんとお辞儀をし、その場を去ろうとする。

すると、セリーヌ先生から声がかかった。


「そういえば、何部を作るのかな?」


「——スイーツ部です」


「……へっ?」


「では、よろしくお願いします」


今度こそ俺は、その場を離れて職員室を出て行く。


ククク……待ってろよ、スイーツ。






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