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廊下(おまけ1)

 王都にそびえる魔術師協会本部。

 クレメンスは足早に会長室に向かって歩いていた。

 前方から、色あせたローブに身を包んだ、ボサボサ頭の男がやってくやる。

「やあ、クレちゃん」

 無精髭に覆われた顔でニタァっと笑みを浮かべながら、気安げに片手を上げた。

 

 彼の名はニコラス。幻惑魔術の第一人者であり、クレメンスと並び称される師範魔術師。そして、トプシークレットではあるが、現国王の叔父であるゼルストラン公でもある。

 

「ニコか。相変わらずだな」

 変わらない親友の姿に、クレメンスは笑みをもらした。

「どうしたの? 一般人に擬態なんかして。新しい遊び?」

 ニコラスニタニタと至近距離でクレメンスの顔を覗き込んでくる。

 どうやら、いつもは魔術師然としたローブに身を包んでいるクレメンスの質素なチュニック姿が、彼の興味をひいているようだ。

 

「お前も加わるか?」

 異様に近いニコラスの顔を、クレメンスはチラリと見ながら、少しからかうような声で言った。

「儲かる?」

 ニコラスは盛んにまばたきをし、灰色の瞳をキラキラと期待に輝かせた。

「一文にもならんな」

「……やめとく」

 ガックリと肩を落としたニコラスは、スッとクレメンスから離れると、すごすごと歩き出した。

 クレメンスは「フフフ」と笑いながら、再び歩き出した。

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